街とその不確かな壁

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534372

作品紹介・あらすじ

村上春樹、1200枚の新作長編小説、2023年4月13日に刊行決定。2017年2月刊行の『騎士団長殺し』以来、6年ぶりとなる書下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • 騎士団長殺しから6年ぶりの新作をようやく読み終えることができた。実は村上春樹作品はほぼすべて読んでおり、今作もしっかりと、らしさを感じられる作品を堪能することができた。
    村上春樹作品の面白いところといえば、現実なのか仮想の世界なのか、その境界線が曖昧になりながら、先の読めない展開を進んでいくところにあると思う。読んでいても、作者がプロットを用意せず、最良の方向で物語の展開を決めていき(作中、身代わりのようにベッドに置かれた二本の長い葱もそうに違いない)、最終的に思いがしっかりと込められた作品にまとめていく姿が想像でき、読み手としてもそれはもう引き込まれるように読み(読まされ)、確かなものが心に残る。
    御年75歳になり、このあとどれくらいの作品を生み出してくれるのか分からないが、これからも現実(だろう)世界で「村上春樹読み」を続けていきたいと思う。

    • チャオさん
      またまた、コメントありがとうございます。
      今回の作品は、第三部で頭の中の整理がつくような感じで、わかりやすかったと思います。とはいえ、第三...
      またまた、コメントありがとうございます。
      今回の作品は、第三部で頭の中の整理がつくような感じで、わかりやすかったと思います。とはいえ、第三部はラスト数十ページなので、モヤモヤをモヤモヤしながら楽しめる方でないと、ちょっとつらいかもしれませんね。
      自分も個ではどうしようもない状況を打開するような、あるいは心を軽くするような、そんな作品だと思いました。
      2024/03/04
    • ワンbooksさん
      はじめまして。いいねしてくださり、こちらのレビュー拝見いたしました。
      失礼になったらすいません!!!
      御年齢お伺いして、とても感動というか、...
      はじめまして。いいねしてくださり、こちらのレビュー拝見いたしました。
      失礼になったらすいません!!!
      御年齢お伺いして、とても感動というか、まだ私も知識欲に貪欲でいいんだと勝手に安心してしまいました。
      48になろうとしてるのに、大人になりきれてないような、今まで読んできた本や、学んできたはずであろう知識が、一つもみになってないと感じる日々でしたが、読書自体は、さまざまなジャンルを行き来しながら、小さい時から飽きることはありませんでした。
      ちゃんと語れるような地肉になるような読書がないのに、読書が何の役にたつのか?と幾度も思ったし、村上春樹もチャレンジしてもつまらなく感じて、今まで避けてきました。もう少し村上春樹には近づけそうにありませんが、いづれ読める時が来るであろうと、レビューを見て感じました。
      読書を楽しむことは、間違いぢゃないと教えていただいた気持ちです。ありがとうございました^_^
      2024/03/20
    • チャオさん
      コメントありがとうございます。
      読書については、自分は知識を満たすものというより、娯楽に近いものと捉えてますので、個人が好きなものを読み、...
      コメントありがとうございます。
      読書については、自分は知識を満たすものというより、娯楽に近いものと捉えてますので、個人が好きなものを読み、面白いと思うだけで十分ではないかと思います。人気作家さんを読むもよし、自分だけの推し作家さんをひたすら読むもよし。気楽に楽しむことができるといいですよね。
      未読の作品に対して、興味を持っていただきありがとうございます。
      2024/03/21
  • 【読もうと思った理由】
    以前、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(下巻)」の感想で書いたが、元々村上春樹氏の苦手意識を克服した際に、今後読みいたい長編小説にラインナップしていた。ただ実は、苦手意識を克服する前からこの小説だけは読まないといけないと思っていた。なぜなら、村上氏の現在の年齢(74歳)と今までの長編小説の執筆ペースを鑑みると、今作品が生涯で最後の長編小説になる可能性はそれなりに高いと思ったからだ。

    また村上氏も当然頭の良い方なので、そういう可能性は多分にあると分かった上で、執筆したはずだ。そう、作者も読者も最後の長編小説となる可能性が高いとわかった上なので、当然思い入れも強ければ、熱量(エネルギー)が圧倒的に過去作品とは比較できないほどに、溢れかえっている。何か村上氏から強烈なメッセージがあるだろうと、いや、あるはずだと。なので、誰に頼まれることなく、期待値MAXで読み始めた。

    【今更ながら村上春樹氏とは?】
    (1949年1月12日 - )日本の小説家、米文学翻訳家、エッセイスト。京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。早稲田大学第一文学部演劇科卒、ジャズ喫茶の経営を経て、1979年『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。当時のアメリカ文学から影響を受けた乾いた文体で都会生活を描いて注目を浴び、時代を代表する作家と目される。1987年発表の『ノルウェイの森』は上下430万部を売るベストセラーとなり、これをきっかけに村上春樹ブームが起き、以後は国民的支持を集めている。

    その他の主な作品に『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』など。日本国外でも人気が高く、現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人だと言われている。2006年、民族文化へ貢献した作家に贈られるフランツ・カフカ賞を受賞し、以後ノーベル文学賞の有力候補と見なされている。デビュー以来、翻訳も精力的に行い、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、トルーマン・カポーティー、レイモンド・チャンドラーほか多数の作家の作品を訳している。また、随筆・紀行文・ノンフィクション等も出版している。ビートルズや ウィルコ といった音楽を愛聴し自身の作品にモチーフとして取り入れるなどしている。

    【あらすじ】
    十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。

    【感想】
    まさか、村上氏の作品でここまで分かりやすい作品と出会えるとは、想定外だった。小説家にしては珍しく、作者本人が“あとがき“を書いているのも、僕はあまり記憶にない。あとがきを書くほどにどうしても村上氏は読者に分かって欲しく、自分の思い入れがそれだけ強い作品になったのだろう。

    他の読者の方が数多くレビューをあげていらっしゃるので、未読の方でもご存じの方も多いと思うが、今作品は過去に村上氏が執筆した「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」と対をなしている、ある種続編のような作品だ。なので最初、第一部を読み始めた際は、小説の概要があまりに似ているので、少し戸惑ったほどだ。そう、言ってしまえば、外的要因(環境)が遜色なくまったく一緒なのだ。「壁で閉ざされた街」も「一角獣」も、本人としゃべれる「影」も、仕事としての「夢読み」も、すべて一緒だ。何も変わらない。違うところは、いわゆるソフト部分だ、そう、登場人物がまったく違う。「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」と構成が、ほぼ一緒の第一部だけであれば、正直言って感動もあまり感じなかっただろう。

    ただそこは世界的に著名な小説家である村上氏。第一部はただの序章にすぎなかった。物語の肝となるのは主人公が成長し、人生経験も積んだ40代になった二部からが、俄然面白さが増してくる。個人的なことで恐縮なのだが、本作の主人公、二部の年齢が現在の自分の年齢とニアリイコールなので、当然作品に対する没入感も違ってくる。生き方や物事の捉え方に共感できるところが多いし、ある意味自分を投影できる。

    何かのコンテンツで読んだのだが、村上春樹氏が海外でここまで評価されているのは、「この物語は自分一人のために書かれた作品なのではないか」と、錯覚してしまうところにあるんだという。今作を読んで僕も、その錯覚に恥ずかしながら陥ってしまった。それほどに読者を自分の世界観に引き込む力が、他の作家と比較して強いのだろう。村上春樹氏をもともと好きな方は、とうぜん既に読んでいる方が多いと思うので、出来れば村上氏をあまり好きでない方に、ぜひとも読んで欲しい作品です。「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を先に読んでいただければ、こんなにも理解しやすく、物語に没入できる作品も珍しいと思います。村上春樹氏に対する見方が、おそらくガラッと変わるはずです。

    【本作を読んで得た気づき】
    読了済の一定の割合の方に、共感いただけると思うのだが、今作は作者のメッセージ性が強い作品だ。あくまで個人的に感じた村上氏の思いとして、今作で読者に伝えたかった思いを下記のように感じた。

    「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」も今作も、意識と無意識の間(はざま)にある、なかなか普通に生活していてはたどり着けない境地にフォーカスした作品だと思う。色々な条件が重なったときに初めて辿り着ける境地、いわゆる仏教でいうところの「悟り」であったり、中国古典思想家の老子が説いた「道(タオ)」であったり、西洋哲学でいうところのプラトンの「イデア」であったりするのだろうと。その境地に辿り着けば、多分今までとまったく違った感覚で日々の生活を送れるのであろうと。

    出来れば死ぬまでにその境地に至ってみたい気持ちが最近強くなってきた。というのも仏教でいう悟りの概念は、個人的に学んできたお陰でそんなにズレることなく分かってきた認識はある。ただ概念としてわかっているだけの人と、実際に悟れた人とは雲泥の差がある。COTENの深井龍之介氏も言っていたが、概念だけを理解するのと、体感として「悟る」のは、まったく別物だ。どうすれば体感できるのか、普通に考えれば僧侶のように厳しい修行を行なっても、悟りの境地に到達できる人なんて、ほんの一握りだ。

    ただようやく分かってきたことがある。本を読んでいるだけでは、おそらく一生その境地には至れないことだけは、なんとなく分かってきた。最近、海外の著名な経営者がマインドフルネス(坐禅)にハマってしまうのも、ようやく腑に落ちてきた。スティーブ・ジョブス(故人)もエヴァン・ウィリアムズ(Twitter創業者)も、彼らのようなエグゼクティブは、「実践主義には限界がある」という危機感を抱いている。論理的な思考だけでは突破できない壁があることを、知覚しているんだろう。だからこそ、自分の枠を超えるために哲学や思想を身につけなければと感じているんだろうなと。世間で役に立たないと思われている哲学や禅に興味を抱くのは、そのあたりが背景にあるのだろう。

    多分いま自分で目指している方向性は、そこまでズレている感覚はないので、このまま自分のできる範囲で、読書と並行して体感する思考(瞑想のようなもの)も実施していこうと思っている。どうせ一回しかない人生、自分が本当になりたい自分を目指さないと、後で後悔するだろうから。

    【雑感】
    次は「ヒエログリフを解け」を読みます。この本はフォローさせていただいているKOROPPYさんの感想から知った作品です。KOROPPYさん、その節はありがとうございました!これだけ世の中に本が溢れていても、自分の興味のど真ん中の本にはそうそう巡り会えない。ただこの本は、「ロゼッタストーンに挑んだ2人の天才の究極の解読レース」という副題がついているが、当然の如く、ノンフィクションだ。歴史好きとして、こんなに興味をそそられるタイトルは滅多にない。この上なく期待して読みます!

    • ユウダイさん
      e-kakasiさん、コメントをくださり、ありがとうございます!古井由吉氏がお好きなんですね!ブクログのアプリの中でも、古井氏を好きだという...
      e-kakasiさん、コメントをくださり、ありがとうございます!古井由吉氏がお好きなんですね!ブクログのアプリの中でも、古井氏を好きだという方は、あまり見かけたことないので、僕も嬉しいです。文体の流麗さでいうと、古井由吉氏が国内歴代トップだと思っているので。なにせ、会話文をカギ括弧無しで書いているのに、それを読者に会話文だと無理なく分からせてしまう筆致には、鳥肌がたちました。後にも先にもストーリーなんてそっちのけで、ただただ文体に触れていたいと思わせてくれたのは、古井氏だけです。大江健三郎氏はまだ短編ぐらいしか読んだことないので、特にオススメの作品があれば、お教え頂ければ幸甚です。今後ともよろしくお願いします!
      2023/06/04
    • katak-aiさん
      「世界の終わりに・・」での予習と、長編ながら細かい内容の分割で、とても読みやすかった。自分の作品の説明をしないという方針に反して、ご本人の「...
      「世界の終わりに・・」での予習と、長編ながら細かい内容の分割で、とても読みやすかった。自分の作品の説明をしないという方針に反して、ご本人の「あとがき」にもびっくりです。内容や比喩も深くなりすぎない。逆にネタが尽きたのかと心配にはなった。これが最後の長編ではないことを祈る。
      2023/08/10
    • ユウダイさん
      また新作長編が出れば良いですね。
      また新作長編が出れば良いですね。
      2023/08/10
  • 第一部はぼくが高校生で17歳のとき、エッセイコンクールの会場で出会った生まれて初めてもった16歳のガールフレンド。彼女は「すべてあなたのものになりたい」と口では言いますが、あなたのものにはなっていません。
    そして彼女が話す街の話。

    街は高い壁にまわりを囲まれていて図書館があるといいます。そしてその図書館で本当の彼女が働いているのだといいます。

    そしてぼくは彼女に会うことができなくなりますが、ぼくはその街に入っていきます。
    その街でぼくは門衛に影を預けて<夢読み>の傷ついた眼を与えられ二度とその門をくぐらないという暗黙の契約を結びます。
    そして図書館で彼女と一緒に働き始めます。<夢読み>として。
    しかし、ぼくは自分の影に外に出ていこうといわれその話は断るのですが、いつの間にか何かの力で、外に出てしまいます。


    そして第二部は私は新しい職場として、図書館を選び、人の紹介で知った会津の図書館で働くことになります。
    そこの館長、子易辰也はベレー帽をかぶりスカートを履いた人物で実は物故者でした。

    でも、わたしととある他の2名の人物にだけ子易さんは見えるのでした。
    子易さんが見えるもう一人の人物は、イエロー・サブマリンの少年というあだ名のサヴァン症候群の少年です。

    わたしは子易さんに高い壁の街のことについて話すと、なんとイエロー・サブマリンの少年が、その街の地図を描いて持ってきたのです。


    第三部はイエロー・サブマリンの少年とわたしの話です。


    やっぱり村上春樹はわかりませんでした。
    第二部以降面白くてわくわくしながら読んだのですが結局何の話だったのかは私には謎でした。
    ただそれぞれのピースがぴたっとはまっていて完璧な感じがしました。
    めずらしく村上春樹さんのあとがきがついているのですが、それでもわかりませんでした。
    もう、村上春樹は読まない!と思っても発売されてニュースになるとやっぱり買ってしまいます。

    『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は谷崎潤一郎賞を獲られているのですね。知らなかったです。
    他にもノーベル文学賞はありませんが『ねじまき鳥クロニクル』は読売文学賞。
    『海辺のカフカ』は世界幻想文学大賞(アメリカ)。
    『1Q84』毎日文化賞など獲られています。

    • アールグレイさん
      まことさん
      やはり、読んだのですね。
      私にとって村上春樹さんとは、
      絶対に読めない作家さんだと
      思うのです。
      (´⌒`q
      まことさん
      やはり、読んだのですね。
      私にとって村上春樹さんとは、
      絶対に読めない作家さんだと
      思うのです。
      (´⌒`q
      2023/04/29
    • まことさん
      アールグレイさん♪
      読みました。
      新刊で、人気の本ですが、アールグレイさんの好みとは、違うように感じたので、お勧めはしませんでした。
      アール...
      アールグレイさん♪
      読みました。
      新刊で、人気の本ですが、アールグレイさんの好みとは、違うように感じたので、お勧めはしませんでした。
      アールグレイさんにとって、絶対に読めないとは、思いませんが。
      2023/04/29
  • 失敗作として長らく封印されていた初期作品「街と、その不確かな壁」を長編にリメイクしたもの。
    さらに、「街と、その不確かな壁」は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の「世界の終わり」のパートの母胎となっている。

    「世界の終わり…」の続編が出るという噂は昔から囁かれてはいて、僕も待望していた。
    なんせ、僕にとっての初村上長編は「世界の終わり…」なのだ。
    あの読み終わった後の「とんでもないものを読んでしまった」感が、今でも読書を続けている一つの大きな源だもの。
    これは集大成。否が応でも盛り上がる。

    村上春樹さんの新刊発売との情報を聞き、速攻でポチる。
    2,970円は高い。確かに分厚い本だけど高い。
    なぜなら、村上さんはとあるエッセイで
    「発売する本はできる限り価格を安くできるよう努力している」と語られていたからだ。
    これが物価高騰ということ?

    それでも買いますよ。
    何十年も待ち続けていたんですから。

    で、感想。

    過剰なまでの比喩表現やハイド・アンド・シーク、
    ビートルズ、そして穴(井戸も)、さらには雪かき!

    などなど、村上春樹さんの小説の重要な要素はしっかり盛り込まれている。
    でも、セックスはなかったかな。(主人公はかなり切実に欲しているけれど)

    第一部は「世界の終わりと…」+「ノルウェイの森」で、僕が期待する村上ワールド全開の展開。
    いつまでも読んでいたい。どんなに長くこの世界が語られても僕は多分飽きない。懐かしさに浸りながら、至福の読書時間を堪能する。

    喪失感に覆われつつ、重要な選択をする主人公。

    第二部から、混迷の世界に入っていく。
    文章は平易だが、自分なりの理解や解釈ができなくなっていく。だけど…

    ー ねえ、わかった?わたしたちは二人とも、ただの誰かの影に過ぎないのよ。

    えっ、そういうことか。
    私たちは影を生きている。そして、私たちの本体は別の世界を生きている、ということなのか…

    そして、物語の中では影だから、噛まれた部分に痛みはあっても傷はなかったのか…

    そして、第三部…
    結末は…

    さまざまなことが、もやもやしたまま終わる。
    読者に委ねられるというより、そのまま終わる。

    満足はしない。
    ただ、まあ、人生というのは、そういうものなのだ。

    読み終えた夜は、なぜかいつもより時間の経過が遅く感じられ、僕は少しお酒を飲み過ぎてしまった。

    ♪この世の果てまで/スキータ・デイヴィス(1962)

  • 読み始めてすぐに、あれっ?知ってるよ?この話。
    と思った。
    そう、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のあの街です。
    図書館、林檎の林、角笛、獣たち……
    著者のインタビュー記事や、皆さんのレビューで多少は知っていたもののやはり驚き、ワクワクしました。
    そして自分の中では、パズルのピースがはまっていくような、答え合わせが出来たような感覚です。


    作品全体に流れる空気はとても静かで、しんとしています。
    躍動感や軽やかさはあまり感じられず、どこまでも穏やかに進んでいくのです。
    しかしラストでは……
    自分自身を信じること、心の底から信じればいいのだと、大きな勇気を与えられた気がしました。



    ※素敵だな、と思った場面※
    コーヒーショップの彼女とカウンターの席に並んで座り、自分たちが最近読んだ本の話をした。シングル・モルトのグラスを傾けながら。

    ※誕生日は何曜日?※
    少年が、何曜日生まれかを言い当てる場面がある。
    私も水曜日生まれ
    “非ロマンティック”な方法で調べました。

    ※美味しそうなもの※
    丁寧に淹れた紅茶
    ブルーベリーマフィン


    《追記》
    650頁程ある長編ですが、読みやすいです。
    細かく区切られており(70のチャプター)、少しずつ読み進める私にはピッタリでした。
    内容も丁寧で解りやすく、生きていく中での色んなモヤモヤに答えを与えてくれたような気がします。


    • くるたんさん
      aoiさん♪こんにちは♪

      この作品、なんとなく自分と波長が合いそうで図書館に予約中です。
      aoiさんのレビューでますますワクワクしてきまし...
      aoiさん♪こんにちは♪

      この作品、なんとなく自分と波長が合いそうで図書館に予約中です。
      aoiさんのレビューでますますワクワクしてきました✩⡱
      でもほぼ村上春樹作品初心者の私にはハードル高いかな〜( ˙-˙ ; )
      2023/06/02
    • aoi-soraさん
      くるたんさん、こんにちは♪
      ハードル高くないと思います
      波長が合うと良いですね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

      でも難解だとかよく分からない、と...
      くるたんさん、こんにちは♪
      ハードル高くないと思います
      波長が合うと良いですね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)

      でも難解だとかよく分からない、という感想も多いので、きっと深く読み込むと難解なのでしょう
      私にはそこまでの力がないので、文章に導かれるまま読み、満足しております(笑)
      私も村上春樹作品はほんの一部しか読んでません
      この本を貸してくれた職場の人には、1Q84を勧められていますが、あれも長いのよね〜
      いつか読もっ(⁠^⁠^⁠)
      2023/06/02
  • 実は初めて村上春樹さんの作品を読了しました


    今まで手に取ってみたことはありましたが
    どうしても文字が横滑りしてしまって
    なかなか読み進められず、
    ずっと挫折してました


    ある程度本を読むようになり
    今なら読めるかも!

    というのと、

    久々の新刊で、そしてすごい人気なので
    手に取ってみました



    いやーーー、分厚い!!!笑
    すごいボリュームです。



    案の定、やはりなかなか読み進められず
    苦戦しました(・・;)


    あれ?まだ35ページ?
    みたいなのを繰り返し
    斜め読みしながらどうにか読了。



    私には村上春樹は難解すぎました
    ファンの皆さんごめんなさい
     

    色んな方のレビューを読んで
    そのファンの多さに驚きました


    この世界観、空気感が
    人々を魅了するんでしょう。


    私にもわかる日が来て欲しい!!!
    誰かコレなら読めそうっていうのを
    教えてください!!!


    『世界の終わりと〜』もなかなか手に取れず
    自宅に積み本として眠っています笑


    でも読むなら今しかないなとも思っています



    さて、読めるだろうか…笑

    • どんぐりさん
      koalajさん

      こんにちは(^^)

      今日村上さんのところを読了しました!
      ボリュームはありましたが
      質問への解答はわかりやすく
      読みや...
      koalajさん

      こんにちは(^^)

      今日村上さんのところを読了しました!
      ボリュームはありましたが
      質問への解答はわかりやすく
      読みやすかったです(^^)

      村上春樹さんの人柄がよくわかりました!
      オススメしていただきありがとうございます(^^)
      2023/10/26
    • koalajさん
      どんぐりさん

      こんにちは。
      読まれたんですねー良かった♪

      私はこのエッセイ読むまで、先入観で「村上春樹は難しい」と思い込んでいたんですが...
      どんぐりさん

      こんにちは。
      読まれたんですねー良かった♪

      私はこのエッセイ読むまで、先入観で「村上春樹は難しい」と思い込んでいたんですが、これを読んだら、考え方はいたって普通だし文章もやさしいし、親しみを感じたのを覚えています。

      私もブクログを始めてから今まで読んだことのない作家さんにも挑戦するようになりました〜。
      2023/10/26
    • どんぐりさん
      koalajさん

      返信ありがとうございます(^^)
      文章自体は読みやすいですよね!
      また挑戦して村上春樹の世界観を体験したいと思います(^...
      koalajさん

      返信ありがとうございます(^^)
      文章自体は読みやすいですよね!
      また挑戦して村上春樹の世界観を体験したいと思います(^^)


      ホントにそうですよね!
      あんまり読まなかった作品も
      レビューを見たり、
      オススメしてもらったりして出会うことができて
      知らなかった作品を読めるのが楽しいです(^^)
      2023/10/26
  • 村上春樹ワールドへようこそ!
    はい、お邪魔しますw
    って事で、相変わらず面白かったです。

    第二部の図書館で館長として働く「私」は、第一部で脱出した「影」なのかな……
    第三部の「心の壁を抜け出す勇気」は我々読者へのエールだね!

  • 時間をかけてゆっくりと読みました。そう読まざるを得ない丁寧さで指でなぞるような文章でした。長い詩のような不思議な本です。

  • 現実の世界と、時間が意味をもたない、壁に囲まれた街という空間と、その間で揺れ動く夢の中。
    読んでいる間何度もうつらうつらしてしまい、ふっと気がついてまた続きを読むを繰り返し、読み終えるのにかなり時間がかかってしまいました。私自身もその空間にすっかり入り込んで彷徨っていたような感覚でした。

    主人公の「私」が高校生から45歳位まで歳を重ねていく…その過程ってあっという間でもあり長くもあり、そして高校生の心象をずっと持ち続けて大人になる…あぁそういうのって解るな、人の一生ってある出来事が重くずっと影響していくんだな、と思いました。時には自分なのか影なのか、現実なのか夢なのか、迷いわからなくなりながら。

    いつも感じることですが、村上春樹さんの言葉の使い方や表現の美しさに唯々感動!

  • 久しぶりの村上春樹ワールド。
    この空気感と世界観!
    意識の世界と、非意識の世界。
    ふわっとした流れ。

    一角獣が生息する壁に囲まれた街。
    心を持たないがゆえ安らかな日々を送る街の人々。
    人々は壁の街に入るため、影を引き剝がされます。
    これって、
    『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』
    の世界じゃないかな。

    現実の世界と、壁に囲まれた時間のない虚構の世界。
    17歳の「ぼく」。
    1歳年下の「きみ」(名前がない!) に心を奪われます。
    45歳の「私」(漢字になる)。
    壁に囲まれた世界で「君」と出会います。
    ある意味、純愛小説。

    45歳の「私」が現実の世界で働く図書館には
    個性的な人物が登場します。
    ベレー帽とスカートを愛用する初老の子易さん。
    とてもしっかりした仕事をする司書の添田さん。
    そして、サヴァン症候群と思われる少年。
    少年の名前は「M**君」としか明かされません。

    名前が明示される人とされない人。
    ここに隠されたパズルの鍵があるのでしょうか。

    かつて村上作品にハマったことがあります。
    ワクワクして、次々に読み漁りました。
    この作品も読みやすくて面白い。
    けれど今回は、あえて2点、辛口コメントをします。

    ひとつめは壁について。
    「疫病を防ぐため」と、一瞬 説明のようなものがあります。
    コロナ禍に書かれた作品であることを考えると
    何か特別な意味があるのではと期待しました。
    でも、それを掘り下げる記述は全くなく、
    「言ってみただけ」感に、思わせぶりで雑な感じが…。
    ふたつめは、閉塞感について。
    現実でも虚構でも、世界が閉じ過ぎているように思います。
    色々なことが起こるのですが、基本 とても静かで穏やかです。
    『世界の終わり~』の躍動感はどこへ行ったのかな。
    おっと、これこそが不確かな壁の正体?!?

    • 傍らに珈琲を。さん
      yyさん、本棚にお邪魔させて頂きました。
      こんにちは♪

      春樹ファンだというのに、何故か今回は発売日に購入して積んでおります。
      当時バタバタ...
      yyさん、本棚にお邪魔させて頂きました。
      こんにちは♪

      春樹ファンだというのに、何故か今回は発売日に購入して積んでおります。
      当時バタバタしていて1行目だけ読んで匂いを吸い込み(怪)、そのままタイミングを逃してしまいました。
      評判も良いので楽しみにしてるんですけれどね。

      で、ネタバレとあったのにyyさんのレビューを読んでしまいました 笑
      ある意味、純愛小説なんですね!
      と言うことは「1Q84」以来???
      そしてなんと☆2つ!
      逆に益々楽しみになってしまいました。
      2023/08/26
    • yyさん
      傍らにコーヒーを。さん

      コメントありがとうございます。
      ネタバレかどうかは微妙なところですが、安全を期して。

      ところで、2点と...
      傍らにコーヒーを。さん

      コメントありがとうございます。
      ネタバレかどうかは微妙なところですが、安全を期して。

      ところで、2点というのは辛口コメント2点という意味です(;'∀')
      分かりにくくてすみません。
      ブクログにあげる本に関しては すべてリスペクトしているので
      星が付けられないのです。

      「1Q84」♪☆彡!
      大好きで何回も読みました。
      ブクログを始める前だったので コメントは書いてないですけど。
      村上ワールドのダイナミズムが感じられる作品ですよね。

      話をこの作品に戻します。
      あえての辛口コメントを書いたのは、
      まさにそういったダイナミズムを ”私が” 感じなかったから。
      優しくて丸く収まっている感じがちょっと物足りなかったかな…。

      2023/08/26
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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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