天涯の船 上巻

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103737070

作品紹介・あらすじ

明治十七年、姫路藩家老のひいさまの身代わりになった少女ミサオと、大志を抱いて留学する青年・光次郎は、神戸からアメリカへ向かう船の上で出逢った。留学後ヨーロッパ貴族へ嫁いだミサオと、実業家として成功への道を歩み始めた光次郎は、再会して惹かれ合い、そして…運命の荒波に翻弄された。感動の大河恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 明治17年、アメリカ行きの船に乗っていたのは、身代わりのおひいさまミサオ。
    自分の立場の重責と乳母からの折檻から逃げようと船室から飛び出した夜、薩摩言葉の男性幸次郎と出会った。

    ミサオの数奇な運命に魅了されます。
    一介の下女が、子爵夫人になるなんて、なんてワクワクするのでしょう。

    子を持ち、夫を失う未亡人になったところで終わる上巻。
    時勢はサラエボ事件へ。
    このまま下巻に進みます。

    (昨日の新聞で、国立西洋美術館で松方コレクション展が行われることを知りました。このタイミング、私の数奇な運命か?笑)

  • 児玉清さんの「ひたすら面白い小説が読みたくて」より、第一作目です。
    時は明治17年、姫路藩家老のお姫様(おひいさま)の身代わりに仕立て上げられた少女ミサオと、大志を抱いて留学する、元薩摩藩の出身の青年、光次郎は神戸からアメリカへ向かう船の中で、運命的な出会いを果たす。
    船中の苦難、アメリカの留学も苦難、偽物のミサオにとって気の休まることのない年月を経て帰国、その後留学中に出会ったヨーロッパ貴族と結婚、実業家として歩み始めた光次郎、お互い引かれながらも運命に翻弄される二人。
    なんとも壮大な物語です。
    終わりがけからちょっと面白くなってきました。

  • きれいな文体です。最初は流されてやむなく身代わりをスタートして、でも演じるうちに自分のものになる。立場が人を変えることもある。強くしなやかに。良いことも悪いこともあるけど、これも一つの人生。玉岡さんは本当に普通の一つの人生を描いている。

  • 松方コレクション展を見てきました
    幻の美術館コレクションといえばいいかな
    大昔に読んだこの本を思いだしました

    有名どころが揃っていてモネがよかったかな
    浮世絵もいい絵柄があって気に入りました

    最後の神戸関連の展示が良かったです
    あの時代の神戸港、活気があったんでしょうね

  • *明治17年、姫路藩家老のひいさまの身代わりになった少女ミサオと、大志を抱いて留学する青年・光次郎は、神戸からアメリカへ向かう船の上で出逢った…。生涯をかけて夢と愛を追い求めた男と女の大河恋愛小説*

    とにかく面白く、上下巻一気読み!二人の数十年にわたる歴史と世界を舞台にした壮大なストーリー、怒涛の展開に加え、良くも悪くも古き日本のしきたりや美意識が挿み込まれ、二転三転の面白さ。まるで映像を見るような描写も素晴らしい。とにかく物語に没頭出来る本をお探しの方に、是非!

  • とても面白いです。
    明治時代の波乱万丈な人生ですね。実在の人物がたくさん出てくるので、ミサオも本当にいたのでは・・と思わせます。
    身代わりとして生きるミサオが、どんどん成長して海外での生活に馴染んでいくのは、ちょっと出来すぎのような気がしますが、テレビドラマにしたら面白そうです。

    お勝の心の動きが、私も知りたかったです。

    マックスは、ミサオが誰を好きなのか最初から知っていたのですね。ちょっと可哀相な感じでした。

  • 実在の人物をモデルにした日本近代の小説、と聞いて期待したが、第一部の前半越えるまでは退屈で仕方がなかった。

    元藩主家老の娘の替え玉として米国留学させられた少女が、次第に才覚を現し、美貌を備えて、悲しい運命を乗り越えていく。しきりといびりたがるお目付役の乳母、意地の悪い兄貴、野心家で打算的な父親。その一方で実直だが不器用な日本人青年と、オーストリア伯爵家の血をひく青年との淡い三角関係。

    なんというか、ものすごーく少女漫画ちっくな設定すぎるし、キャラがあまりにもステレオタイプ過ぎて笑ってしまう。乳母のお勝の航行中の折檻シーンが酷すぎるが、のちに改心してヒロインの味方になるあたりは、まあほろりとくるのだけども。

    薩摩弁とか方言まじりの語りと、第三者的な解説とが交互になっていて読みづらい。ヒロインが異国で未亡人を失って寄る辺なき身の上になりながらも挫けない強さの素地として、少女期のおしんのような虐げられた境遇があるわけだけども、もうちょっと時間を置いてていねいに描写してくれたらの気がしないでもない。

    モデルになっているのは国立西洋美術館や大原美術館の松方コレクションを築いた事業家と、異人伯爵夫人となった人物。下巻でどう転がるか楽しみ。

  • 惹きつけられて一気に読めた。
    一見すごいとは見えないけど、実は頭が良くて、知り合うほどに周りに影響を与えていく女性のお話。花のれんとか篤姫とか 好き。

  • 幕末から残る身分制度の厳しさが残る、明治初期の下働きの少女三佐緒(ミサオ)の、波乱万丈な生き方。

  • ミサオのたどる数奇な運命は、まるで歴史的な舞台で展開する少女マンガのようでした。
    最初は、ミサオにとって恐ろしい人として登場する乳母のお勝さんが、第一部の中盤以降とても魅力的になっていくのが印象的でした。

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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