都市という廃墟

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103700012

作品紹介・あらすじ

札幌市営団地で餓死する主婦がいる。"学園都市"筑波では自殺者が増える。限り無く病院に似た八王子の大学群…。死や汚れというものを排除しつつ構築されてきた現代都市が垣間見せる裂け目をすくいあげ、三島由紀夫というメスを用いてそれを解読する。都市と文学、犯罪と建築がスクランブルする刺激的な現代論。

感想・レビュー・書評

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  • 社会的事件からまちを考察する本。特に、団地に対する見解が秀逸。25年前にこれを言い当てていた事がさすが。一気に読むと気持ちが落ちるけど、それでも読みたいと思わせてくれる本。

  • 私の愛読書。廃墟つながりで久々に。犬島は関係ないです。
    何度も読んでるのに毎度新鮮。
    事件の現場を歩きながら、20年前の三島由紀夫の小説がリンクする。
    予言しているかのような小説の文章に驚く。(何度も読んでるのに忘れるチキン脳)
    今もうこの本から20年が経って、
    さすがにかつてあった社会状況と前提は大きく変わっている。
    http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1642.html

  • この書物は、オイル・ショックまでの日本社会の無意識を具体的に描いたものといってもよい。そこに描かれた日本の現代社会は、幸福そうな相貌をいっこうに帯びていない。多くの日本人が、この本をひょっとして読みたがらないとすれば、その無意識を意識化したくないからであろう。しかし、戦後の日本とは、実はこういうものだったのである。だれもべつに、だまされていたわけではない。もし、だまし、だまされる関係が存在したのであれば、それは単に、どちらも自分自身であったに過ぎないであろう。
    人と場所との関わりについて、心理学者の河合氏はいう。「場所といっても、それは単なる地点ではなく、それを取り巻く全体的なものの作用を受けているのであり、それはあるとき、ある人にとって、特に重みを持つことがある。そのような意味での場所をトポスと呼ぶことにする。そのトポスとの関連で、『私』を定位できるとき、その人の独自性は強固のものとなる」『中年クライシス』

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