君といた日の続き

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1134
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103547914

作品紹介・あらすじ

娘を亡くし妻と離婚した僕に、未来を生きる資格があるのだろうか。終わりがあると知りながら過ごす、僕と君のひと夏の物語。コロナ禍のリモートワークを言い訳に自宅に引きこもるばかりのある日、僕はずぶ濡れの女の子を拾った。1980年代からタイムスリップしてきたらしい彼女は、僕の大切な人の命を奪った連続少女誘拐事件に関係しているのか……。その時の僕は、全ての過去の意味を知るよしもなかった。その答えは、今の僕が持っていたんだ。

感想・レビュー・書評

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  • 10才の娘を亡くし、妻とも別れた譲がアパートの前で拾った小学生の女の子ちぃ子に救われる話。

    亡くなった娘と一緒にやりたかったことをちぃ子とやり直していく譲。人はいつ死ぬか分からないのだから、やりたいことはすぐにやらないといけないと改めて思った。

    後つくづく、同じ日常でも心の持ちようだけで、世界の見え方は180度変わるんだなと思った。

  • はじめての作家さん、油断していた~。数年ぶりに涙がポロリ。1980年から2021年にタイムトリップした10歳くらいの「ちぃ子」を中年男性・友永譲が保護し、一時同居する。友永は幼い娘を亡くし妻とも離婚、引きこもり生活を送っていたが、亡き娘と近い年頃のちぃ子との生活によるカタルシス。父親のダメっぷりと優しさが共感した。譲が10歳の時に起きた少女連続殺人事件を思い出し、まさか!の展開。何故、ちぃ子がタイムトリップしてきたのか?自分に会いに来たのは偶然なのか?必然なのか?ラストはあり得ないが、心が洗われた。⑤↑

  • 昭和から令和のこのコロナ禍の時代にタイムスリープしてきた10才の少女・ちぃ子と47才の主人公・譲
    子どもを亡くし妻とも別れて1人悲しみの中でもがき続けていた譲がちぃ子と出会い、ひと夏を過ごす。
    ちぃ子…記憶にあるその名前は過去に自分に起きたある悲しい事件と関係あるのか?

    もう途中である程度はわかってしまうんですよ。
    でもね!王道のハッピーエンドじゃないとダメな作品ってあると思うんですよ‼︎
    この作品はタイムリープの仕組み?そんなことより未来がそれぞれ幸せじゃないとダメなヤツ!
    気持ちよく伏線回収されてます笑
    思った以上にハッピーエンドで満足です(๑˃̵ᴗ˂̵)


    昭和のアレコレを知らない人にはちょっとわからない事を説明っぽい文章が多かったかな?
    若い人に向けての作品?じゃ仕方ない_φ(・_・

    • raindropsさん
      ありがとうございます。
      ダンデライオン読んでみます。
      実は乙一さんは今まで読んでなかったんです。初めての作家さんでもあるし楽しみです。笑
      ありがとうございます。
      ダンデライオン読んでみます。
      実は乙一さんは今まで読んでなかったんです。初めての作家さんでもあるし楽しみです。笑
      2023/04/19
    • みんみんさん
      中田永一名義の本は娘さんにもオススメですよ♪
      くちびるに歌を とか有名です(^^)
      中田永一名義の本は娘さんにもオススメですよ♪
      くちびるに歌を とか有名です(^^)
      2023/04/19
    • raindropsさん
      ありがとうございます。
      読んでみます。楽しみです。
      もちろん娘にも紹介しておきます。
      ありがとうございます。
      読んでみます。楽しみです。
      もちろん娘にも紹介しておきます。
      2023/04/19
  • 10歳だった娘を亡くし、妻と離婚した譲。
    雨上がりのある日、買い忘れのものを買いに出た道で少女と出会う。
    どうやら現実の状況に戸惑っている様子で、行くさきもない彼女を連れて帰る。
    どうやら1980年代からタイムスリップしてきたようで…。
    前半は、亡くなった娘にしてやれなかったことを一緒にし、思い出を作りながら楽しむのだが、次第にこの少女が誰なのかわかるようになり、何故この時代にやってきたのかも明らかになった時点で現実になる。

    少女がまさか…とわかったときに腑に落ちる。
    あちこちに散りばめられた伏線が、回収されたときにこんなふうに繋がっていたなんて、と驚きよりもふわっとした嬉しさを感じた。

    生きる気力を無くした譲にもう一度、と光を希望をくれたのはまさしく運命の人であり、寄り添ってくれていた人だったなんて。

    • ポプラ並木さん
      湖永さん、共読ですね。読みました。この作品は涙が出ました。ダメ父親のカタルシス。本当に良かったです。タイトルの通り、妻との続きを大切に生きて...
      湖永さん、共読ですね。読みました。この作品は涙が出ました。ダメ父親のカタルシス。本当に良かったです。タイトルの通り、妻との続きを大切に生きていってほしいです。妻の大人の対応に最後は共感しました。
      2023/04/01
    • 湖永さん
      ポプラ並木さん コメントありがとうございます。

      辻堂さんの本は、何冊か読んでいますが読みやすくて引き込まれてしまいます。
      これもほわっと優...
      ポプラ並木さん コメントありがとうございます。

      辻堂さんの本は、何冊か読んでいますが読みやすくて引き込まれてしまいます。
      これもほわっと優しさが伝わってきましたね。
      上手く表現できないのが、もどかしいのですが。
      「トリカゴ」も印象深い内容でしたよ。
      よかったらぜひ。
      2023/04/02
  • カバーのイラストの柔らかい色彩、過去と未来を繋げるようなタイトルから、どんなストーリーなのだろう、と想像しながら読み始めた。

    舞台は相鉄線沿線だろうか?
    妻と離婚し孤独な日々を送る中年男性譲が、初夏のある日、迷子らしき小学生の少女を見つけて助けるが、その少女は土地勘もないばかりか、覚えているのはちぃ子という名前だけ…着ている服もどこか懐かしさを感じさせるような出立ちだった…。
    同じ年頃の娘を一年ほど前に亡くしたばかりの譲は、ちぃ子を娘のように思い、記憶が戻るまで共に暮らすことになる。

    過去の事件とちぃ子の関係が謎めくミステリー、譲の人生と家族の再生物語、タイムトラベル…と様々な要素か満載なのだが、それらが滑らかなストーリーとなっていて、無理なく読ませる。

    昭和のごみごみとした活気と熱気、コロナ禍の令和の閑散とした町や人の孤独、その対比が胸を突く。
    昭和の終わりを知る世代には、郷愁を誘う小説でもある。
    2023

  • ひと夏の輝きの一冊。

    生と死、過去と現在を複雑に絡ませながら温かさと輝きでまとめ上げた心温まる物語。

    娘を亡くし孤独な主人公が出会ったのはどうやら過去からやってきたらしい少女。

    不思議さいっぱいながらもひと夏を過ごす親子ごっこが微笑ましく、時折後悔に苛まれる主人公の姿もグッと涙を誘った。

    全ての絡み合いが紐解かれる過程はちょっとした驚きと"必然"が頭をよぎり感動で胸いっぱいに。

    人は改めて思い出と生きていることを思う。

    哀しみや後悔の思い出も時に人を強くする糧になる。

    タイトルを含めてそんな希望の輝きが伝わるのが良い。

  • まあ、最後にしてやられました。何が続くんだ、って最後油断してたら泣かされました!作者名で買って期待通りでした。


  • 娘を亡くし、離婚して孤り暮らす主人公は
    ある日、道でずぶ濡れの少女を見つける。

    亡くした娘と同じ年頃の少女を見て見ぬ
    ふりもできず、声をかけたことで始まった
    主人公と少女の奇妙な共同生活。

    傷心の主人公にとって本来なら近寄りがたい
    はずの、亡き娘に近い年齢の子どもなのに
    放っておけない心根の優しさや無力な子供へ
    向けた大人の親切に心が和みます。

    主人公と少女の隠されていた関係が
    徐々に明らかになって謎が解けた時、
    過去も現在も未来も全部丸ごとひっくるめて
    進んでいこう、という前向きさを主人公が
    取り戻したことに明るい印象を覚えました。

    主人公はこの少女と時間を過ごす中で
    亡き娘と出来なかったことや後悔の記憶を
    少しずつ上書きする事ができるのに対して、
    同じように娘を失った妻の心はどうやって
    救われるんだろう、と切なさを覚えました。

  • 図書館からやっとまわってきた辻堂さんの最新刊!待った甲斐あって、とっても良かった。

    子どもを亡くした後に離婚。生きる意味を失っていた譲が外出中に出会った10歳の女の子・ちぃ子。
    記憶がないというちぃ子と、成り行きで一緒に住むことになります。
    二人の同居生活はいつまで続くの?
    ちぃ子の未来は?

    亡くなった娘と同年齢のちぃ子に娘の美玖ちゃんを重ねずにはいられない譲。
    読みながら私まで苦しくなったり感極まって涙ぐんだり。
    二人の小さなやり取りの1つの1つから目が離せなくて、切ない気持ちと、愛おしい気持ちとが入り混ざりながらの読書でした。

    『そばにいることが当たり前だと思っていたあの頃には、気付かなかった。
    気合いをいれて臨んだ海水浴やキャンプだけでなく、何でもない休日の何でもないひとときが、かけがえのない親子の思い出になりうるなんて』

    他愛ない日常の幸せをかみしめました。
    自分の子どもの時代、わが子との思い出が次々と甦ってきて優しい気持ちになった。
    終盤は目の前のモヤが晴れていくような清々しい気持ち。
    さすがの展開はやはり辻堂さん!
    素敵な読書時間でした。

  • 父子の物語は、どうしても感情移入が激しくなりがち。でも、なんでタイムスリップ?科学的にどうなの?しかし、そんな思惑を超え本作は丁寧に感情の機微を描いていく。とてもいい。ほんとうにちょっとした日常的な会話が心に滲みるのだ。最後のネタも、オマケのようだけど絶対あった方が良い。なんかホッとする。今の世の中意外と殺伐としているので「いいひと」の存在はレアだし、そういう人には幸せになってほしいと思うし、自らもそうありたいと願う。秀作とか傑作とか言う前に、こういう作品はこういう作品は好きだな。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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