オルタネート

  • 新潮社
3.61
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本棚登録 : 8673
感想 : 707
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103537311

作品紹介・あらすじ

私は、私を育てていく――。誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を真っ向から描き切る、加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繫がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。著者3年ぶり、渾身の新作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 「オルタネート」高校生限定マッチングアプリの名称。窪美澄さんの「アカガミ」システムの高校生バージョンが読めるのかなと期待していたので多少肩透かし感がある。オルタネートは、小説のちょっとした小道具にすぎず、小説の高校生達は、切に現実と向き合っている。彼らの現実は、本当の現実の高校生達より、なぜか、希望的高校生像だったりする。
    お話は、きちんとしている。青春群像劇でさえある。高校生達は、自分たちに近い小説として高評価している。だから、あっぱれなのだよ。
    冒頭の遺伝子レベルでのマッチングという設定に、そうそうこういうやつ読みたいです。と思ったのだけど、遺伝子採取方法あたりまで。私は、もしかしたら、性格だけは遺伝しないのでは?と時々考えていたから、どう描かれるのか期待しすぎちゃったのよ。

    • おびのりさん
      残念な事に、文庫でない。
      残念な事に、文庫でない。
      2023/02/19
    • おびのりさん
      よく書いてるよ。
      歌って踊って書けるんだから、たいしたもんよ。
      少しだけ思うのは、この小説は、何故か、一番多く書かれているには、調理部の高校...
      よく書いてるよ。
      歌って踊って書けるんだから、たいしたもんよ。
      少しだけ思うのは、この小説は、何故か、一番多く書かれているには、調理部の高校生料理バトルのシーンなのよ。その調理方法とかも、書いちゃうんだけど、自分の知識の範囲で書こうとしてるかなーって。オルタネートってアプリも面白い設定なんだけど、今、考えられる設定以上ではないんだよね。
      直木賞候補作って、取り上げられてなかったら、☆3はつけたかもです。普通には読めるのだから、無理に候補にしないほうが良かったのでは?
      2023/02/19
    • 土瓶さん
      そもそも、この著者を知らない。興味もないし。
      ジャニーズ? 若手俳優さん?
      まあ、読みたいとは思えないな。
      そもそも、この著者を知らない。興味もないし。
      ジャニーズ? 若手俳優さん?
      まあ、読みたいとは思えないな。
      2023/02/19
  • 加藤シゲアキの直木賞候補作。直木賞の受賞は惜しくも逃したが(選評を読むと、かなり推されていたようだ)、全国の高校生によって選ばれる高校生直木賞を受賞している。
    デビュー作の『ピンクとグレー』に続き、加藤さんの作品を読むのは2冊目だ。

    オルタネートは、高校生限定の近未来アプリ。スマホにある情報をオルタネートに提供し、自分だけのオルタネートを育てる。それにより、オルタネートはユーザーが指定した条件に合わせて数多の高校生から相性のいい人間をレコメンドしてくれる。今や高校生の出会いのためにダウンロード必須の人気アプリとなっている。

    調理部の部長をしている蓉。昨年の雪辱を晴らすため、高校生の料理コンテスト番組『ワンポーション』に出場予定。

    オルタネート信者の凪津。オルタネートの新機能、遺伝子を利用したマッチング機能により、より合理的な出会いに期待している。

    高校を中退した尚志。小学生のときのバンド仲間を訪ねて、大阪から東京に出てきた。

    この3人のストーリーが少しずつ絡みながら展開していく。特に『ワンポーション』に出場する蓉の料理にかける情熱、リベンジにかける想いは熱くて、一年生のペアえみくとの信頼関係の構築、本選の激闘ぶりなど、これだけでも十分読み応えあった。

    ただし、タイトルが『オルタネート』のわりに、ストーリーはオルタネートが中心というわけではなく、どっちつかずな印象。最後にストーリーが集約していくのだけど、尚志はちょっと浮いていたと思うし、尚志の代わりに、オルタネートの申し子のようなダイキを3人目にした方が全体としてまとまりが出たんじゃないかという気がした。
    結局のところ、アプリ上の関係よりも、直接の交流こそ大切ということか。でも「こうすべき」という主張よりも、個々の生き方、選択を肯定していて、寄り添っている感じがした。

    私も楽しく読んだけども、デジタル世代である若者にとって特に親和性のある話なのだろうなと思う。

  • 若い人向けの小説。

    もちろん僕みたいなおじさんでも楽しめます。でも、若い頃読みたかったな。おじさんになるとある種の感性が鈍ってきて、素直に楽しめなくなる。
    この小説には若い人だからこそ感じられる美しさが詰まっている気がした。

    と思っていたら、浅田次郎さんの評。
    「異言語を無理に読んでいるようなつらい気分になった。むろんそれは、私自身の旧弊によるのであるが、ならば作者も登場人物の世代から見ればよほど旧弊であろうから、やはり無理をして本作に挑んだのではあるまいかと思った。」
    なるほど、そうか。
    いくらアイドルといえども30代。
    そういう見方もある。

    さて、この作品、高校生限定マッチングアプリ、料理バトル、バンド物語、園芸の話がごった煮な構成。それぞれは着想が面白いし、よく考えられている。
    でも、それぞれの繋がりが薄い。
    だから、連作短編集の体にした方がのめり込みやすかったかもしれない、と思った。

  • 「オルタネート」は、
    いわゆるマッチングアプリ。
    いかがわしいものではなく、
    身元確認がしっかりめで
    現役高校生しか利用できない、
    という設定です。

    高校生の時分なら
    私も登録していたかも。

    遺伝子検査の結果を反映した
    相性診断は、
    運命の人を知るようで、
    つい覗きたくなりますね。

    並行するエピソードがクロスして、
    同時にクライマックスを迎える
    後半の躍動感が見事でした。

    そして、凪津が銀杏並木のなかで
    叫ぶシーンが印象的でした。
    「今までの自分を否定したりしない!」
    「もっと自分を信用することにする!」
    「もっと自分を好きになる!」

    なんだか少し、元気をもらいました。

  • マッチングアプリを使った高校生の生活を描いた物語。

    今の時代ならでわの物語だなと感じた。別々の高校生三人を主人公に描かれており、それぞれの話が交互に緩やかに流れていく。
    大きな展開や大きな感動は特になかったが、登場人物の心情やその変化が、周りの情景によく表されていて表現が上手だなと感じた。
    料理の表現についても、とても丁寧に描かれていて面白味があった。

    最後はそれぞれが、一歩前に踏み出しほっこりできる話でした。

  • 加藤シゲアキが語る、本との劇的な出合い「これは自分だ、と思わされる本に一度でも巡り合えば、読書の魅力が分かるはず」 | WEBザテレビジョン
    https://thetv.jp/news/detail/1094919/

  • 予約した翌日に直木賞候補になり
    予約者が激増したので、最初は頑張って読みましたけど
    後半すごく面白くなりました。

    すっかり忘れていた高校時代文化祭のことを思い出しました。
    1年の時も2年の時も私、中心になってやっていたんだわ。
    1年の時はくじ引きで委員になってしまっていたし
    2年の時は仲の良かった子たちがそういうの好きだったから。

    はたと気づいた。
    高校時代、全然勉強した記憶がないのだけど
    もしかしたら、ちゃんと勉強していたのかしらね?
    忘れているだけで。
    成果はなかったけど。

    閑話休題。
    この本の高校生が私と違うのは、
    高校入学前からスマホを使いこなしている世代ということ。

    著者加藤シゲアキさんはデジタルネイティブではあるけど
    この高校生たちよりお兄さんで、ちょっと違うでしょう。

    興味深いところ。
    〈尚志は歩きながら、アスベストのことを考えた。
    かつては便利だと重宝されていた建材が
    一転して悪者になる道理はなんなんだろう。
    いいか悪いか判断しきれていないのに
    どうして使ったんだ。
    取り付けるより取り除く方が
    よっぽど大変に違いない〉

    さて最後まで読んで、
    「シゲアキお兄さんは
    『やっぱり、まずリアルだよ』
    と高校生たちに伝えたいのだ」
    と思いましたが
    どうでしょう?

  • タイトルは架空のマッチングアプリ。
    それぞれに大事なものがある高校生たちを熱っぽく描いています。

    円明学園高校3年の新見蓉(にいみ いるる)は調理部で、高校生の料理対決番組に何を出すか研究するのに夢中。
    番組と言ってもネット上、というのが今ですね。
    オルタネートには興味がない。
    ライバル校の男子部長と惹かれ合うようになるが…?

    一方、クールな伴凪津(ばん なづ)はオルタネート信奉者。
    オルタネートは高校生限定のアプリで、合う相手を選んで紹介してくれるため、無駄がなく付き合えると考えています。
    そうはいっても、そこまでピッタリの相手はなかなかいないのだが、ある日…?

    楤丘尚志(たらおか なおし)は高校を中退し、それと同時にオルタネートには登録できなくなりました。
    円明高校にかってのバンド仲間がいて、音楽をやめてしまったのに納得がいかず、会いに来たのです。
    そこでたまたま、パイプオルガンを弾いていた少女の音に聞き惚れて…?

    蓉の料理コンテストの話が多く、わかりやすくもあるので、オルタネートとは関係がないのが意外な印象。
    伴凪津のオルタネートの利用法やその顛末はやや薄い感じで、これは結局、マッチングアプリの限界を示してもいるのかしら。
    ただ、想定外の結末はひりひりとして、それまでと違う真摯な向き合い方に。
    高校生の頃にこんなネット利用が当たり前ではなかった世代には驚きです。

    それぞれにかなり書き込まれていて最後は盛り上がり、その熱っぽさに感動しました。
    直木賞候補になったのは大いに納得。でも選ばれなかった理由もわからなくないことはない?微妙~
    力作だと思います。

  • 3つの中編を同時展開されているような一冊。

    尚志の小学校の頃の最高のバンド仲間にいつまでも執着する気持ち少しわかるなあ。
    どれだけ経ってもやっぱりあの時は良かったってその瞬間には気づかなくても思ってしまう。

    そういえば、先日の卒業式で担任の先生が高校の友達と会いたくなったりするとは思うけど、それはあまり好ましくない。
    後ろを向いてないで、ひたすら前を向き続けて行きなさい。と言われたのを思い出した。
    その瞬間は残酷な言葉だなと思ったけれど、最後に尚志も豊に執着はしつつも、通信制の高校に入ったり前に進んで出る。
    一途っていい言葉に捉えられてることが多いけど、一途と執着って結構似てるのかな。
    同じ所に留まり続けるほど楽なことはないしね。(脱線しました。)

    個人的に好きなシーンはワンポーションのカウントダウン。
    3つの世界の話が同時に繰り広げられていて、もちろんワンポーションのタイムリミットがあと少しだということの緊張感が一番であるけれど、そこにかつてのバンド仲間の絆や、桂田と凪津が本気で向き合おうとしているシーンにグッときた。緊張の中に温かみのあるこのシーンが1番印象的だった。

  • 祝!直木賞候補!
    いろいろあった2020年だったけど、「タイプライター」で感じていた又吉との差が埋まる気がする。

    加藤シゲアキ、待望の長編。
    毎年1冊ぐらいのペースで新作を書いているが、前回はエッセイだったので、新作が出て「待ってました!」と思ってたけど、メインのテーマが高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」と言うことで、読み始めるまでは抵抗があった。
    でも、「タイプライター」を観て、一念発起。
    前作の長編「チュロベースで待ってる」でミステリー要素もあり、大人な作品を書いていただけに、青春小説に戻ってしまったことが、少し残念。
    内容も、もっと「オルタネート」に振り回される高校生の姿が描かれるかと思ったけど、実際には「オルタネート」はそれほど登場せず、「ワンポーション」と言う料理大会に熱情をかける蓉、「オルタネート」に自分の恋愛を任せる凪津、大阪から転校した友人を探しに来た尚志と大体3人のパートで構成される。
    最後に劇的な何かがある訳でもなく、純文学としては悪い作品ではないが、物足りなさは感じる。

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著者プロフィール

1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWS のメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』 とヒット作を生み出し続ける。2020年刊行の『オルタネート』で、21年に第164回直木三十五賞候補、第42回吉川英治文学新人賞受賞、第18回本屋大賞第8位、第8回高校生直木賞受賞。アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

「2022年 『1と0と加藤シゲアキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤シゲアキの作品

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