ソロモンの偽証 第II部 決意

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (715ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103750116

感想・レビュー・書評

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  • 第Ⅱ部に入って、さらにエンターテインメント性が増した。ただし、その反面、小説としてのリアリティは犠牲になったというべきだろう。そのことを了解して読む限りは大いに楽しめる。裁判が決意されてから開始されるまでの間に、これだけの葛藤と止揚を描いて見せるのだから。当夜、何度も電話していたのは弁護を担当する和彦だろう。そして、彼こそが第Ⅲ部の、そして事件全体の重要なキーマンとなっていくと思われる。「誰も考えつかなかったような真実」が、いよいよ次の巻では明らかになっていく。ここからがミステリーの本領発揮の場面だ。

  •  第1部より面白かった! じめじめドロドロしていた第1部に比べて、第2部は生徒たちが全力で活動し始めるので読んでいて痛快。
     しかし、いやいやいや、神原君はかっこよすぎでしょう。それに、涼子ちゃんといい、井上判事、佐々木君といい、賢い中学生が集まりすぎ。敵も多いけど、物分かりがよくかつ“できる”大人も多い。いやいやいや……と思いつつ、700頁を軽く読ませちゃうあたりは、さすが宮部みゆき(『双頭のバビロン』の次に読んだから、かなり読みやすく感じたというせいあるけど)。
     神原君、イメージとしては数年前の神木隆之介君かなぁ。

  • ☆4つ

    いやはやなんとも大作である。そして読むのもそれに比して大仕事である。先の1巻に始まってもう何日間この本と付き合っているだろう。これぞ「読書とは能動的な行為である」を実感する本である。

    パソコンでYoutubeに動画をアップしながら読み、同ラジオ番組を録音しながら読み、トイレへ持ち込んでは読み、寝る前にベッドのなかでまた読み。そして、あとまだ最後のの第3巻が残っている。

    この物語の設定は確か1992年とかそんなふうだったと思う。なぜだろう。面倒だから読み返しはしない。その理由はただ一つ。ケータイ電話があっては物語が成立しないのだ。3巻をこれから読むわたしとしては、これはあまり根拠のある推理ではないけれど、なんとなくそんな気がする。
    それは3巻を最後まで読めばきっと詳らかなるであろう。たぶん。

  • 中学生が捜査し、裁判をするという非現実性に、
    ふわっと話が浮いてしまって飛んで行きそうになるのを、
    人物表現の緻密さ、具象さが、ぎりぎりつなぎとめている。

    しかし、そこに、そこにだけ非現実性を感じてしまうのは、
    「中学生はそんなことをしない」と決め付けている
    私の方の問題なのだろう。

    第三巻が楽しみだ。

  • 第二部終了。次が最終巻。少し中弛みの気がするけど、そこまで気にならない。宮部みゆきって、凄い作家だと思いました。

  • やっぱり、これはマンガだなマンガ。マンガ化を狙ってるのかな? この小説を元にマンガって描きやすいだろうな。宮部みゆきの文章力で、狂いの無い描写が想像できるから。

    マンガをバカにしたり、小説より下だとはちっとも思わないけど、この内容はマンガのほうがしっくりくる。小説はもっと読者層を考慮して成り立つものだと思う。

    まず現代物であり実社会風に描いているのだから、ファンタジーでは無いハズ。なのに、しらけるぐらいのご都合主義。どこの中学にこんな聡明な学生が何人も居るのだろう? しかも大人顔負け(いや、大人以上)の雄弁さ。

    自分の中学時代を思い返しても、こんな子一人でもいただろうか? 自分の中にあるモヤモヤとした思い・考えを日本語で的確に表現なんてできなかった。表現したとしても、本当の気持ちと違う表現になってしまう違和感があった。中学生とは自分の気持ちを正確に把握できず、更にそれに相応しい表現方法がみつからないというジレンマに悩む、気持ちを伝えることに一番苦労する時期だと思う。

    それをこうもポンポンと的確な台詞を言える中学生達が沢山登場する。この会話自体がもうあきらかに中学生じゃない。中学生という"子供"であるということを、ちゃんと考えて描かれていない。

    マンガなら許す。マンガは不相応すぎる登場人物が居ても許される。でも、ファンタジーでもない小説で、実社会に適応している作品を描こうとしているならば、中学生の未成熟な表現力もちゃんと描かないと、美味しいトコ取りだけのご都合主義小説になってしまう。

    つまり、この小説は大人目線で大人が微笑ましいと思える中学生を大人が描いた作品であり、大人を主人公にした裁判物語では、もっと嘘で塗り固めてた法律での駆け引きになってしまうから、真実を追求する裁判を描くために、中学生がやる裁判ごっこの方が都合が良く、そのため主人公達を純粋で賢く表現力豊かなありえない中学生集団にしたっていう作品。

    マンガなら良かったのに。

  • 図書館で思いがけないくらい早く順番がまわってきました。
    考えてみたら流行りの長編小説って(1Q84とか)1巻は半年以上待たされるけど、2巻以降は比較的すぐまわってくるんですよね。みんな見切り付けるのが早い(笑)

    この巻では、1巻で起きた生徒の変死事件について学校内裁判を開廷しようという決意と準備に奮闘する様子が描かれています。

    はっきり言って話の進展はほとんどないのですが、それでも登場人物だけは相変わらず着々と増えてました。
    ひとりひとりの丁寧な描写が宮部作品の魅力ともいえるし、このボリュームをこの展開の無さで(笑)最後まで読ませるのはすごいことだけど、やっぱりもう少しスピード感と進展が欲しいところでしたね。
    もっと言うと、子供らしくないいろんな種類の優等生が大量に登場して違和感を覚えました。こんな高度な思考力を持たせた子供たちで話を進めたいなら中学生を主役にすべきじゃなーい、と思うのは意地悪ですかね・・・
    意地悪目線ついでに言うと、人物の描写が丁寧で個性がよく出ててわかりやすいとも言えるけど、優等生は美人だし、ひねくれ者はニキビ面のブスだし、優しくてお人よしはデブだし、頭のいいキレ者はメガネだし、不良はがたいがいいし・・・これって外見の先入観そのままの個性で何のひねりもないんですよねー

    なんだかなあ・・・
    それなりにどんな結末にするのか気になるので3巻も読む予定ですが、この調子でいくのかなあ。良い意味で期待を裏切ってほしいです☆

  • 私も弁護団のファンになってしまいました…
    神原くん素敵…
    でも、私の押しメン(?)の野田くんが、深く神原くんを理解していく様子がなんだかとってもよかったです。
    野田くんは出来るコなんだよ!
    それをみんなが理解していくところも痛快でした。

    中学生ってなんだか難しいなあ。
    気取ってみたり、無理してみたり、野田くんみたいに自分を偽ってみたり。
    高校生になったら楽になるんだけどね。
    でも、いろんな人のいる小学校、中学校って面白いのかも。
    当時はそう思わなかったけど、この本を読んで、そう思いました。
    色々な人を触れ合えるのって、すごい財産な気がする。
    大人になったらできないもんね。

    そんな色々の人のなか、大出くんも彼なりに色々悩んだりしてるんだなーと理解してきました。
    つい、不良の一言で片付けそうな大出くんや勝木さんにもスポットを当てる宮部さんは改めて素敵だなあ。

  • 涼子の聡明さにも惹かれるけど、野田くんの成長が読んでて嬉しくなる。ダイの大冒険のポップ的な感じ。中学生くらいだと、変に頭が回ると逆に生きづらい感じがあるけど、みんな一生懸命頑張ってて、応援したくなる。各人の心情も、何か起きる度にめまぐるしく変化していくので、1部のように長いとか細かいとか感じなかった。むしろ丁寧に書かれてるのがいい感じ。話の方向性も決まって、よりフィクションぽく、でもドラマティックになってきて、非常に読んでてわくわくします。しかしこれ、ミステリぽく無い。最終的には犯人当てになるんだろうけど。

  • 今更ながら、あ、本当に中学生主人公の作品なんだ、と思う。
    中学生できすぎ!とか、涼子のお父さん、仮にも刑事のくせにありえないでしょう!とか、まあいろいろあるけれど…楽しく読みました。

    せっかく第一部の記憶があるうちにうまいこと第二部の順番が回ってきたので、あとは第三部がなるべく早く回ってきてくれることを切に願う。

    余談。
    う~ん、でも宮部さん、こんな書き方する人だったかなあ。
    昔はもっと、うまいなあ~と心底唸らされる感じだったような気がするんだけれど、これはあまりそうでもないような。
    私の好みが変わってきたのだろうか?
    あと、少年課の佐々木刑事とか庄田刑事って以前何の作品に出てきてたっけ?というのが思い出せず、引っかかっている。なんだったかなあ。『小暮写真館』?現物がないので確かめようがない。

    • bokemaruさん
      vilureefさん
      宮部さんは最近、時代物を続けて書かれていて、それ自体は人情物語でとてもよくできていて大好きなのですが、時代物を多く書か...
      vilureefさん
      宮部さんは最近、時代物を続けて書かれていて、それ自体は人情物語でとてもよくできていて大好きなのですが、時代物を多く書かれるようになってから「ストーリーテラー」としての宮部みゆき色が薄れてきているような気がするんですよね。
      わかりません、以前宮部作品をよく読んでいたころより、私が他の方の作品もいろいろ読むようになったせいで、同じものも違った受け止め方をするようになったからかもしれません。

      宮部さんの時代物はどれもおススメですよ!
      『ぼんくら』シリーズとか三島屋シリーズなどシリーズものもありますし、違う作品でもちょこっと繋がっていたりして、あれこれ読むと、あら、ここにこんな人が出てる!なんて楽しみもあります。
      シリーズを意識せず読んでも楽しめると思います。

      個人的には、『孤宿の人』が時代物宮部作品の中では一番好きです。
      2013/04/15
    • vilureefさん
      おすすめありがとうございます♪
      『孤宿の人』って確か上下巻ですよね・・・。
      頑張って読んでみたいと思います。
      宮部さんの作品どれも長い...
      おすすめありがとうございます♪
      『孤宿の人』って確か上下巻ですよね・・・。
      頑張って読んでみたいと思います。
      宮部さんの作品どれも長いので勇気が要ります(^_^;)

      同じ作家さんを読み続けていると、読み手側にも慣れが出てくるのか前ほどの感激ができなくなってくる事ってありますよね。
      しばらく読まないでおこうと思いつつ、新刊が出たら読みたくなっちゃったり(笑)

      ソロモン第2部、私の中では盛り上がってきました!!
      続けて第3部読みたいですね~♪
      2013/04/16
    • bokemaruさん
      vilureefさん
      長編に限らず、『初ものがたり』『本所深川ふしぎ草紙』新しいところでは『あんじゅう』『ばんば憑き』などなど、短編もとても...
      vilureefさん
      長編に限らず、『初ものがたり』『本所深川ふしぎ草紙』新しいところでは『あんじゅう』『ばんば憑き』などなど、短編もとても良いので、よろしければお試しくださいね。
      2013/04/17
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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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