- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103537311
作品紹介・あらすじ
私は、私を育てていく――。誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を真っ向から描き切る、加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繫がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。著者3年ぶり、渾身の新作長編。
感想・レビュー・書評
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最初はアイドルのかく小説はどうなんだろう?と、思っていたけどすごく面白かった。高校生限定マッチングアプリ、オルタネートが必須となった時代。主な登場人物、いるる、なづ、なおしを描いていく。それぞれの物語が順番に進んでいくところもよかった。次はいるるどうなるのかな?ワクワク!でも、次はなづの話だ!という風に楽しめた。個人的にはなづがいちばん好き!
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「オルタネート」高校生限定マッチングアプリの名称。窪美澄さんの「アカガミ」システムの高校生バージョンが読めるのかなと期待していたので多少肩透かし感がある。オルタネートは、小説のちょっとした小道具にすぎず、小説の高校生達は、切に現実と向き合っている。彼らの現実は、本当の現実の高校生達より、なぜか、希望的高校生像だったりする。
お話は、きちんとしている。青春群像劇でさえある。高校生達は、自分たちに近い小説として高評価している。だから、あっぱれなのだよ。
冒頭の遺伝子レベルでのマッチングという設定に、そうそうこういうやつ読みたいです。と思ったのだけど、遺伝子採取方法あたりまで。私は、もしかしたら、性格だけは遺伝しないのでは?と時々考えていたから、どう描かれるのか期待しすぎちゃったのよ。-
2023/02/19
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よく書いてるよ。
歌って踊って書けるんだから、たいしたもんよ。
少しだけ思うのは、この小説は、何故か、一番多く書かれているには、調理部の高校...よく書いてるよ。
歌って踊って書けるんだから、たいしたもんよ。
少しだけ思うのは、この小説は、何故か、一番多く書かれているには、調理部の高校生料理バトルのシーンなのよ。その調理方法とかも、書いちゃうんだけど、自分の知識の範囲で書こうとしてるかなーって。オルタネートってアプリも面白い設定なんだけど、今、考えられる設定以上ではないんだよね。
直木賞候補作って、取り上げられてなかったら、☆3はつけたかもです。普通には読めるのだから、無理に候補にしないほうが良かったのでは?2023/02/19 -
そもそも、この著者を知らない。興味もないし。
ジャニーズ? 若手俳優さん?
まあ、読みたいとは思えないな。そもそも、この著者を知らない。興味もないし。
ジャニーズ? 若手俳優さん?
まあ、読みたいとは思えないな。2023/02/19
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ザッカーバーグがFacebookを作ったのも似たような発想だったと思う。何の話かというと本小説で取り上げられる「オルタネート」という高校生限定のマッチングアプリの話。Facebookも最初は特定の大学向けに開始されたものが広く公開されたのだが、目的は学生同士の交流の活性化。オルタネートは、恋人探しツール(で良いのかな)。
で、これを登録する人、しない人。登録の仕方も遺伝子情報を頼る人などがいて、小説自体が社会実験的様相を帯びる。面白いなと思って最後まで読み切ったが、作者がジャニーズの人だという事を他の方のレビューを読んで知った。だからどう、という事もないが「登場人物の言葉遣いや振る舞い」は、著者の人生観や価値観を反映するもので、バックボーンがアイドルであるというのは、感性や思考を小説から読み取る上で興味深い。いや、単に“モテない男が描くモテ男”と‟モテ男が描くモテ男“は異なるのかなど、そういう個人的興味の話だが。
それに加えて、こういうツールの是非みたいな所。若者の草食化傾向、少子化対策のような事にテクノロジーが有効なのか。おじさん、おばさん達向けには既に婚活的な領域でそうしたツールは溢れていて、生々しく年収や職種、ルックスで仕分けられるようだが、高校生ではどのような序列化項目が存在し得るのか。年収ではないだろうし、成績・・でも無いような気がする。この小説ではあまり外見に触れるような記述がないように見えたが、結局、10代のパートナー探しにおいて支配的に作用する序列化項目は、ほとんどルックスではなかっただろうか。そうすると物理的な接触範囲を超えた情報共有は、参加者全てを数値化した上で超大規模な美少女・美少年コンテンストと化して序列化されていく。碌な世界じゃ無さそうだ。人を評価するパラメーターは、年収でも良いから、複数あった方が優しい世界ではある。
優しさや誠実さ、共感性をどのように信頼できるパラメーターとして登録できるだろうか。そうした試みを省き、遺伝子情報を利用する。ルックスにしてもそうだが、生得的な評価軸で序列化される残酷な世界。
そんな世界を想像できるのは、だからこそアイドル故なのではないかと、思考が繋がっていく。まあ、そんなことよりも、青春ドラマ仕立てが普通に面白かった。好みにもバラツキがあるだろうし、その多様性こそ、優しい世界でもある。 -
著者、加藤シゲアキさんは、ウィキペディアによると、次のような方です。
---引用開始
加藤 シゲアキ(かとう シゲアキ、1987年〈昭和62年〉7月11日 - )は、日本のアイドル、歌手、俳優、タレント、小説家、劇作家。男性アイドルグループNEWSのメンバー。旧芸名 ・本名は、加藤 成亮(かとう しげあき)。愛称は、シゲ。
---引用終了
で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。
---引用開始
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体ー。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。
---引用終了 -
現役高校生だけが利用
できるオルタネート。
所謂マッチングアプリ。
身元確認しっかりめで
如何わしい代物に非ず。
私の高校時代はスマホ
もなにもなかったけど、
あの頃に出会ってたら
そうね私も使ったかも。
遺伝子検査に基づいた
相性診断は、
運命の人を知るようで
つい覗きたくなるはず。
気になるあの人が実は
運命の人かも?なんて
ドキドキしつつ♡
並行するエピソードが
クロスして、
同時にクライマックス
を迎える後半の躍動感
が見事です。
そして凪津が銀杏並木
で叫ぶ台詞がよかった。
「今までの自分を
否定したりしない」
ティーンだって、いえ
ティーンだからこそ、
あれこれ思い悩み葛藤
するんですよね。 -
若い人向けの小説。
もちろん僕みたいなおじさんでも楽しめます。でも、若い頃読みたかったな。おじさんになるとある種の感性が鈍ってきて、素直に楽しめなくなる。
この小説には若い人だからこそ感じられる美しさが詰まっている気がした。
と思っていたら、浅田次郎さんの評。
「異言語を無理に読んでいるようなつらい気分になった。むろんそれは、私自身の旧弊によるのであるが、ならば作者も登場人物の世代から見ればよほど旧弊であろうから、やはり無理をして本作に挑んだのではあるまいかと思った。」
なるほど、そうか。
いくらアイドルといえども30代。
そういう見方もある。
さて、この作品、高校生限定マッチングアプリ、料理バトル、バンド物語、園芸の話がごった煮な構成。それぞれは着想が面白いし、よく考えられている。
でも、それぞれの繋がりが薄い。
だから、連作短編集の体にした方がのめり込みやすかったかもしれない、と思った。
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登場人物の名前が頭に入ってこず、苦しみました笑
若い人向けの小説ですね。やっぱりSNS系には気持ちが入り込まないというか、無感情のまま読み進めてしまい読了といった感じです。ただ、全体的に綺麗な作品ですね。著者の知名度ありきでもこういった作品が書けて世に知れ渡るのには、実力と運が無いと無理です。他の作品も機会があれば読んでみようかと思いました。 -
「オルタネート」とは、高校生限定のSNSアプリのこと。アカウントを作るには、本名で登録しなくてはいけません。登録すると、メッセージを送り合ったり、動画を投稿できたり、なんと、ユーザーの条件に合わせて、相性のいい相手を紹介してくれるという、マッチング機能もあります。出会いを求める人は積極的に使うし、逆に、つながることが怖くて、消極的な人もいる。
この本は三人の高校生の群像劇です。
①調理部の部長を務め、高校生料理コンテストに青春を賭ける容(いるる)。
②オルタネートを使って、自分の遺伝子を解析してもらい、何としても、完璧な相手を遺伝子レベルで探してもらいたい凪津(なづ)。
③高校を中退して毎日モヤモヤ過ごしている。でも、音楽への情熱を捨てられない、ドラマーの尚志。
この三人の、悩み、苦しみ、もがきが、強く胸に迫る作品です。クライマックスに向けての、それぞれの気持ちは、まるで激流に揉まれているようです。自分で進む道を自分で探して、一歩前進した三人に、エールを送りたいです。
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青春だなぁ。
『オルタネート』という架空の交流アプリの世界をさらっと説明して話をすすめていくところが面白い。
新見蓉(にいみいるる)の料理 、伴凪津(ばんなづ)のオルタネート依存、楤丘尚志(たらおかなおし)の音楽愛、この3人の順番でぐるぐると章ごとに主人公を変え、文化祭の日でクライマックス。24章構成になっています。
時制が直線状態なので主人公が変わる割には流れがわかりやすい。ですが、なんで連作短編集じゃないんだろうとも思います。
後輩との信頼関係だったり、スマホに対する恋愛問題の精神的依存であったり、将来の夢であったり、を、中高生をターゲットに書かれていて、中高生にはめちゃくちゃ刺さるんだろうなと思う。
表紙はとってもかわいい。けれどもこの手の表紙はおっちゃんおばちゃんには手が出にくいねん…。
著者プロフィール
加藤シゲアキの作品





