オルタネート

  • 新潮社
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本棚登録 : 140
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103537311

感想・レビュー・書評

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  • 今の高校生たちの、多分最先端の、あるいは少し先のリアルなんだろうな、これが。
    SNSが生活の中に当たり前にある彼らの、そのSNSへの依存具合、そこに判断のすべてをゆだねる現実と、あえてそこから一歩引こうとする次のステップとのせめぎあいのような。

    高校生専用のSNS(実名も、個人情報も登録することで相性のいい相手をマッチングしてくれるツール)を頼りに友だちとつながっていく高校生。
    ネットでつながることに抵抗のないデジタルネイティブたちが、そのデータだけの相性から少しずつリアルでのつながりへと軸足を移していく姿になんとなくほっとする。
    それでもきっかけはどんな形であっても、実際に会うことから、相手の顔を見て、言葉を交わして、同じ時間を過ごすことでしか得られないものを自分の手でつかんでいくしかない、それが現実。

    親への幻滅からデータだけで完全なる相性の良い相手を見つけると決めている凪津、ゲイであることをSNSでカミングアウトしているダイキ、料理を通じて自分の居場所と進むべき道をつかもうとしているいるると三浦君、そして大阪から小学生の時の相棒を探して上京した尚志。それぞれの痛みが手に取るようにわかる。わかるんだ。

    これが高校生のリアル。使うツールは違っていても彼らのそれぞれの目の前にある不安や焦り。そして怒りと情熱は、多分きっと普遍的なもの。

  • 一つ一つのお話が簡潔で分かりやすく、それでいてそれぞれにちゃんとドラマのある群像劇だった。
    群像劇が苦手な人にもおすすめ。
    マッチングアプリ、料理コンテスト、軽音、と合わなさそうな3つを題材に、違和感なくストーリーが組まれているのも良かった。

  • 全国の高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」。恋愛相手を探すだけでなく、友達を探したり、情報共有としても活用されている。
    ある高校を舞台に「オルタネート」によって繋がれた人達が、恋愛や友情、情熱など何かに熱中していく姿が描かれた青春小説です。

    何よりも最初に読み始めて思ったことは、“今“ならではの作品だなと思いました。蓉(いるる)や凪津(なづ)といった登場人物が出たり、マッチングアプリといったアイテムを使って全国の高校生と繋がるという昔とは違った高校生像が描いていました。

    物語の構成としては、三人の登場人物を軸にそれぞれの物語が同時進行し、章ごとに視点が変わっていきます。

    料理コンテストやマッチングアプリ、音楽にそれぞれ苦悩しながらも、懸命に頑張る姿が描かれています。
    最初は、微妙なところで繋がっていますが、後半に差し掛かると、3つの物語がシンクロしていき、良い具合に調和されていきます。

    個人的には、加藤作品の中では一番好きでした。
    今までの作品でも心の葛藤や嫉妬といった“闇“の部分が際立って描くことが印象深かったのですが、今回は高校生たちの青春っぽさ、何かに熱中している描写も相まって、陰湿さがあまり際立っていませんでした。むしろ、青春小説としての醍醐味を味わうことができました。言葉の表現も以前よりも豊富に散りばめられている印象で、全然アイドルよりも小説家の作品として楽しめました。

    一番好きだったのは、料理コンテスト大会のパートでした。
    難しいテーマに立ち向かう高校生の奮闘や恋愛の甘酸っぱさ、テーマに沿った料理の完成作品が面白く、夢中で読んでいました。

    他にも何かに熱中するが、そこで待ち受ける苦悩、それに負けずに奮闘する姿が、丁寧に描かれていて、世界観に惹き込まれました。

    マッチングアプリで繋がる人と人との繋がり。AIで導かれる最適の恋人、機械に頼らずフィーリングで選ぶ恋人。はたまた友人も。色々な方法がありますが、スタート地点にしかすぎません。そこから、どうしていくのか。判断は自分にしかできません。高校生に限らず、色んな世代にも当てはまるかと思います。登場人物達の恋愛模様は、読んでいて甘酸っぱくもあり、ほろ苦さもあり、青春だなと感じさせてくれました。

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著者プロフィール

加藤シゲアキ(かとう しげあき)
1987年生まれ、大阪府出身。青山学院大学法学部卒。2012年1月、『ピンクとグレー』で作家デビュー。同作は16年に映画化され、大ヒットした。以降『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』(以上、渋谷サーガ3部作)と年1作のペースで執筆を続ける。最新刊は『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』。NEWSのメンバーとして芸能界でも活躍の場を広げ、近年はドラマやバラエティ、情報番組などに出演し、アイドルと作家の両立が話題を呼んでいる。

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