負けんとき〈上巻〉―ヴォーリズ満喜子の種まく日々

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103737131

作品紹介・あらすじ

時は明治半ば、播州小野藩最後の大名・一柳末徳の娘として生まれた満喜子は幼くして母と死に別れ、封建的な父とその愛人たち、異母姉妹と一つ屋根の下で孤独な少女時代を過ごした。華族ながら平民と同じ学校でアメリカ人教師から英語やキリスト教の精神を教えられ、神戸女学院に進んで音楽を学ぶ。年頃の満喜子の胸にはいつしか乳兄弟の佑之進がいたのだが、彼とは結ばれず、傷心の満喜子はひとりアメリカへ留学することに決めた-。播磨小野藩最後の大名の娘一柳満喜子と近江兄弟社を興したアメリカ人W.M.ヴォーリズ。封建的な世に抗い、自分の生きる道を探した二人の出会い。

感想・レビュー・書評

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  • 近代の女子教育や福祉などの分野に携わった人は
    どこかで必ず一本の線でつながっているんだと
    考えさせられた本。

    玉岡さんの本は、デビュー作しか拝読して
    いなかったけれど、こんな色合いの本も書かれる
    作家さんになっていらしたのか。

    久しぶりに面白い評伝小説を読んだ。

    津田梅子・大山捨松・一柳満喜子・そして
    今の朝ドラのヒロイン、廣岡浅子

    主人公の一柳満喜子を支えた廣岡浅子が
    とっても魅力的に描かれ、ドラマを見ていないのに
    脱線して他作家の「土佐堀川」も読みたくなった。

    一柳満喜子自身は、旧華族の子爵令嬢で
    米国留学を経て宣教師であったヴォーリズと
    結婚し、教育や福祉、女性の地位向上や
    伝道に尽力した女性。

    こうしたことは知らないで読み始めて
    矯風会の活動なども出てくるので
    福祉の勉強をしていた昔に帰って読んでみた。

    ミッション、というものが日本の教育や福祉・文化に
    果たした役割は大きいけれど、それを再認識させる
    内容だったし、切り口が斬新だった。

    夫のメレル・ヴォーリズにももっと詳しく
    触れたくなる内容。

    女性を主人公にすると男性が霞む評伝小説が
    多いなか、男性も魅力的に書かれているし
    明治から昭和初期の、本当のお金持ちの
    紳士たちの風合いがよく出ていたのも好印象。

    しかしそれにしても、日本って
    つくづく、人のために、というのが
    行動する側も受ける側も根付かない国だとも
    思わされた。

    明治の昔から平成の今まで、あいかわらず
    施し、という陰惨さがどちらにも付き纏う。

    闇に引っ込んだかに見えるけれど
    今はその施しすらも消えていこうとしている。

    施しではなく、善意なのだけど
    善意という言葉に嘘を見る時代を通って

    うそといわれるなにかをくっつけた
    善意まで、本物も、偽物も消えていく。

    勝手に生きていけばという世の中。

    自分も他人も…。
    その流れはもう止まらないのかなあ、と
    爽やかな読後感の本なのに、ひょうと
    こころに風が吹いた。

  • 上巻では、華族の娘として生まれた満喜子の20歳代までの生い立ちが、一方、断片的に海の向こうアメリカでのヴォーリズについては、日本に来るまでの経緯が記されている。
    そして、アメリカ留学に発った満喜子はその後どうなるのか。下巻に続く。

  • コメントは下巻にまとめて

  • ヴォーリズ建築の神戸女学院が出身校なので、知ってる人がたくさんでてきてわくわくしました。

  • 明治17年に子爵令嬢として生まれ、東京の女子高等師範で学び、そして大阪で兄の元家庭教師の傍ら神戸女学院で音楽を学ぶ。当時の階級社会ともいうべきしがらみで乳兄弟の祐之進への熱い思いを断念せざるを得ず、25歳で米国留学へ!これが明治42年。ここで上巻は終わります。高等師範教師として津田梅子、同級生の大谷絹代、そして大先輩としての大山捨松も登場し、その当時の女性がいかに大変な環境に置かれていたか、それをどのように闘い抜けていったか、素晴らしい女性たちを教えられます。著者の文章は女性的すぎて少し読みづらいですが、満喜子やその当時の女性たちの生き方に乾杯!の心境です。

  • 負けんとき〈上巻〉〈下巻〉―ヴォーリズ満喜子の種まく日々
    玉岡 かおる
    新潮社 (2011/11

    玉岡かおるさん 大好きです
    気さくな方で地域のいろいろな活動に参加されています

    この作品もよかった!
    建物や会社の名前などなじみ深いのに このご夫妻のことは全く知りませんでした
    特別な偉人伝ではなく 史実と人物を織り交ぜてえがかれる手法に読みふけりました

    生まれ 生き 悩みながらも前に進んで行った人
    恋も切ないです

    ≪ 荒野にも 実りを夢み 種をまく ≫

  • 時は明治半ば、播州小野藩最後の大名・一柳末徳の娘として生まれた満喜子は幼くして母と死に別れ、封建的な父とその愛人たち、異母姉妹と一つ屋根の下で孤独な少女時代を過ごした。華族ながら平民と同じ学校でアメリカ人教師から英語やキリスト教の精神を教えられ、神戸女学院に進んで音楽を学ぶ。年頃の満喜子の胸にはいつしか乳兄弟の佑之進がいたのだが、彼とは結ばれず、傷心の満喜子はひとりアメリカへ留学することに決めた―。播磨小野藩最後の大名の娘一柳満喜子と近江兄弟社を興したアメリカ人W.M.ヴォーリズ。封建的な世に抗い、自分の生きる道を探した二人の出会い。

  • 建築の話は、あんまり出て来なかった
    次に期待しよう。

    架空の人物と知っていたから、
    消えてしまうとは予想できたけど
    つらい内容でした。
    読む方も早く立ち直って
    アメリカに気持ちを移そう!

  • 面白くて読みやすい。波乱な部分で下巻につづく。

  • 華族の家に生まれたことの幸せと不幸。満喜子の乳兄弟佑之進への想いと将来への展望、女が生きにくい世の中にあって、必死に藻掻く姿が痛ましい。でもまたそれを助ける人との出会いも有り、縁と言うか運命と言うか、今だから言える人生とは面白い。上巻はアメリカに行くまで。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『姫君の賦 千姫流流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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