ぼくは勉強ができない

著者 :
  • 新潮社
3.73
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本棚登録 : 687
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103668060

作品紹介・あらすじ

「健全な肉体に健全な精神が宿ると思う?」「健全って、いったい、なんなんだよ」。なんか、上手く言えないんだけど、窮屈なんだ。自由にしてるんだけど、居心地悪いんだ…。君の小さな苛立ち、やり場のない怒りを晴らしてくれる、お待ちかねの高校小説。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたいと思っていた作品。
    主人公の時田秀美は、私が今まで出会ってきた作品の中にはなかなかいなかったキャラクターのような気がしていて、新鮮だった。
    正直…秀美に共感できない部分も多々あった。笑
    多分同じクラスに彼がいて、彼のことを表面的な部分しか知らなければあんまり好きじゃない、むしろ嫌いだっただろうなあと思う。笑

    でも「自分で価値判断の基準を作りたい。ぼくはまず全てに丸をつけたい」という言葉はすごくかっこいいと思ったし、共感した。
    「チャラチャラしてんなーこいつ」と思ってる男子が、こんなこといきなり言い始めたらきっとギャップで惚れてしまうでしょう。(単純…!)

    高校生が主人公の作品だし、もっと早くに読めたら良かったなぁと思ったりもしたけど、ある意味今読めてよかったのかなぁとも感じる。高校生じゃない大人が読んでも、案外学ぶことが多い本だと思います。

  • すごく面白かった!!
    常備本として、家に置きたい。

  • これは大学の図書館で借りたが、自分用に書籍を購入しよう思う。

    大事なことが見えなくなった時、自分の考えに固執していたり、なんだかうまくいかないなぁと思った時、人の考えに反発したくなった時、とにかく心が消耗している時...そういう時にこの本を読み返したい。
    (しかしそんな時ほど、自分の考えを冷静に客観視することはできないのだろうが。)
    読み返すその時々で何か別の学びがあるような、予感がする本である。大人だからこそ、いろいろなことを読み取れる本だとも思う。

    秀実の些細な疑問や世間の当たり前を惰性で受け入れることのない姿勢に教えてもらえることがあった。

    彼の考え方や彼の母親の考え方には、大学4年間を過ごしていろんな経験をし、就活を終えた今、今となっては共感できる部分が多い。
    しかし、普通に(普通という表現も合っているか分からないが)集団生活を当たり前として生きてきた私のような人間は、高校生の時こんな風に世の中のことを考えたことはなかったし、その時に彼らのような人が身近にいたら、変なことを言うなあ、と思ったかもしれない。

    抽象的なことばかり感想に書いてしまったが、今のところ掴みどころのない読後感で、的確に感情を表現する言葉を見つけかねている。
    また読み返した時、その時の自分の立場でどんなことを考えたか、綴ろうと思う。

  • 4.7くらいです。
    全然勉強しないチャラい男子高校生の話かと思ったら、秀美が思ってることにはっとさせられ、共感し、時にくすっとしてすごく楽しく読みました。番外編も良かった。あとがきまでも面白く、作者の他の作品も読みたくなったし、好きな小説になりました。
    またもう少し時間が経ったら読みたいです。

  • 10代後半に読んで、その後の人格形成に大きく影響を与えた本。何度も何度も読み返していました。

    主人公の時田秀美くんが語る主張は、そのまま作者の山田詠美の価値観と直結するように感じられ、やるで山田詠美のエッセイを読んでいるようです。作者の価値観を包含する作品はしばしば作者の自意識が透けて見えて白けてしまうことがありますが、本作品では自分(=秀美)の主張に批判的な目を持つ人物を登場させ、反対意見を述べさせています。これにより、山田詠美の自意識を一方的に発露させるだけに終わっていないのかなと思います。

    メッセージ性があるけれどあくまで中立で、読者に考える余地を与えてくれます。読後感もさわやか。だからこそ、何度も何度も読み返したくなるのかもしれません。

  • 「ぼくは勉強ができない」…
    このタイトルにまず、惹かれました。また、目次も魅力的で、読む前から笑ってしまいました。
    私の初めての山田詠美さん作品です。
    時田秀美くんは、ちょっと変わった高校生。でも、こんな考え方もあるんだなぁと思ったり、なるほどなぁと思ったり、考えたことなかったと思わせられたり、痛いところついてきたり…。
    作者の山田詠美さんもあとがきで、同年代より、大人の方に読んでもらいたいとおっしゃっています。
    私は、秀美と同じ高校生なので、まだピンと来なかったり、よくわからないところもありました。なので、大人になったら、もう一回読み直してみたいと思います。
    きっと見方が変わると思います。

  • 大人になってから読めてよかったと思う

  • 素直にタイトルに惹かれました。これは自分の抱えている悩み!共感できる作品かもしれないと最初思った(笑)けど、それよりももっと深い真理を突いたとても良い作品でした。
    私は現役の高校生なのであまり読まない方が良かったのでは...と、著者のあとがきや他の方々のレビューを読んで思いましたが、時すでに遅しですね。

    それと個人的に現職の教師の方にも刺さる物語だと思います。番外編では平凡な考え方しかできない教師と、他の子どもたちとは違った視点を持つ非凡な生徒が対照的に描かれており、まるでその場に居合わせたようなゾクゾク感がありました。奥村先生のことを秀美のお母さんは「学校以外の世界を知らないだけ」と表現していましたが、その通りですね。このあたりでは学校の先生をしている方もギクっとするんじゃないかな。
    秀美が好きな先生の一人として白井教頭も登場しますが、奥村先生との違いは圧倒的な経験差ではないかと思います。様々な知識を持ち合わせており、人生の酸いも甘いも経験して熟れた大人は総じて自分の知らないことを知っているので、子どもにとってとても魅力的に映るのでしょうね。小学生の秀美は白井教頭のことを、「年をとっているから素敵というわけではない気がする」とあるように、人生に対して豊富な経験や知識があるから素敵なのでしょう。
    私の周りにもいますが、おじいちゃん先生というのは生徒から人気があります。その先生の授業を今思い起こして見ると、面白かった記憶があったので物語を読んでいる最中、その人のことを思い浮かべて読んでいました( ¯﹀¯ )

    時田秀美、17歳。同じ世代なのに柔軟な頭とあらゆる物事に疑問を持つ姿勢、ここまで尖った見方ができて羨ましいなと第一印象で感じました。彼にとって私は有象無象の一人に過ぎないでしょう。ですが所々、家庭環境や秀美の考え方に共感することもあって、周りにいたらぜひお友達になりたいですね。
    秀美のお母さん、おじいちゃん、教師、お友達や恋人など秀美の周りには魅力的な人間がいるのですが、その中でも特にお母さんの登場する場面がとても印象的に感じました。秀美のお母さんの第一印象は初め、母ではなく女として生きる女性として描かれていたためあまり良いものではありませんでした。しかし後半にいくにつれ、番外編ではお母さんの秀美に対する胸中が明らかになり、この人は人間としてできているな、と私の中の評価が一転して変わりました。ここは奥村先生と似た、お母さんに対する評価の変わり様を著者が読者に体験させているようで、面白かったです。

    大人にこそ読んでほしい小説だと著者が言ってあったので、精神的にも経験的にも大人になった時にまた読んでみようと思います。20年後の自分と今の自分、どのように感想が変わるのか少し楽しみですね(=_=)未来の自分、よろしく頼むよ!

  • 愉快

  • 登場人物がみんな個性的で魅力的

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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