夜景座生まれ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103538110

作品紹介・あらすじ

中原中也賞、現代詩花椿賞の受賞を経て、詩の映画化、詩の個展、詩と建築のコラボレーションなど、詩人という枠を超え、存在が加速し続ける最果タヒ。現代のその先を切り開く、運命の第8詩集。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに最果タヒさんの詩集を読みました。
    この詩集は、今までのようなポップな感覚は少し薄まり、ひどくうら悲しいような淋しい気持ちになる詩が多いと感じました。
    淋しいと言ってもそこはやっぱり最果タヒさんなので、2020年的淋しさですが。

    あとがきで、最果さんは「自分が生きている日々すべてを、自分がちゃんと選んだとは思えない。むしろ、流されてしまうこと、自分じゃ止められなかったこと、”そうせざるを得なかったこと”がいくつも自分の中にうずまいていて、それでもその日々が自分の人生として、自分の人格として、刻まれていってしまう。そのことにひどく疲れることもあるけれど、それでもその先にある明日や明後日が真新しいものであることを信じずにはいられない」と述べられていますが、そういわれてみると、この詩集はそういう趣旨のもとにかかれたものであるような気もしました。



    「流れ星」

    本当にぼくは孤独だ、と言ったときの、
    本当に、は、だれに証明するための、もので、
    だれがぼくの孤独を疑ったのか。(だれも疑っていない
    だれもが聞き流している、川が流れている、
    ぼくを聞き流している、
    春の水が夏の水になった瞬間をぼくも知らない、
    水はみんなぼくを聞き流して簡単に海に行ってしまう。)
    さみしいって言えよ、とだれかが言った。
    腹が立って、ぼくはさみしいと叫んだ、
    だれももうさみしいという言葉を使えないぐらいに
    うつくしく叫んだ。そうやって人類は、歌を発明しました。
    ぼくは、心がなくて、
    きみにはあるから、きみはぼくにそれをちょうだい。
    人類はそうやって、愛を発明しました。



    「傷跡」「天国手前」「5月」「氷の詩」「海の詩」もよかったです。

    • goya626さん
      私の中では、詩の分野は中原中也、立原道造辺りで止まっていますねえ。
      私の中では、詩の分野は中原中也、立原道造辺りで止まっていますねえ。
      2020/12/15
    • まことさん
      goya626さん。
      私は、逆に、その辺の方をあまりよく読んでいないです。(一応ブクログの本棚には、どちらも載せていますが)
      長田弘さん...
      goya626さん。
      私は、逆に、その辺の方をあまりよく読んでいないです。(一応ブクログの本棚には、どちらも載せていますが)
      長田弘さんは、私より上の世代の方でも親和性の持てる作品を書かれていると思います。
      もしよかったら御一読ください。
      図書館にも、たくさん置いてあるはずです。
      2020/12/16
    • goya626さん
      見てみます。
      見てみます。
      2020/12/16
  • 加藤シゲアキ先生が前におすすめしていたずっと積本になっていた詩集を久しぶりに手に取ってみた。少しだけ読むつもりがすっと心に沁みてあっという間に終わってしまった…!⁡
    ⁡以前銀色夏生先生はよく読んでいたけどまた違って新鮮だった!⁡
    ⁡生、命、血が印象に残った…-。⁡

  • 最果タヒさんの詩集。夜景座生まれ、というタイトルが一年の終わりのこの慌ただしい日々にとても静かに魅力的に響く。

  • まず、『夜景座生まれ』というタイトル自体がとても好き。最初は音の響きが好きだと思っていたけれど、あとがきを読んでそのネーミングの経緯を知るとまた一段と、別のベクトルで好きが増幅する。

    『夜景座生まれ』に収録されている詩は全体的にどこか仄暗く、物悲しさが漂っているような気がした。でも最後にはその物悲しさを包み込んでくれる優しさがあるような気がして、それが救いになっている。特に私は最後の「海の詩」が好きで、これがこの詩集の〆でよかったと思った。

  • 久しぶりに読みたくなって、いつかぶりの再読。

    今回はとくに「土の匂い」が面白く感じて、スッと心に染み込んだ感じがした。

    全ての詩を読み終わったあとに待っている「あとがき」が良い味を出しているなぁと毎回思う。

  • (ぼくの恋人は水色や白色の景色をみつめて、孤独で仕方が無いのに生きるのは誰かと恋をしているからだろうかと思った、でも恋人はこれからもずっと、ぼくに出会うことがない)

  • 【最果タヒさんのちょっとした話】

    最果タヒさんといえば、
    謎の多い詩人というイメージが強いのではないでしょうか。
    顔も公開されていません。

    テレビなどで声や、顔を本などで
    隠して雑誌などの写真に写っているそうです。

    作家の顔で作品の印象が変わるのを
    避けていると本人は言っています。

    確かに、本を読んで実際に作者の方の
    写真や顔を見ると作品を見るイメージが変わります。

    例えば、とても武骨で硬い、
    男性が書いたような作品が実は
    20代の女性の方が書いていたなんて
    知ったらその作品のイメージは変わります。

    それを避け、詩の持つ印象や作風に
    作者の方の顔のイメージが付かない
    というのはいいことだと私は思います。

    感じ方は人それぞれですし、
    こういう人が書いたのかという
    イメージに影響を受けることもありません。

    純粋に作品を読んだままに
    感じることができるでしょう。

    そう言ったところが最果タヒさんの
    ミステリアスで注目される理由にも
    なっていると思います。

    また、ネットで囁かれている噂?
    の一つとして「タヒ」が「死」という意味
    なのではないかという噂です。

    これはネットスラングで「タヒ」と書いて
    「死」と意味するところからきています。
    「死」の下の部分が「タヒ」になるからですね。

    これについては否定されています。
    そもそも最果タヒさんがこの名前を
    付けた時点でこのネットスラングは
    存在していませんでした。

    また、他にも「タヒチからきている」などなど
    噂はたくさんありますが、どれも違うそうです。

    【詩人だけど「詩」だけじゃない!?】

    最果タヒさんは詩人として
    「詩」が注目されていますが、
    最果タヒさんは「詩」だけじゃないんです。

    例えば、公式ホームページはとても独特です。

    文字がバン! と大きく出てきて、
    Twitterのツイートが文字として
    表示されています。

    なんとも不思議なホームページです。
    これもメディアアートの一種なのでしょうか。

    そして、右上のメニュー欄には
    GAMEという表記があります。
    遂、興味本位で押したらなんと
    シューティングゲームでした。

    詩とシューティングゲームの融合
    というまったく新しいメディアアートですね。

    ホームページには他にも、
    HACKというところには
    言葉遊び的な詩の紹介ページがあります。

    詩くはっく、いまなん詩゛など、
    言葉遊びと詩を組み合わせています。

    是非見てください。

    他には詩とホテルの融合の話もあります。
    2019年12月9日~2021年3月8日の期間に、
    「最果タヒさんの言葉の海に泊まる」、
    「最果ての地のオアシス」
    というコンセプトの期間限定で
    京都のホテルで宿泊できるホテルの一室
    が出来ました。

    部屋の至るところに詩が書かれていて
    詩に囲まれながら部屋で過ごすことができるそうです。

    このプロジェクトに際して、
    最果タヒさんが下記のような言葉
    を寄せています。

    「帰るということが、大人になるたびに難しくなる。
    家の鍵を持ったって、帰り道を覚えたって、鍵も持たなかった、
    道もわからなかった子どもの頃よりずっと、『帰る』ことがわからない。
    自分で選んだ家具や家電で部屋を作っていったところで、
    どうしてか、そこに収まるだけが「帰る」ではないように思う。
    自分が、ちょうどよく作った場所が、
    私の本当の「ちょうどいい場所」ではないのかもしれないと思うたび、
    すこし、遠出がしたくなります。」(本文より引用)

    私も泊まりたかったのですが、
    知ったのが終わってしまってからだったので残念です。

    次の機会には、是非泊まってみたいです。

    【誰かの心のモヤモヤ『夜景座生まれ』ってどんな作品?】

    私は詩を読んでいると心に響きます。
    有り体な言い方になってしまいますけど、
    この言い方が一番しっくりきます。

    例えば、一番初めの『流れ星』という詩では、
    初めに「孤独」、そして「水の流れ」、
    そして「愛」で終わります。

    このキーワードの繋がりと短い文章の中で
    最大限伝えたいことを伝えようとすること
    それが詩であるのだなと読んでいて感じました。

    また、そこが最果タヒさんのすごいところでもあると思います。
    分からないと感じる作品もあるけれど、

    分かる気がするところが面白さに繋がります。

    タイトルに『生まれ』と付いているためか、
    この詩集では肉体的で生々しい詩が
    多いように感じます。

    そして、
    やはり毎回面白いと感じるあとがき。
    様々な本を読んでいますが、
    面白い本は大抵あとがきも面白いものです。

  • 最果タヒさんの書く詩がとても好き
    独特な言葉選びは最果タヒさんにしか生み出せないと思う

    いつもの詩集とはまた違った雰囲気
    驟雨のように言葉が降ってくる

    「ヨーグルトの詩」と「静寂の詩」が好き

  • 夜景座生まれ タイトルと表紙に惹かれて読んだ、
    全体的にちょっと暗めで、合わなかった

  • 今、わたしが読むべきものだったのだ、と読み終わって実感した。

    私たちには、行けない場所など何処にも無い。どこにだって行ける

    不思議と、春の匂いがする詩ばかり

    この本は、お金に余裕が出来たら買う

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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