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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784103560111
作品紹介・あらすじ
大切なひとを守るとき、私は刀を選ばない。若き私塾の主が仰ぐ、これから。お役目がなく学問で身を立てることもできない淳之介は、幼なじみの同心から頼まれたある娘の見張りをきっかけに、攘夷の渦中へと吞み込まれてゆく。徳川の世しか知らないながらも、武士という身分に疑問を抱き始めた青年がようやく見つけた、次代につながる道とは。生へのひたむきな問いが胸を打つ、人間味溢れる時代小説。
みんなの感想まとめ
人々が生き抜く姿を描いたこの作品では、幕末の動乱に巻き込まれる普通の武士の視点が新鮮に映ります。主人公は私塾を開き、学問を通じて人々とつながりながら、時代の変革に直面します。彼の生活は、尊王攘夷の波に...
感想・レビュー・書評
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時は桜田門外の変から1年と半後の江戸。
役もなく私塾を開いてほそぼそと身を立てていた武士の茅野淳之介。
ある日、食いつないでいくために、依頼を受けて水戸脱藩浪士などを探るための密偵業務を引き受ける。
志士でもない、江戸の上約でもないしがない武士が尊王攘夷に巻き込まれていくというお話。
幕末の志士でもない、貧乏だけども全うに武家として普通の暮らしをしている武士目線で描かれる幕末とは?
まず、読んでいて思うのは、私が知っている幕末というと、黒船来航以来、日本という国をどういう方向に導くのかということで、坂本龍馬、西郷隆盛などなど幕末の志士が江戸幕府を倒していくというのも格好良いし、江戸幕府側の新選組みたいなのも格好良い。
それぞれが日本という国を真剣に考えて本気で動いていた時代で、本や映画、ドラマなどなど、どの視点で見てもワクワクするところだと思います。
しかし、それ以外の視点ってあんまりなくて、本作のように歴史上何も取り上げられない普通の武家視点というのは面白いなと思いました。
そして、本作品からは変動する世でも、必死に食べるために暮らしている人々がいること、歴史に名が残っていないたくさんの人達が幕末を生きていたということを知ります。
毎日、食べるために働くこと
日本という国を守るために皆それぞれ必死だったこと
江戸幕府は260年間という時期を争いのない国に保ったこと
特に自分は何のために働いているのか、ということを思い返した時、生活を維持するためなんて、そこまで考えているだろうかと。
職場が嫌だとか、仕事がキツイとか、やりたい仕事とは違うとか、残業代が出ないだとか様々なことを考えます。
でも、明日食べるために仕事をするというのをどこまで本気で捉えているだろうか。
本作品の伝えたいこととは違うかもしれませんが、幕末の尊王攘夷に巻き込まれていく江戸と登場人物達を想像しながら思いました。
そして、政治などにいろいろ不満はあるものの、争いや戦争で命を脅かされる心配のないところで食べることに困らずに過ごせることっていうのは気づかない幸せなのだろうなと思うのでした。
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幕末の武士のお話。身分は武士であるが、学問所を開いて広く武士や町人、子どもにまで教えている。基本ごろごろのんびりしている先生だけど、幕末の動乱の波に否応なく揉まれていく。
学ぶということは他者に寛容になること。叡知により人と繋がり、助け助けられ。
反乱軍に加わり亡くなってしまった若者。道端で行きだおれていてもかかわり合いになりたくないため見て見ぬふりをする町の人々。しかしながら日頃口うるさい母上は丁寧に弔い庭の花をそっと手向ける。時代とは関係なく人として自分が出きる良きことを行う、その姿が心に残る。 -
副題:茅野淳之介幕末日乗。
小普請組の下っ端御家人・茅野淳之介が見た幕末から明治を描いた連作短編集。
著者はタカセノイチさんという売り出し中の女性時代小説作家さんです。
何と言えばいいだろう。ストーリーはひどいと思う。しばしばいきなり場面転換して置いて行かれる。何か起きたことに対する登場人物のリアクションが余りに嘘っぽい。登場人物のキャラクターも不統一(剣はからっきしのはずの主人公が相手を打ち破る)etc.etc.
ただエンディング(短編集なので幾つもある)は妙に感動的で良いのです。
さて、もう一冊手を出すかどうか、悩ましい所です。 -
茅野淳之介、この男、まことに剣術ふるわぬ木偶侍なのだろうか?であればすこぶる運が良いのか?使い手と思しき輩に絡まれ、万事休すの場面においてなぜかしら相手を斃すことたびたび。描写はあれど、よく分からぬままに斬って生き残っている。はたしてその実、武芸が達者なのではと思わせる。震えつつも悪漢に対して意見をやってみせるし、鈍のようでなかなか肝が据わってもいるのだ。ともあれ、幕末とは生きにくい。籠絡せんと、あだをあげる連中で溢れている。俺ならどう生きたのか。長いものに巻かれてあざとく切り抜けたろうか。それもやだね。
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心が締め付けられるような悲しい話もあるけれど、清々しい本だった。歴史に名前が残らなくてもその時代を精一杯生きた人々がたくさんいたことを改めて感じた。
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のほほんとした物語を根拠なく想像していたけど、悲しい出来事も辛い体験もありながら、幕末維新を時代に流されながら懸命に生きぬいた幕臣のひとつの姿として、とても心に残る作品でした。最後のサプライズが題名の伏線を回収し、とても気持ちの良い読了感です。ついでながら、船吉さんには惚れました。
3025-009
高瀬乃一の作品
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