騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3738
レビュー : 550
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534334

感想・レビュー・書評

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  • この作品は『1Q84』以来の長編になるが、作風はややマイルドになったように思う。『1Q84』は女性が主人公でもあり、久しぶりに新鮮味と躍動感を感じたものだが、『騎士団長殺し』は落ち着いていて、じっくりと味わうことができた。免色さんのキャラクターの影響か、作者の年齢的なものかはわからないが、それはそれで良かったと思う。

    またこの作品は少し映像的というか、ドラマや映画にできそうにも思った。フォレスターの男がツインピークスに出てくるホワイトロッジの男のようであった。小さな騎士団長や顔のない長身の男も、ツインピークスに出てきそうである。

    しかしこの物語は観念的な世界で終わっていない。最後にイデアやメタファーではない現実の日本が顕れる。これは今までにはなかった展開ではないだろうか。新鮮な印象を受けた。そして主人公も、胸の薄かった少女も、そしておそらくは免色さんも、もうお互いに会うことはないかもしれないが、それぞれが時間を味方につけて現実社会の中で歩みだしていくように思える。いい読後感だった。

  • 初村上春樹。村上春樹の何がそんなにいいのか、試に読んでみるか・・・と読んでみた。確かに、今まで読んだ他の作家さんたちとは、同じ日本語を使っているとは思えない表現だった。引き込まれていった。ストーリーは、ミステリーのような、SFのような、スピリチュアルなような、なんとも言い難いものだったけど、おもしろかった。とっても奥深くて、感慨深かった。
    私にとっての穴、私にとっての白いスバルフォルスターの男、私にとっての騎士団長が、身近にあるような気がする。

  • 「騎士団長殺し」の画を軸に異次元の世界に入り帰って来て元におさまっていく話だが、相変わらず村上さんらしい世界に何故か引き込まれていくのが不思議である

  • 理由はわからないけど、ぐいぐい引き込まれる世界観。
    思い通りにいかない(というより巻き込まれてる?)のに、自分の意志や記憶を頼りに「今」を戦ってる感じがすき。

  • 騎士団長、画家、メンシキ、東方の旅、そういうワードをつないで全く予測不可能な不思議な世界を作れるのが本当にすごいと思う。安定していた。後半少しダレた。

  • 急展開を見せる。後半、盛り上がりに欠け、尻すぼみな感じもするが、まあこんなもんだろう。
    個人的には1Q84の方が、どきどきした。

  • 第1部を読み終わり2部への期待感が大きかったせいもあったので、ラストは少々無難だったなぁ、と。ただ、終わったけれどまだ続いても良いような終わり方でした、が。おとぎ話のような、でも現実的な部分も多々ありますので、村上さんの緻密な内容設定だからこそ、この2つの境界線が解らなくなる所が読んでいて実に楽しいです。エンターテインメントを感じる作品でした。

  • 最後の100ページで、一気に話しがまとまるバタバタした感じが残念。でも、村上ワールドに入り込めた時間が幸せだった。少々、退屈でも。

  • ホモ・サピエンスが繁栄したのは偶像を信じることができるからだそうだ。貨幣の価値を、法律を、神を、そしてきっとイデアを。そういう目には見えないものを共通の認識として持てる。それが社会性という人間の競争優位を手に入れたと。原典読んでないからきっとボロが出ている。
    物語の要約としては、ある一人の男性が、イデアやメタファーに殉じることを覚える物語。とまとめたい。
    ただそんな安い一言でまとめることに大した意味はなくて、村上春樹独特の世界を長編で味わえること自体に価値があるように思う。
    寓意や暗喩に満ちたハードボイルドな物語は、どこか京都のガイドブックのようなものな気がする。別に京都でなくても良い。こんなこというと怒られるかも知れないけど。ガイドブックを頭から読むとあれこれ気になる建物や歴史やうまいものがあることを知ることができるけれど、実際に触れて味わえるものはそう多くはないのだ。寓意や比喩をあれこれ掘り下げていきたいけれど、実際そうできる時間は悲しいかな限られているのだ。ざっくり言ってしまえば京都のガイドブックの感想は「京都だった」になり、この本の感想は「村上春樹だった」になるんだ。
    あれこれ考えながら付随したブックレビューを少しずつ読みながら楽しむことにする。

  • 第1部から、やたらと比喩が多いなあ、それも倒置で、と引っかかりながら読んでいたのだけれど、なるほどそういうことね。

    私は1Q84も多崎つくるも全く好きでなかったが(むしろ嫌悪)、これは入れた。
    ここまでやられると、なんというか、生身の人間てつまらないなあと思ってしまうよ。

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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