- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103556718
作品紹介・あらすじ
吾輩、ニャンと転生⁉ 漱石の猫の続きを描いたもふもふ×ビブリア奇譚! 「猫に九生あり」という。かつて漱石と暮らした黒猫は、何度も生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去世の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、自称“魔女”が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へ迷い込む。文豪の猫と創作の業が絡まり合う日本ファンタジーノベル大賞2024受賞作!
感想・レビュー・書評
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「猫に九生あり」というけど、前世のこともしっかり記憶しているというのは不思議な感じ。
自分がもし…と考えてみると、かなり混乱しそうな気がする。
ちょっと訳ありの猫たちが「北斗堂」に集まってきて…と物語が始まっていくのだけど、前半はどういう展開になるのかよくわからなくて、ちょっと退屈だった。
店主北星や猫たちの事情が明かされていく辺りから面白くなってきたかな。
本題からそれるけど、「魁星」って北斗七星の一部で、中国では文章の神様なんですね。
頭の中で力士が浮かんでたけど、漢字が違うし!
若者だったらバーチャルライバーが浮かぶんだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書備忘録856号。
★★★。
猫もの。
カバー絵とか見ると、なんかほのぼの猫小説って感じがしたので借りました。
しか~しっ!ちょっと違った。(^^;)
ネコに九生あり、9回生まれ変わると良く言われますよね。
主人公の猫、おれ。九つ目の生。
引き寄せられるように古書店へ。
店主の北星恵梨香から「思ったより早かったね。おチビさん。名前は?」と話しかけられる。
え?猫と話せる人間?
そして、この古書店には猫が4匹いた。
設定はワクワクするんですが、ネタバレしてしまうと以下のような感じでビミョ~。
読む予定の方は目を閉じて・・・。
なんかね、北星さんはもと神様なんだって。人間が物語を作ることに嫉妬して意地悪したら、天照から怒られて人間界へ追放されたみたい。人間が物語を作るのをそばで見て反省しろと!
幽閉されているのが古書店の北斗堂。北斗堂を離れると命に関わるという設定。
北斗堂に集まる猫は、必ず作家に飼われたという過去を持つ。そしてその作家から真名という猫にとって真に価値のある名前を貰っている。
そんな北斗堂で、おれの過去8回の生が語られるストーリー。三つ目を除いて・・・。
加えて、北斗堂に足繁く通う作家志望の少女を応援するストーリー。
う~ん。
作者さんの作家という職業に対する思いが強く出過ぎていてあまり楽しめなかった。
おれ、が偏屈すぎるのもマイナス。
真名という設定を作ったにも関わらず物語に生きていない。
天照大神って女性神のトップですよね!
こんな些末なことに関わってるって、なんか微妙。もっと日本国の平和に尽力してるはず!
結局おれの三つ目の生で貰った真名はなんだったのか?金之助は自分でつけたとおれは言っている。
まあ「吾輩は猫である」のモデルだった、というのは物語の冒頭の雰囲気から、誰でも容易に想像がつくと思いますけどね。
日本ファンタジーノベル大賞、2024受賞作かぁ。う~ん。-
2024/09/08
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猫ちゃん小説好きですが、これはちょっと違うかな??(⌒-⌒; )
猫ちゃんのハートフルストーリーなら読みたいですがo(^▽^)o
...猫ちゃん小説好きですが、これはちょっと違うかな??(⌒-⌒; )
猫ちゃんのハートフルストーリーなら読みたいですがo(^▽^)o
ファンタジーって読むの難しいな。。
面白いのは面白いけど、なかなか当たりを引きにくい(^◇^;)2024/09/08 -
2024/09/08
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表紙の雰囲気から、ハートウォーミングなお話かと思いきや、全然違います。主人公のクロネコは性格がひねくれてるし、態度も悪い。ドーンと重苦しくてなかなか読み進まないんだけど、しばらくしてはたと気付きました。この子、高校時代の私と似てるかも。当時、ウチはお金がなくて、習い事も塾も行かせてもらえず、進路も限られた選択肢しかなかった。何不自由なく高校生活をエンジョイしている級友たちの輪に入らず、横目で見てひがんでた。きっと態度にも出ていて、嫌なヤツだったに違いない。私の黒歴史。それが、不思議なことに、この本を最後まで読んだら、黒いページがシュレッダーされました。まだ胸の痛みはあるものの、黒い影は雲散霧消したのです。おかしいな、、なんでだろう? 誰だって似たようなモンなんだから、悩むなってこと? 忘れろ? でも、なかったことにはできないよ?
とにかく、読み始めたら、最後まで読んで欲しいです。ステキな宝探しになるはず。
実は、この黒歴史のせいで、村上春樹の『街とその不確かな壁』が読めないでいるのですが(色々思い出されて辛すぎるから)、今なら読めるかしら。試すのは怖いけど、試してみます。 -
「猫に九生あり」過去に漱石の飼い猫だった孤高の主人公猫のクロは、9回目の生で、ある古本屋にたどり着く。そこでは、ある呪いに賭けられているという女店主と、文豪の飼育歴のある猫たちが生活していた。果たしてクロは、孤高を貫くのか、また、女店主にかかっている呪いとは…
猫も本も孤独も好きで、たまに寂しくなる自分には、感情移入しやすい作品でしたが、ラストにある神への対峙は、まあまあクサく、アツい内容です。
ただ、言葉の力を信じる著者の熱い気持ちが表れていました。 -
猫には九つの命がある。
最後の命を迎えた黒猫は導かれるように古書店「北斗堂」に
辿り着く。謎めいた店主と猫たち、訪れる人々。
彼は「真名」への拘りを抱えながら「北斗堂」で生活することに。
その中で知る“魔女”と呼ばれる店主の謎。
更に知る「北斗堂」集う猫たちの記憶と役目。
人を嫌悪し、同族で群れることもせず、偏屈で孤高に
生きようとする黒猫のかたくなさは、凄惨な過去の命の記憶ゆえ。
だが、あの作家との生活を生きた命の記憶は、彼を捉えている。
そんな彼が魔女や住まう猫たち、そしてあの娘との出会いは、
年月と共に緩やかに、彼の心を変え、思いやる心が芽生えてゆく。
そして、あの娘と魔女にあの男の創作の楽しさ、物語る嬉しさを
教えたい。それだけあの男の存在は大きかったから。
クライマックスの、黒猫の有するあらゆる記憶が溢れ出す
シーンが最高!まるで九つの命のすべてをぶつけるかの如く。
まるで、黒猫の物語を語り尽くすが如くに感じてしまった。
これは、物語を紡ぐ者たちへのオマージュ。 -
ねこ、魔女、そして表紙のほのぼの感で勝手にイメージを作って読み始めた。ところが、私の想像とは全く違った。
9回めの生まれ変わりの猫のクロのこれまでは、悲惨で時には残酷だった。北斗堂には表紙のイメージとは違った、不穏な空気を感じた。集まってきた猫たちや、魔女と呼ばれている北星恵梨香、常連の小学生の神崎円は、始めの方は穏やかな感じだったが、クロが自分の半生を語っていくにつれて、時が流れ、状況は思わぬ方向になっていった。いろんな要素が詰め込まれていて、だんだん話が重くなっていった。
そして後半、魁星の話が出てきた辺りから、私はファンタジー系は苦手なのかも、と気づいてしまった。でもクロが夏目漱石の猫だったことがあるというのは、とても興味があったし、猫が亡くなるときの気持ちは、そうであってほしいと思うものだった。
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思ったのと違っていたので、なかなか読み進めなかった…
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猫には九つの命がある。
英国の古い諺にある言葉のとおり、九つめの命を生きる黒猫が主人公。自称「己」、見た目からクロとも呼ばれる彼は三つめの命の時、自分を主人公にしたかの有名な名作を書いた作家の元で暮らし、その時の思い出を誰にも触れさせない聖域のように大切にしていた。九つめの命を生きる現世で、己がたどり着いたのは「北斗堂」という名の古書店。そこは数匹の猫が居着いており、猫の言葉を理解する北星恵梨香という女性が店主で、猫達からは「魔女」と呼ばれていた。この謎めいた古書店と魔女の正体は?
ほのぼのストーリーを勝手に予想していたのですが、いい意味で裏切られました。人の世も生きにくいが、猫の世も波乱万丈。己の口から語られる九つの猫生の物語は幸せな時より辛く、時には惨いものが大半でした。頑なに一匹狼ならぬ一匹猫の姿勢を貫いていた己が、北斗堂で過ごす最後の生で、少しずつ人や猫と関わっていく姿へと変化していくところが良かったです。あの頑固者がこんなに成長して、と感無量。
猫と物語を愛する人には刺さるストーリーだと思います。 -
9回目の転生を迎えた猫の視点から、人間界かがせわしない一方、その中で一種矛盾して見える物語を紡ぐという行為の意義を問うている。
猫は9回転生を繰り返しているだけあって、気まぐれな人間たちを簡単に信用することはない。
それでも、3回目の人生で永遠の思い出となる作家との出会いがあってからは、物語と向き合う人間に対して特別な気持ちを抱く。
なぜ物語を紡ぐのか、作家やその卵3人との出会いを通して、猫が発見していく意義のどれもが、それぞれ気づきをもたらしてくれると思う。