- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103538318
作品紹介・あらすじ
分刻みの日常を疾走する若き才能は、いかにして未来を見通しているのか? 来るべき未来は半歩先から始まっている──。研究者、教育者、メディアアーティスト、経営者……。ジャンルの垣根を越え、新たな価値を生み出し続ける異才は、どう時代と対峙し、考えを深化させているのか? 混迷を極めるパンデミックの中で、将来への展望を開くために必要な思考プロセスを明かした、革新的「考える流儀」。
感想・レビュー・書評
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様々なメディアなどで活躍する著者による、思考術の本、のつもりで読んでみたのですが、全く違うものでした。
この著者による思考術の本なら、新たな視点が得られるものと思っていたので、個人的には少し残念な印象でした。
著者が、SNSで連載していた記事を加筆修正したものという内容で、しかも、書いた時期も2019年から2021年、それをさらに数年後に読んでいるので、余計にそう感じました。
本書の中で、「読んでない人は何をいっているかわからない。でも普段会話する人は読んでいる人だからまぁ大丈夫。これがいつものパターン。」と書いているように、普段から著者のメディアに接し、著者を知っている人であれば理解できるのかもしれませんが、中途半端でああると、ほぼ内容が理解できませんでした。著者の違う内容での著書があれば、また挑戦したいと思います。
その中でも、アメリカでスマホをタクシーに忘れた話はリアルで面白かったです。
▼一見遠そうで近いもの。当人からすれば半歩先の未来が想定し続けることの連続が未来に繋がる
▼柔道家 羽賀龍之介「量だけでは弱く、質だけでは脆い」
▼伝えようとする努力は社会に影響をもたらすし、新しい構造を作る刺激になるし、回り回って社会に資本を生み出すきっかけや、新しい社会システムだったり、芸術的価値や研究的到達点を生むことになるだろう。おそらくは、理解されない価値、しかしながら未踏の領域に歩みを続けること、足跡を見せることへの諦めがない限りは、未踏領域を目指し続けることに意味はあると思う。
<目次>
第1章 「平成」という永い修行を経て、「令和」への全力疾走
第2章 さよなら青春のインターネットの日々よ
第3章 草鞋を複数履きながら走る日々を実現するには?
第4章 誰かに理解されるより先に次の行動に移すこと
第5章 ぬか漬けにしたピーターパンからは日本の匂いがするだろうか?
第6章 天気の奴隷にならないために詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者自身の思考整理というが、実際は奥深く考えているはず。読者に思考の断片を理解できる形で説いている。
才能が傑出しているだけに、一般人とは頭の回転が何倍も違うのだろう。
それを出来るだけ分かりやすく伝えようとしてくれている所で、著者の心根の優しさが文章から伝わってくる。
論理的に何かを伝えようというよりは、感情を伝えようとしてくれる点が嬉しい。
頭脳明晰な彼の言葉はどうしても論理的になりがちだし、使用する言葉自体が難しいので、解読するのは困難だが、一語一語丁寧に読み解けば思いが伝わってくる。
発したい主張を論理展開するよりも、この日々のエッセイ風な文章は、どちらかというと気の向くままだ。
だからこそ「こういう考え方もあるよな」「こう考えてきたか」などなど唸る部分が多かった。
著者は1987年生まれで、2023年時点では36歳になる年齢だ。
こんなに若いのに、自分自身が歳を重ねていくことを常に意識している。
私が若い時分は、自分が歳を取る未来なんて想像すら出来なかった。
氏は常に未来を意識して、若さ故の稚拙さも客観的に楽しみながら、老いて自分自身がレガシー化していくことを夢想している。
ついつい「人生何週目?」と思ってしまう。
50代の私よりも、充分な大人である。
氏も20代の頃は疲労困憊になりながら突っ走ってきたという。
何かに取り憑かれたようにも感じるくらい。
単純な「使命感」とも言い難い。とにかく全力で走り続けた。
誰でも若い時はそういう時期があるのだろうが、著者のそれは振り切れている。
「興味を持ち続ける」ということは、間違いなく才能なのだ。
研究者は当然にそういう部分を持ち合わせていないと、研究し続けること自体が難しいだろう。
モノになるか分からない研究なら尚更であるが、逆に言うとみんなが研究している分野については一番手柄を獲りづらいだろうから、戦略としては競合が少ない分野を研究することは正しいのかもしれない。
だからこそ、孤独でも戦い続ける精神力が必要だ。
そんな気持ちが所々で吐露されている本書は、読んでいて心地よい。
たまに出てくる図解も面白い。
これは頭に浮かんだ内容を、他人にも分かりやすいようにアウトプットしてくれているのだが、おそらく頭に浮かんだ内容のほんの一部分だけなのだろう。
図に描かれていない所で、著者がどれだけ思考を巡らせているか。
それでも読者に伝えようと、内容の全部ではなく、あくまで分かりやすいように図で記す。
文章で表現するよりも、図にした方が確かに分かりやすい。
図は情緒的ではなく、論理がハッキリしているから、思考の整理にはなる。
一方で氏の写真は極めて情緒的だし、芸術的だ。(そもそも彼はアーティストだ)
「ぬるぬるした表現が好き」という発言を聞いたことがあるが、その辺を狙っているのか、彼にとっては自然界自体がそう見えるのか。
物質は質量があるのに、写真や映像になるとそれはただの情報となり、質量は無くなってしまう。
その行為自体に儚さがあるという一方で、情報だけが転写された映像を見ても、人は何かを感じたり心が震える瞬間があったりする。
それが良い悪いの話ではなく、人間が作り出した人工物と自然界との行き来について、全体を通じてその心の動きだったりを表現し、それを見る人にも感じてほしいのかな、なんて思ってしまった。
天才の本意はどこまでいっても理解できないが、私自身ではそう感じたということだ。
「ワンセンテンスでオリジナリティを表現できない博論はダメ」とは氏の師匠の言葉か。
これは素敵な話だ。
論文に限らずに、様々なことに当てはまるのではないだろうか。
自分自身もだいぶ年齢を重ねたが、改めて自己のオリジナリティについて考える時がある。
これから未来をどうしていくかという戦略的なことを考える時もあれば、そもそも過去を改めて振り返ってみたりもある。
過去を悔いてもしょうがないことだが、単純に思い出してみるだけでも、心の浄化になったりもする。
わだかまりが吹っ切れていないと、反対にイライラするだけでもあるが、歳をとるとそういうことも減ってきた。
氏は忙し過ぎて忘れていることが多いため、写真など記録として残すのだそうだ。
これも一案ではある。
大体過去を思い出そうとしても、そんなに大したことを思い出せないものだ。
これは年齢を重ねるとつくづくそう感じてしまう。
逆に言うと、自分にとって大事でないことこそ忘れられずに覚えているというものかもしれない。
ふとした瞬間に過去のどうでもよい出来事を思い出した時に、そんなことを感じるのだ。
本書を読んで、自分自身を棚卸したり、断捨離したり、50代だからこそ必要なことがあるかもしれないと感じた。
そして、自分自身というアイデンティティというかオリジナリティについて考えてみる。
そういう時間こそが大事なのではないかと思う。
半歩先の未来はどうなるか分からないが、少なくとも前に歩き出しさえすれば、届く範囲なのは間違いない。
色々と考えてみながらも、その一歩一歩を大切に、歩みを踏み出し続けたいと思う。
(2023/7/19水) -
題名に惹かれて買ったのたですが、著者のnoteの記事をまとめたものだったのでがっかり。
題名と内容が合ってないような気がします。
落合陽一さんはものすごく頭の良い方のようですが、言葉の選び方や使い方が難解。
他人に分かるように書いているとは思えないです‥‥ -
エッセイ的な。頭のいいオタクがばーっとしゃべるように書いてる文章を噛んで含めるように味わう楽しさ。
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半歩というよりも、半周先を走っている著者の頭の中を垣間見ることができる本。
直接的に参考になる部分は少ないが、普通の人とは違う感性に触れることができる。
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コロナ前後の、現代の天才の思考に迫りたかった。
読解力の無さで、前半よりも最終章のウィズコロナ、アフターコロナの思索が興味深い。
「質量のあるものはダサくて、質量のないものは消える」という言葉が印象に残る。コンヴィヴィアリティという言葉も。
あとは、いくつもの顔を持つ彼が、人に出来ることは渡すという心境であること。周りは彼でなくてはと依頼するが、ご本人は本当に自分でなければならないのかを考えている。お忙しいのだろうと推測。
翻って、私。まったく忙しくなく、自分でなくてもいいことばかりで、自分でなくてはならないことなど皆無。でも、わざわざ私に依頼してくれることは何でも断らず、仕事に貴賎なく、ありがたく取り組ませてもらう。たぶん、他の誰かでも出来るんだろうけど。
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noteまとめ。息子さんのエピソードが愛らしい。落合さんには一度本気で改めて日本のビジョンを語って欲しい。
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正直かなり難しい内容の本。
ただ、理解して読めるようになると本当に面白い本だと思う。
落合さんの、人とは違う視点に魅力を感じた。 -
この本を読むと自分の知識の無さ、ボキャブラリの無さを痛感した。そしてまた言葉を調べながらの読書の楽しさも感じた。
コンテクスト・パラダイム・マネタイズ・エコシステム・リテラシー、etc。
そのうえで、自分の内からでは出てこない、物事のとらえ方・視座の違いに憧れをもった -
著者の落合陽一さんは学問・アート・ビジネス等様々なジャンルでその多彩な才能を発揮している“旬な俊才”です。
本書のタイトルには「思考法」とあるので“HowTo本”的なイメージをもって表紙を開いたのですが、内容は予想していたものとは違っていました。全く正反対と言っていいでしょう。
本書で落合さんが開陳している“同時代・リアルタイムの先端思考”について行けたかというと、私には全く無理でした。本書の前に、何か一冊でも落合さんのまとまった著作を読んでおくべきでしたね。