- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103631118
作品紹介・あらすじ
息子が部屋に引きこもって7年、このままでは我が子を手にかけ、自分も死ぬしかない――。従順な妻と優秀な娘にめぐまれ、完璧な人生を送っているように見える大澤正樹には秘密がある。有名中学に合格し、医師を目指していたはずの長男の翔太が、七年間も部屋に引きこもったままなのだ。夜中に家中を徘徊する黒い影。次は、窓ガラスでなく自分が壊される――。「引きこもり100万人時代」に必読の絶望と再生の物語。
感想・レビュー・書評
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めちゃくちゃ面白かったー!
このままずっと引きこもったままだったら・・・
暴力がエスカレートしたら・・・
恐怖って今起きている事より、その先のことを考える時の方が大きくなるんだな。
自分の信じた道を突っ走る父親。
暴走し過ぎてヒヤヒヤした。
傲慢さはあれど、現状を打破しようと一生懸命な姿にぐいぐい引き込まれた。
少しのきっかけと出会いが転機になる。
高井弁護士の戦いぶりが爽快だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルと内容がズレていた感が否めない。
リアルな8050問題というより、8050問題は予防できますよ、っていうお話。
ちょっとツッコミどころ満載で、翔太のひきこもりを社会のせいだけにしているように描いているけれど、彼の家族関係を見ていると、そこにも要因ありまくりだろって思ってしまって、途中からかなり白けてしまったんですが、もの凄い筆致だったもので、最後まで一気読みでした。さすがです。
社会問題となっている8050問題。
あの練馬の事件(元農水事務次官長男殺害事件)は衝撃でした。
今回小説として触れることになった8050問題だけれど、これに関しては文学だけではなく、きちんと社会問題としても向き合いたい気持ちがある。
本作品のように、こんなにうまくいくかよ!って思っているのが正直なところ。
作品の中ではひきこもりをとてもわかりやすく描いているけれど、実際はこんなにシンプルじゃない。社会的な問題+家庭環境+本人の課題、といったように、もっと入り組んでいて複雑だ。そしてそもそも、「ひきこもり」という言葉は、非常に曖昧で、人によって定義が異なっていてもおかしくない。
今わたしが関わっている生徒たち。
彼らを、どこまでサポートするか。
大人がサポートしすぎると、それは本人がやったことにはならない。
度がすぎたサポートは、本人が「自分で決断をする機会」を奪ってしまう。
何が本人のための指導で、どこまでが本人のためのサポートか。
その境界は非常に曖昧で、人によって指導の質もサポートの質も異なる。
その中で、目の前のその子にとっての、「支援(指導+サポート)」をすること。決して、本人の意思を奪うことなく。
そこにはどうしても、支援をする側の主観が入るし、教育機関という立場上、リスクはとりづらい。
だから、支援をする側が、気が付かないうちにレールを敷いてしまっていることもある。
つまり、やりすぎた支援は、子どもたちの自立心を奪ったり、ただ大人への不信感を植え付けるだけにもなりかねないわけで、自分たちの対応が8050問題を生んでしまう可能性もあるんだってこと。わたしはそうならないようにできるだけ本人の気持ちを尊重したいって思っているのだけれど、その時発せられた言葉が、本当に本人の本音なのかわからないことは、少なからずある。様々な理由から本当のことを話せない子はいるし、それは大人が、心の中の言葉もキャッチしていかないといけない。それに、無意識に大人の願い(「きっと大学へ行ったらいろいろな人との出会いでもってどんどん成長していくんだろうな、だからこの子には大学に行ってほしいな」っていうこちらの自己満足)を託してることもある。本人の人生にとって何がベストか。大人が経験値として知っていることと、本人の選択の自由。その多くの選択肢の中で、大人がその選択肢を奪うことなく、且つ、本人が自分自身の課題として向き合っていくことのサポートをすることは、実はすごく難しい。
わたしはだから、本人の課題を「やってあげる」のではなく、本人が自分の課題を「できるようになる」サポートをしたい。
そして、ちゃんと人の話に耳を傾けられるような人でありたい。
大人の役割は、本人が決断できるようなサポートをすることだ。提案と選択肢を与えること。
代理で決めて進めるのは、やっちゃダメ。
イライラしながら読んだのでちょっと疲れたなぁ…
しかし、完璧な人生ってなんですか。そんなものあるんですか。
不完全上等! -
林真理子さん。実は苦手。
この小説もあまり読む気はなかったのだが、たまたま知人からお借りすることとなり、断ることもできず読みました。
読み終わってすっきりしたので評価は5。
8050問題は、「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題で、背景にあるのは子どものひきこもりの長期化と言われている。80代の親の方にも当然介護の問題とか出てくるが、子どもは社会適応力がない。家族ともども地域から孤立…と、ぞっとするような話。
この小説は、直接8050問題を描いているわけではない。8050問題を防ぐために闘う親子を描いている、というべきか。
歯科医の息子、翔太は中学二年の夏休みが終わった時、学校に行けなくなる。原因はクラスメイトからのいじめ。
手を尽くしたが引きこもりは7年間続き、いよいよ追い詰められた家族は、いじめを乗り越えるため、いじめの加害者に対して訴訟を起こすことにするがー
さすがうまいです。
加速度的にラストまで読み進められます。
ただなぁ、過去のいじめの解決が8050問題の本質なのか?という点は疑問が残る。
あと、小山田圭吾さんのことがどうしても頭をよぎる。オリンピック開会式担当の辞任劇では、ロックファンとしては、世間のバッシングの仕方に反発を感じないではなかったけど、過去は過去でもいじめの問題は重大なんだよなぁ…と、改めて思う。オリンピックでこうなる前に、いじめをしていたことと、それを偽悪的にインタビューで語っていたことの総括は必要だったんだろうね。-
あの報道は酷すぎましたね…
最近はBUMPやRADWIMPSもかなり認知度が上がって、テレビで不倫の報道をされることにもなり、知りたくなか...あの報道は酷すぎましたね…
最近はBUMPやRADWIMPSもかなり認知度が上がって、テレビで不倫の報道をされることにもなり、知りたくなかったことをどんどん知らされる感じが嫌ですねー。2021/10/02 -
2021/10/02
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2021/10/02
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とても読みやすく
あっという間に読めました
でも最後まで父親を好きになれず
というか登場人物には
あまり好感が持てず
星は3つ、かな
子供がいる身としては
とても考えさせられる作品だった
子どもが引きこもりなったら
どうしたらいいのか
わからないけど
逃げずに向き合うしかないと感じました
ラストは前向きでよかったです
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さすが、林真理子さん!
と思いながら読んでいたのですが、あとがきに
お世話になった専門家の皆さんの名前のあと
「チーム8050」への感謝が述べられていました。
私の大好きな中瀬ゆかりさん含む5人の名前が書かれています。
文章を書いたのは林真理子さんでも、チームの皆さんが意見を出し合って進めたのだろうと想像します。
この小説は「8050問題」より「いじめ」が重要なテーマと思います。
でも同時に「一人じゃない、皆で頑張ろう」というのもあるのではないかしら。
「翔太君、ここに座って話をしないか。(中略)
だったら立ったまま、手短に言おう。僕は弁護士だ。
これから君と、君のお父さんとの三人でチームを組むんだ。よろしく」
今朝ブクログを開いたら昨年末に読んだ村山由佳さんの
『雪のなまえ』に「いいね」が6個もついていました。
10年も前の小室圭さんのイジメを今頃掲載する週刊文春について、
「イジメを容認するわけではないけど、その頃は皆未熟だし」と同情していた私。
しかしこの『小説8050』を読んだあとに再び読んで、
それに対して責められているような気になりました。
「チーム8050」はいじめ撲滅の具体的な対策を提案してくれていると思いました。
何年も前のことでもいい。
いじめた同級生、放置した学校を訴えましょう。
そういうことが日常化すれば、いじめる子たちや
その親と学校が本気になって、本当にいじめが無くなっていくのではないか。
そして小室さんが弁護士を目指しているなら
ぜひそういう方面で活躍してほしいと思うのでした。
閑話休題。
最後の一行、目頭が熱くなりました。 -
あああ、当事者じゃないはずなのに
引きこもりになった翔太の気持ち、
そんな翔太の存在が人生にまとわりついてくる姉・由依の気持ち、
いい学歴をもたせてやろうと子の教育に力をかけてきた両親の気持ち。
世間体を気にして隠そうとする母・節子。
プライドが高く何事もはっきりさせたがる父・正樹…
…全ての立場に共感してしまった。どの人の言い分もものすごくわかる…
身内ではないが、知り合いに翔太と同じような境遇である人とその家族がいる。
自分がもし当事者だったら、家族だったら、親だったら。
この父親みたいにはたして行動を起こせるのだろうかと考えた。
実際にはこの母親みたいになる人がほとんどだと思う。7年間そっと見守りという名の放置を続けてきた問題を解決するのは、時間も、精神の余裕も、労力も膨大に必要だ。
執念で証人と証拠を集め、裁判を起こす準備をする父親ら。
しかし、そんなに順調に事が進むはずがないのがリアルだった。
なじみのない裁判の準備や進め方について具体的に知ることができた。
もうちょっと裁判のシーンについて深く読みたかった。焼却炉についての証人の話とか、どんな反応を相手方がするのか知りたかったなぁ。
あと、小学校から同じだった彼が、裁判についてどんな感想を抱いたんだろうとか。
そして他のかたのレビューにもあるように、この作品のタイトルは、「小説8050」よりももっとふさわしいものがあるのではと思った。
8050問題には確かに触れているが、メインテーマは違うと思う。引きこもりよりもいじめ問題のほうがメインでは。
光の見える締めくくり方だったが、果たして現実でこんな結末を迎えられる幸運な家庭は、一体どのくらい存在するのだろうか… -
イジメの乗り越え方は
色々あるとは思うけど
忘れてしまえる人はいない
この小説のように
きっちり戦って乗り越えていくのも
自分の再生のために大事な事
いつの間にか
引きこもりは本人の問題として
原因を考えることに
疎かになってやしないか
と 改めて思わせてくれた
希望はあるけど
シビアな終わり方が
印象に残ります
いい本でした -
中学時代にイジメを受け"引きこもり" になった子どもを持つ家族の再生物語。過去の事件(イジメ)に対して裁判が起こせる、というのがこの小説の肝になっている。大部の著だがスイスイ読めて面白かった。
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いわゆる世間で取り沙汰されている8050問題とは異なっていた。「8050問題」とは「80代の親がひきこもりの50代の子どもの世話をする」という意味合いだが、本作で描かれた家族は50代の両親とひきこもりの20代の息子だった。林さんは「8050」になる前に解決できないかと思い執筆したと語っている。主人公は、息子が中学時代に酷いいじめを受け引きこもってしまっている50代の歯科医。彼は、長く引きこもっている息子を目にし、7年前に息子を虐めた子供らを訴えて裁判に持ち込む。親が本気で立ち向かう姿が息子を変えたのだろう。
息子らの中高時代を思い出しながら読んだ。私は果たして息子らとこれほど対峙して来たのだろうか? 長男が一時的に高校へ登校拒否をした折に、夫は明け方まで息子の話を聞いてやっていた。「学校を止めて就職したい」と言い出した息子に、夫は「そうか」と同意し「明日ハローワークへ行こう」という段取りをつけた。私は本気で受け止めた夫に驚きながらも猛反対したのだが、夫は本気でハローワークへ行き求人票を探した。結局、息子は高校を止めずに猛勉強を始めた。
遥か昔の懐かしい子育て顛末です。
(2021年12月30日記す)
著者プロフィール
林真理子の作品






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