ソロモンの偽証 第II部 決意

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (715ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103750116

作品紹介・あらすじ

騒動の渦中にいるくせに僕たちは何も知ろうといなかった。けど、彼女は起ちあがった。校舎を覆う悪意を拭い去ろう。裁判でしか真実は見えてこない!彼女の覚悟は僕たちを揺さぶり、学校側の壁が崩れ始めた…気がつけば、走り出していた。不安と圧力の中、教師を敵に回して-他校から名乗りを上げた弁護人。その手捌きに僕たちは戦慄した。彼は史上最強の中学生か、それともダビデの使徒か-。開廷の迫る中で浮上した第三の影、そしてまたしても犠牲者が…僕たちはこの裁判を守れるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 2024/02/09
    #このミス作品89作目②

    長編作の事件究明編。
    感想は最終巻で。

  • 第Ⅱ部 決意 715p

    柏木卓也はどうして死んだのか
    自殺したなら、その理由は? 他殺なら殺したのは誰か?
    告発状は本物だったのか?
    真実を語っているのか? なぜあんなものが登場したのか?

    ただ真実を知りたい! 教師もマスコミも、誰もあたしたちには真実を教えなかった
    いろんなことを聞かれて、書かれて、憶測されて、確かなことを教えてもらえないまま、あなたたちは知らなくていいことですって、冗談じゃない!

    藤野涼子が動く!
    「あたしたちで真実をつかもうよ」と呼びかけ、学校内裁判を開くことを提案

    大出俊次が不良だから、札付きだから、性根が曲がっているから、本人も平気の平左なように見えるからといって傷ついていないということはない。だから殺人の濡れ衣を着せられていいはずがない
    真実は、明かされるべきだ

    デタラメな告発状をでっち上げた嘘つきの三宅樹里
    自分は嘘つきじゃないと抗弁する機会は、全く与えられなかった
    それこそが学校内裁判の法廷でなされるべきだ

    判事、廷吏、弁護人、検事、陪審員とメンバーが決まり、裁判に向けて、各関係者への事情聴取や供述調書の作成等の準備が進む

    その中で、他校の生徒でありながら、弁護人を買って出た神原和彦とは、何者なのか?
    柏木卓也とは、塾友達ということだが、彼が時おり見せる対岸を見てきたような目
    砂漠を彷徨っている幽霊のような表情

    なぜ弁護人になった?という問いに対して
    「責任があるからです」
    と答える 彼の言う『責任』とは何なのか?

    想像は膨らむが、第II部で、その結論が明かされることはなかった

    第Ⅱ部も宮部みゆきさんの罠にどっぷり絡め取られ、この本から離れられなくなってしまった
    あまりの面白さに、家事もそこそこにページを捲る手が止まらなかった

    第Ⅲ部はいよいよ学校内裁判、どんな真実が明かされるのだろう


  • 面白い!
    話題作の中盤です。
    事件はⅠ部で次々に起きて、関連があるのかないのか、噂が飛び交う状態でした。
    真相が解明されないままに蓋をされそうになり、下手すれば別な犠牲者も出かねない事態に。

    中学の裏庭で、あまり目立たない生徒だった柏木卓也が発見された。
    投身自殺と思われ、いじめは疑われますが、はっきりはしない。
    ところが、不良グループの大出俊次が柏木を落とすところを見たという告発状が‥そして?!

    藤野涼子は、夏休みに学校で模擬裁判を開くことを考え、提案します。
    北尾先生は、応援してくれたのですが。
    高木先生は優等生の反乱という目で怒り、生徒の面前で言い合いになって‥
    涼子は両親にもよく相談して、いろいろな場合を想定した上での行動でした。
    北尾先生の指導の下の課外活動として、許されることに。
    頭が良くて、りりしい涼子はカッコイイ!
    とはいえ、最初は陪審員役の生徒たちもろくに集まらないのですが‥

    涼子は、疑われたままの大出の弁護人を買って出ようとしていました。
    そのつもりで大出の家にも行きますが、いろいろあって検察側にいくことに。
    大出の父親は攻撃的で、札付きの不良の俊次もまったく頭が上がらない状態と知ります。
    親が放任状態なため、俊次のアリバイを確認するのは難しい。
    告発状を書いた人は名乗り出るように連絡を回すと、望み薄と思われた反応が。

    弁護人は、他校生ながら柏木と塾で友人だったという神原和彦に。
    弁護側の助手に名乗り出た野田健一は、涼子の手助けをしたかったのですが。
    気が弱い野田ですが、じつはやれば出来る男子?
    大人しそうだが冷静で、どこか変わっている神原に感心したり、やや不審を抱いたり。
    超然としていた柏木とも、神原は似たところがありました。
    涼子の親友の古野章子は、裁判には関わらないと明言、涼子にもやめるように言っていました。神原と野田の聞き込みにも反発しますが、やがて協力的に。
    夏の間に、正義の味方と思われて、神原と野田の人気は上がっていきます。

    探偵社の河野は、生徒たちの行動に好感を持ち、かげながら協力的な態度。
    告発状の内容を信じて噂を報道したテレビ局の茂木は、ミスに気づかされ、学校内裁判に興味を持ちます。
    警察は生徒たちの知らない何かを追っている。はたして‥?

    実は掟破りでⅡ部を先に読みました。
    図書館で先に来てしまったため。
    Ⅰもあと少しで来そうなので、迷いながら待ってたんですが。改めて予約しなおすと、Ⅱ部を読むのが1年後になりかねなくて。それじゃあまりにも覚えてなさそうでしょ‥書評であらすじをざっとチェックして、Ⅱ部からでも大丈夫そうかなと見当をつけて。
    Ⅱ部は裁判を始めるいきさつと、その課程が主なので、すごく面白い部分です。
    いろいろな立場の思惑や、周りがだんだん協力するようになっていく様子がありありと描かれています。
    このすぐ後にⅠ部を読んで、ああこの事はあの人はⅡ部になっても知らないんだ‥とわかった部分があり、それも一興でした。
    Ⅲ部からいきなりは無理ですけどね!

  •  うわあああ。何だこれ。何だこれぇ!!
     面白い。面白すぎる。ページをめくる手が止められないのに、「読み終わりたくないー」って思うくらいに面白かった。


     学園ものかと思ったら、法廷ものに早変わり。ただし、判事も、検事も弁護人も陪審員も、みんな中学生。14歳。どんだけ、頭のよろしい中学生なんだ、あんたらはー。こんな頭のキレまくる中学生いっぱいいたら、世界が滅んでしまうわーって思った。(笑)


     検事側の藤野涼子ら3人と、弁護人側神原和彦ら2人が、それぞれ証人を探すことで見え始める真実。彼らの折衝が、もう、見事見事。


     三部はいよいよ裁判開始。検事と弁護人双方が、全力をかけて自分たちの突き止めた真実が正しいと主張しあう。判事の井上くんが木槌をふるい、9人の陪審員が大出俊次の有罪無罪を裁定する。

     あー、楽しみだ。書いてるだけで、興奮する。

  • 裁判へ向けた準備。どんどん物語が加速していく感じがたまらない。続きを知りたい!と、はやる気持ちのまま第3部を読書中。

  • 宮部みゆきさん恐るべし。
    面白い。

    事件に翻弄されていた中学生たちが真実を手に入れるために立ち上がる。
    中学生の強さ(強すぎるけど)・弱さ、大人たちの強さ・弱さを浮かび上がらせていく。
    物語の登場人物にとっての謎を回収しつつ、結末への匂いを振りまきながら。

    ミステリーの結末はどうなるのかわからない。
    結末に向かって読者の頭の中にある予測、妄想をぐるんぐるんと引っ掻き回す宮部みゆきさんが奏でる旋律に聞き惚れてしまう。

    結審となる『第Ⅲ部 法廷』。
    ページを捲る手が緊張しそうです。


    (ページを捲る期待感は電子書籍になっても得ることができるのだろうか...とふと思ったり。慣れかもしれませんけどね)

    • ぶっかけさん
      思わず親指と人差し指を擦り合わせて確かめちゃいました(^^♪
      思わず親指と人差し指を擦り合わせて確かめちゃいました(^^♪
      2013/11/05
    • decoさん
      紙の厚さや残りページ数の量を感じながら読むのってやっぱりいいですよね〜。
      マンガや雑誌は電子書籍でいいけど(^^
      紙の厚さや残りページ数の量を感じながら読むのってやっぱりいいですよね〜。
      マンガや雑誌は電子書籍でいいけど(^^
      2013/11/07
  • ついに、あの証人が口を開く。
    くー!痺れるなあ。
    すぐに次を読む!

  • 欺瞞だらけの大人。
    嘘をついているばかりの大人。
    本当のことを言わない大人。
    そんな大人は当てにならない。
    自分の中学校の事件なのに。自分たちの問題なのに。
    このまま嘘で塗り固められたまま、真実を何も知らずに卒業して、高校生に、大人になっていくのはイヤだ。
    そこで藤野涼子は決意する、ならば自分たちで真実を明らかにしようと。子どもたちだけで。
    生徒たちだけによる学校内裁判を開き、真実を明らかにしようと。

    突然弁護側に名乗り出た少年、東都付属中の神原和彦とはいったい何物なのか?
    死んだ少年、柏木卓也と小学校時代の友人だったとはいえ、何故この裁判に関わろうとするのか?
    疑問は残されたまま、検事側、弁護側に分かれ、真実を追究する捜査は開始される。
    そして、少年少女たちは捜査をしながら、新しい事実に辿り着き、驚愕する。
    隠されていた人間の心の光と闇。
    同時に彼らたちも、自らの胸に自問自答しながら、成長する。
    真実を明らかにするためのひたむきな行動を通して。
    ひたむきさ。一所懸命。このみんなの姿に心を打たれる。エールを送りたくなる。
    さらなる事件が勃発しながらも、少年少女たちは当初の目的遂行のため、審理開廷に向かって突き進む。
    その裁判によって何が分かるのか、真実とは何なのか。どんな結末が待っているのか。
    疑問と謎と、成長していく少年少女たちの姿への期待を胸に抱きつつ、最終話、第三部『法廷』へ。
    (第三部『法廷』のレビューに続く)

    • ねこにごはんさん
      フォローありがとうございます^^
      こちらをうかがってみるとあまりのレビューの巧さに感動しました(^-^)これからも楽しみに拝見しますね。私も...
      フォローありがとうございます^^
      こちらをうかがってみるとあまりのレビューの巧さに感動しました(^-^)これからも楽しみに拝見しますね。私もフォローさせていただきます。
      2012/11/28
  • Audibleで読みました。
    まさか法廷ミステリーだなんて足元をすくわれました。それにしたって中学生の裁判ごっこか〜、などと笑ったわたしはいとも簡単に宮部ワールドの餌食になりました。

    大出が過去にふるってきた暴力、その大出に降りかかった殺人容疑という空気の暴力。その対立軸を中心にして少しずつ回転し始める真相究明の刃。柏木・三宅・もりりんの隣人のおばはんという歪んだ人間の素性が少しずつ白日に晒されていきドキドキです。この読者が犯人を知ってるコロンボ式のやり方は、前作模倣犯でも使われていました。本作では知っている部分と、知らない部分とが巧みに混ぜこまれていてさらにミステリーを奥深くしていると思います。
    家事や通勤中だけでなく、家族団欒の時間までAudibleですっかり聴き耽ってしまいました。文句なく面白い。

    それにしても異常者とその家族、この物語で言えば柏木家・三宅家・垣内家のありようが事件そのものを賑わせてしまう構図は、バブル崩壊後の異常犯罪が流行りだした世相を反映しているのか?と改めて感じました。その中でも聡明に生き残る人間と、そうでない人間という残酷な事実が突きつけられているようで、我が身を振り返って厄年を過ぎた今からでも成長しようという気にさせてくれる作品でした。
    さあ、いよいよ開廷です。次巻へ急げ。

  • 中学生が校舎で謎の死を遂げ、その死をめぐり、自殺が殺人かをはっきりとさせようという展開になっている。
    しかし、ちょっと長すぎるような。
    正直、飽きてきました。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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