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- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103675051
作品紹介・あらすじ
熱情と沈着とを一身に兼ね備えて人間世間にしがらむ矛盾撞着と必死に切り結ぶ、70年の遍歴。古代ギリシャ学の泰斗から電車内で隣り合わせたある老女性まで、深く心に残る人々との、出会いと別れ。出自である北辺の地にまつわる、幾つもの忘れがたい出来事。真剣な冗談と苦難の愉悦に満ちた、人生という旅の経緯を悲哀まじりの滑稽といった感情とともに叙し、社会に生きる言葉の動物-人間にとっての記憶と経験の真の意義を、自身の内奥に検証する試行。記憶と経験の信義を問い直す自伝的連作考量。
感想・レビュー・書評
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「枯淡」という言葉が似合うと思った。夏目漱石や古井由吉の随筆にも似た、ひたすら孤独に内省・内観を深める態度を感じたのだ。ほんらいドン・キホーテとサンチョ・パンサという「おかしな2人」を「一挙に」自らの内に引き入れようとする野心をみなぎらせた書と読むのが妥当とぼくは思うのだけど、それが正しいとするなら西部邁とは良かれ悪しかれ「つるめない」人、「ごまかせない」人だったということになろう。他者との関係の中で「なあなあ」の折り合いをつけていく処世術ではなく、自らの個としての感性・批評性を研ぎ澄ませる。がゆえの孤独
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