猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続

  • 新潮社 (2025年2月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784103750161

作品紹介・あらすじ

化け猫、河童、そして山姥――狂気に塗れた苦界を生き抜く女と、化生の者どもが織りなす怪奇譚。江戸は神田三島町にある三島屋の次男坊富次郎は、変わり百物語の二代目聞き手。飼い主の恨みを晴らす化け猫、命懸けで悪党壊滅に挑む河童、懺悔を泣き叫ぶ山姥が登場する客人の身の上話を聞いている。一方、兄・伊一郎の秘密の恋人が出奔。伊一郎の縁談を巡って、三島屋は大騒動に巻き込まれてしまう……。

みんなの感想まとめ

さまざまな人外の存在と人間の苦悩が交錯する物語が描かれています。三つの短編は、教訓や恐怖、優しさを織り交ぜながら、江戸時代の神田三島町を舞台に、化け猫や河童、山姥といったキャラクターたちが織りなす不思...

感想・レビュー・書評

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  • 子供の頃見てた『まんが日本昔ばなし』を思い出す3つの話でした。教訓があり、恐怖があり、優しさがあります。637ページがありなかなかの読み応え。

    猫の刻参り  猫の恩返しのメルヘンっぽい話と思いきや、人の怨みの話。前半は猫と人との交流で、1日のどこかに猫の刻というものがあるらしい。その猫の刻の時に月は可愛らしい形。その月が出てる時に猫の集会?がある。この辺ぐらいまでがメルヘンなんだけど、そのあとが辛くて人怖だ。おぶんという女性が辛い目にあい、酷く心が傷ついてしまった。昔仲良くなった猫のシマっこに恨みつらみを聞いてもらい、気が落ち着くのだけど、その後おぶんの心が変わっていく。優しいおぶんがどうなっちゃうの?と心配になってしまう。この話で最近読んだ、『本性』を思い出す。どん底にいる時に誰か1人でも傍にいてくれたら救われるんだろうな。おぶんにはそういう人、猫がいてくれたから良かったけど、サトウミサキはいなかったな…。傍に人がいれば、また違う人生だっただろうな…。なんて思いました。

    甲羅の伊達  村の池のヌシ様と村人たちが昔からの因縁と戦い、村を守る話。先ず私はヌシ様の正体に騙されました。鼈甲が出てきたからてっきり亀の話?と思ってたら、別の甲羅を背負っている者がヌシ様でした。よく考えれば分かるのに、ちょっと笑ってしまいました。この話を読んでると、コロナ禍初期の頃を思い出す。山の奥深い村で同じようなことが起きれば、そこまでやっちゃうのかな?それにしても酷い。矢一とヌシ様、あちらの世界で思う存分相撲を楽しんで下さい。

    百本包丁  母娘が命からがら逃げた先は、山の中にある不思議な御屋敷。そこで包丁人として働く。年季が明けるまで、山で迷った人たちに料理を作ってもてなす。無事年季が明けて村に帰れるのか…。母娘を脅かす花蝶という魔性の女がいるのだけど、彼女がすごく怖い。人なのか?妖なのか?怖すぎる。


    少し百物語に飽きを感じていたのだけど、富次郎の兄の伊一郎の色恋沙汰、三島屋の災厄、そしてアイツが登場、となかなか忙しくなってきた。これから三島屋、富次郎がどうなってしまうのかを見届けないといけない。

  • 三島屋変調百物語 第十弾。

    毎回新刊が出るのを心待ちにしている、お気に入りの当シリーズ。
    今回は三話構成(+「序」&「富次郎の話――命の取引き」)となっております。

    “変わり百物語”のパートは、各話安定の読み応えでその不可思議な物語の世界に、どっぷりと浸らせて頂きました。
    それぞれの話に登場する“人外”のモノ達も魅力的で、
    第一話(表題作)「猫の刻参り」で、死産に加えて姑と夫の因業な仕打ちに苦しむおぶんさんの為に、身体を張って報復をする猫神様の“シマっこ”。
    第二話「甲羅の伊達」で、非道な盗賊どもから村を救う為に奮闘する、相撲が大好きな河童の“三平太様”。
    第三話「百本包丁」で、魔性の女・花蝶が原因で巻き起こった村の火事から逃げてきた母子を山の神の〈御館〉へ導く山犬の“山桃”。
    ・・といった、人外(というか神)の方々と人間との交流と並行して人の業のおぞましさといった陰の部分の塩梅が絶妙で、毎度のことながらグイグイ読ませてくれますね~。

    特に第三話「百本包丁」は、話のヴォリュームもさることながら、前述の“山桃”や山の神の屋敷である〈御館〉を仕切る“御台様”のキャラも良かったですし、〈御館〉の“包丁人”となった母子が作るお料理の描写も美味しそう!
    そして、村を滅ぼすほどの毒婦・花蝶の色情っぷりや、山姥となってしまった女性の哀しみも含めて、凄みのあるストーリーで、個人的に好きでした(“迷い家”系の話、好みなんですよね~)。

    ・・と、「百物語」の方は満足だったのですが、三島屋を巡る状況がかなり不穏になってきているのが心配なところなんですよ。
    それにしても、伊一郎の縁談がもつれてのゴタゴタとはいえ、お相手の側にも原因があるのに、あまりに三島屋ばかり割を食いすぎていないですかね?
    てか、そもそも静香さんて“容姿が良い”以外よくわからん娘ですよね・・何だか第三話に出てきた魔性女・花蝶と重なる部分があるような気がするのは私だけ?
    さらにさらに、あの“闇の商人”まで登場して、かなりダークな展開で幕を閉じるという・・もう、ラストの富次郎の“取引”が辛すぎる・・。

    どうか、三島屋に平和と笑顔が戻ってきますように・・と願わずにはいられません!

  • 三島屋の家族の問題を背景に流しつつ、黒白の間では変わり百物語を開催。
    いつもといつもではない出来事と。
    おちかに代わって聞き手になった富次郎は話を聞くことで自分の人生の行き先を考えたり。
    跡取りの出来物で男前な伊一郎には困難な恋愛問題に一応の決着が。兄弟とても仲が良くて、それだけに二人のこれからの人生を思うととても切なくなる。
    今回は現実の三島屋の人々の激動がすごくて物語より印象に残った。もちろん黒白の間での3つの物語も不思議に満ちていて面白かった。
    不思議で怖くて、ホッと心温まった。
    ずっと読み続けたいシリーズ。

  • 出ていることを知らずわててに図書館に予約も…とても長い待ち。
    なのでめったにないこと購入しました。
    とても面白く、とても面白く‥‥
    また次のを待つのです。

  • シリーズ第10弾。とうとう二桁になって感慨深い。
    けれど今作は、三島屋に今まで語り手が語ってきた『変わり百物語』に負けずとも劣らない不吉な展開が訪れてしまって、なんとも後味の悪い読後感となってしまった。今回の百物語三話も一気に吹き飛んでしまった。

    「外側からは、満月のごとく欠けるところのない幸せを得ているように見える人たって、心の内底にはどんな傷を抱いているかわからない」

    三島屋に語り手がもたらす話は良い展開のものもあれば、遺恨の残るものもある。
    語り手の心の内底を真摯に受けとめてきた二代目聞き手・富次郎が、初代聞き手・おちかの時代から因縁深い謎の商人と交わした恐ろしい"取引き"。いつもはどこか頼りないお気楽で食通の富次郎なのに、これからどうなっていくのだろう。お勝がなんとかしてくれないものか。
    三島屋に降りかかった災難が次回以降どうなっていくのか、とても心配な幕引きとなった。

  • 宮部みゆき先生は最後に不幸をぶちかましますよね。
    杉村三郎シリーズもそうですよね、、
    気になって気になってしょうがないです。

  • 面白かった、変わり百物語は本当に面白かった。
    しかし、おまけの部分、三島屋の長男の話がイラついた(個人的に)
    ちょうど本作を読む直前に『二人の嘘』という非常に嫌いなタイプの
    恋愛小説を読んでイライラさせられた直後だったので、
    もう、ねぇ、欲情に流される”寂しい”が言い訳の人物とか、
    なんかもう、トロフィー伴侶取り合い合戦とか、
    イラッとしたわ。
    できの良いパーフェクトスパダリ設定の三島屋長男もあかんかんじ。
    まあ、ドラマ的にはこういうのがええのかもしれんが。
    どうにもこうにも、さっぱりシンパサイズしないうえに、
    単に嫌悪感しか起きない。
    なんなら花蝶のほうがまし(比較して)
    そんなんで、
    せっかくの面白い百物語の合間に伊一郎と静香に腹がたち、
    さらには最後の最後で後味悪さをぶちまけられて、
    なんともイヤな読了感となった。
    終わりよければ全てよし、なんていいますが
    終わり悪けりゃ全て台無しですな。
    ともかく、今回の題材は
    化け猫、河童、マヨイガ、
    全部そのまま脳内で動画になっていくようなヴィジュアルの良さ。
    また、さるかに合戦とかカチカチ山とか竹取物語を思わせるシーン
    百本包丁の食事の描写に腹減らされ、
    そして、山姥がターボババア(本体のほう)に脳内変換して
    とってもダンダダンダンダダンした
    個人的には百本包丁がいちばんおもろかった、山桃推せるわ。
    初代がうらやましい。

    富次郎が晩年の80-90の10年間が寝たきりでボケている
    という寿命予定であったことを祈って、読み終わった。

  • 濃かった一冊。

    語りはもちろん、三島屋を取り巻く事情も闇も濃かった。

    聞き手と絵師修行に邁進する富次郎を見守る三島屋のおとっつぁんの温かい眼差しの好スタートから妖怪と人間の心の絡み合いに包まれた黒白の間へ。

    相変わらず聞き上手の富次郎に、語り手の舌は滑らかに、読み手の心は温かい気持ちになれるのがいい。

    猫と女性の古来から忌みの縁を可愛さから怪奇へ仕立てた表題作といい三話どれも最後はホロリ。

    そしてこれからという時にどうして…。

    富次郎の性格ゆえの取り引きと覚悟にぞわぞわ感と涙が止まらない。

    やっぱり容赦ない、宮部さん。

  • 語り手の言葉が聞き手の人生に影響を与える。
    果たして富次郎を誘うのは、明か?暗か?
    そして三島屋の人々の運命は?
    ・序
    第一話 猫の刻参り・・・あの隠居所での多くの猫たちとの縁。
      婚家での艱難辛苦に耐え兼ねて、おぶんは猫神様のお宮で
      願う。「それなら、そいつらを懲らしめようか」
      だが、それと引き換えになるのは大切なものだった。
    第二話 甲羅の伊達・・・過去の悲劇がまたこの村を襲うのか?
      盗賊との因縁。悪しき縁。でも村外からの助けがある。
      そしてヌシの三平太様がいる!空前絶後の顛末へ。
      忘れる?忘れるものか。三平太様はみぎわと共にいるから。
    第三話 百本包丁・・・魔性の女を巡る火と狂気から逃げた親子は、
      異界の御館へ。住まうは御台様と山犬の山桃。回りの森には
      山姥が。母子は百本の包丁を使い終わるまで帰れぬ定めに。
      謎あれど穏やかな日々。だが妄執のあの女の首が初代を襲う。
    ・富次郎の話――命の取引き・・・長兄・伊一郎の恋が引き金と
      なり、三島屋を襲った大騒動は、大晦日の凶事と化す。
      富次郎の決断は、あの裸足の男に会うこと。その目的とは。
      
    悪しき縁に良き縁。苦界、現実と異界の不条理、
    避けられぬ理を乗り越えた女性たちの物語が心に響く。
    聞き手を務めて様々な運命の不思議さを知る富次郎だが、
    足元から崩れるような三島屋の騒動と凶事は青天の霹靂。
    蝦蟇仙人が言った、お金と名声だけでなくしばしば災難を
    引き寄せてしまうことが現実に?これは運命なのか?
    今後の三島屋の行く末が心配になってしまうラストでした。
    でも、変わり百物語はもちろん続くはず。
    まだ半分にも達していないもの。

  • 本の厚さにひるむが、やはり一気読み。話は3つに分かれているとは言え、先が気になってやめられない。
    三島屋シリーズは、聞き手が代替わりしてからも、面白さは変わらない。
    欲を言えば、おちか夫婦と孫にも、ちょっと登場して欲しかった。

  • 大好きなシリーズ。「猫の刻参り」、「甲羅の伊達」、「百本包丁」の三話。個人的には百本包丁の話が一番好き。それらとは別の所でラストに富次郎自身がこの世ならざる者と命のやり取りを。三島屋、富次郎はこれからどうなってしまうのか、そこも気になるところ。おちかが聞き手の頃は時にほっこりする話もあったが富次郎に変わってからは重たい話が多い気がする。

  • おー、なんというところで終わるのだ。
    最後がいちばんの百物語では?
    今回は全体的にちょっとお話が弱かったかなぁという印象。
    最後の百件包丁はとてもよかったし、1話と2話ももちろんよかったんだけど、期待値が高すぎたかなぁ。
    伊一郎の話に集約させる為に、あえて弱い物語だったのか?
    にしても伊一郎、それでいいのか?
    三島屋それでいいのか?
    だからこんなことになったのでは?と思ってしまった。
    とはいえ次回がやっぱり楽しみ。

  • 今回も人間の業が恐ろしい物語集。ほぼ長編が三編のボリューム、なのにスルスルと読み終えた。
    ところどころ入る挿絵も恐ろしいけれど美しく化け物(であって)も人間のような過去に涙をそそられる。
    第三話が終わっての、「富次郎の話」の急展開には息を呑む。
    まだまだ続きが気になるシリーズ。


  • 三島屋シリーズ10作目。600ページ以上の立派な鈍器本である。読み応えがあった。
    冒頭で、富次郎は絵を志すことを両親に打ち明け、絵師に弟子入りする。家業も手伝いながらなので、なかなかに大変そう。そして、百物語を聞いた後に描いている絵を、師匠に見せなくてはならない。内容をバラすわけにはいかないので、四苦八苦。がんばれ、富次郎!

    今回は3編収録。化け猫、河童、山犬が出てくる。まずは、猫。

    「猫の刻参り」
    ある事情で、生家を離れ暮らしていたおぶんは、言葉を話す猫達と知り合い、シマっこと名付けた猫と仲良くなる。シマっこは、猫神様の神子だった。その後に嫁いだ先で理不尽な目に遭い、姑と夫を懲らしめることを、シマっこに願う。猫神になったシマっこは、おぶんの願いを叶えるが、代償に死んでしまう。後悔するおぶん。
    これは、丑の刻参りみたいなもの?呪った本人ではなく、願いを叶えた猫が代償を負ってしまった。おぶんの姑と夫は、シマっこの呪いが解けた後は心を入れ替え、おぶんは幸せに暮らす。
    人を呪うな、という教訓のようにも読めるけど、生きていればいい事もあるよ、という励ましにも読める。おぶんとシマっこの別れの場面では、胸が締め付けられた。

    「甲羅の伊達」
    お次は、河童。語り手の爪吉が奉公するお店の大旦那の、昔話。大旦那が小僧だった頃、一緒に奉公していた、みぎわ、という少女がいた。そのみぎわの故郷、安良村での話だ。付近を荒らしまわっていた盗賊団の次の標的が、みぎわの故郷の村である事がわかった。お上は何もしてくれない。村を守るため、三代目村のヌシ、河童の三平太と共に、村人総出で戦いに備える。村に行商に通ってくる、生薬屋の清竹の協力もあり、安良村は創意工夫を凝らして盗賊団を迎え討つ。村人達と盗賊団の攻防は、文字通り手に汗握るシーンの連続だ。ちょっとワクワクしたほど。三平太は河童の妖術で最後を締め括るが、盗賊団の頭の執念によりみぎわの兄である矢一が死んでしまい、三平太も力を使い果たし、甲羅を残して消えてしまった。全てが終わった後にやっと来た代官所の役人は、村人が武器を取ったことを罪に問い、村長、みぎわの父、長老の六郎兵衛を捕らえて尋問する。村長は拷問を受けて死んでしまった。何という理不尽!!だいぶたってから代官本人が、三平太の言い伝えを聞いたことがあり、やっと信じてもらえて六郎兵衛とみぎわの父は放免される。代官といえば悪代官しか思い浮かべないけど、この代官はまともだった。出てくるのが遅過ぎるけど。後にみぎわは、大事に身につけていた甲羅のカケラで、爪吉と共に奉公していたお店の危機を救ったのだ。以来、そのカケラは、お店の家宝となる…。みぎわや矢一と、三平太の交流にはほのぼのできる。一方、江戸時代ならではの、庶民の立場の弱さも見せつけられ、暗澹たる思いにさせられる話でもあった。

    「百本包丁」
    最後は山犬。住んでいた村の大火事で山に逃げた際に、奇妙なお屋敷に迷い込んだ、松江と初代の母子。お屋敷には、山の神様である御台様(姿は見えない、声だけ)と、しゃべる山犬、山桃がいた。山で迷ってお屋敷に来る人の為に、料理をするのが松江と初代の勤め。包丁を百本使い潰すと、年季が明けてお屋敷から出られる。いやいや、百本て何年かかるんだか。でも、お屋敷にいる間は年を取らないという。この辺り、竜宮城みたい。
    山桃と御台様との暮らしは、忙しくも穏やかな日々。娯楽はないけど、衣食住が保証された、ある意味贅沢な暮らしだ。しかし!年季が明ける前に逃げ出すと、男は角と牙が生えた谺(こだま)という化け物に、女は山姥に成り果て、山の中を彷徨う。えええ…厳しい…。松江と初代は、2人いたから、里心も起きずに耐えられたのだろう。お屋敷での暮らしの中で、初代は、窓から見かけた山姥が何故か気になり、元の名前は、おはまさん、だと突き止める。窓から名を呼んでみたけど、怒らせてしまったようだ。そしてある日のこと。初代達の村で大火事を起こした張本人、当時殺されたはずの花蝶という女が物の怪と化して、生首だけになって松江を攫って行ってしまった。お屋敷には御台様の守護の呪文が効いてるけど、外のものに話しかけてしまうと、その存在を認め招いた事になってしまう。出くわした花蝶の生首に、松江は話しかけてしまったのだ。「千と千尋」のカオナシを思い出した人、多いのでは?
    山桃と初代は、松江を救いに行く。奪い返した松江を庇いながらの花蝶との攻防に山桃が苦戦し、初代が泣きながら「おっかあ!」と呼んだ時。なんと、山姥が助けに来た!初代達と同じように、火事に追われてお屋敷に来たおはまさんは、残してきた幼い娘の「はつよ」が心配なあまり、お屋敷を抜け出し、山姥になってしまった。そして、娘と同じ名の初代に名前を呼びかけられて、正気を取り戻し、初代達を助けにきてくれたのだ。花蝶の生首を握りつぶし(!)、初代の頭を撫でて、笑みを浮かべ、石になり砂になり、消えていった。このくだり、泣ける。おはまさん、かわいそう…。
    さらに年月がたち、松江と初代は晴れて年季が明ける。山桃と御台様の、あたたかいけどあっさりした別れを経て故郷に帰った2人は、おじさんになった初代の兄に再会し、実に30年もの月日がたっていた事を知る。包丁人を務めたご褒美として、村は火事から復興して繁栄し、松江も初代もお金に困ることはなかった。
    人死にはあったけど、この話がいちばん、読後感が良かったな〜。

    そして、一冊を通しての話。富次郎の兄、伊一郎は、恋愛のもつれから逆恨みした男に襲われ、生死の境を彷徨う。あの"商人"を呼び出した富次郎は、自分の寿命を10年差し出して、伊一郎の命をつないでもらう。
    伊一郎と相思相愛なのに、会えない期間に寂しくて番頭との子を妊娠してしまった静香さん。ちょっとちょっと、あんまりでは…。自分の子ではない子も一緒に、静香さんと生きていくと決心した伊一郎はできた人だけど、ホントにいいのかその人で、と思ってしまう。挙句、逆恨みした番頭に殺されかけ、知らぬ事とはいえ、弟の寿命を10年使わせてしまう。むむむ…。今回も頑張った富次郎。でも、頑張りすぎだよ…。

    今回、本の装画が今までと雰囲気が違うのだけど、わりと好き。挿絵も良い。ただ富次郎は…想像してたのとちょっと違うかな(笑)
    ここまで長々と読んでくれた方、ありがとう!

  • 間違いない作品。今回は百物語と言うより三島屋の内を描いた方がメイン。単に聞いての百物語と言うより三島屋の人々がより際立っている。聞いている方も人間、話す方も人間。しかも、時代は変われど親子の情は同じで、読み終えたあとも胸に残る作品だった。

  • 間違いのないこのシリーズ、聞き手が富次郎に代わってついに、おちかがほとんど出てこなくなりました。
    短編にあわせて、全編をとおしてに三島屋の騒動が描かれている。
    今回はもののけ3編。猫に河童に犬。
    そして、不穏な終わり方…そろそろこのシリーズもクライマックスを迎えるのか。次作にも期待。

  • 「大人版、御伽話健在」不思議で恐ろしくもあり、暖かい気持ちにもなれる。著書に関しては今まで以上に怖さや手に汗握る活劇など様々な要素が溢れてじっくり読んでしまう。

    ・猫の刻参り
    ・甲羅の伊達
    ・百本包丁

    三つの物語りそれぞれの話がメッセージを持っていて非常に読み応えがあった。
    個人的に「甲羅の伊達」の躍動感の強い冒険活劇何処かで、理不尽という言葉が出てくるが、必死に生きようとする人々の描写が素晴らしかった!アニメ化されると面白い!
     「百本包丁」では多くの感情が入り乱れしかし最後には人間臭さ、人として心に訴えてくる大きな絆を感じずにはいられない、それぞれの物語に堪能する。

    また著書では三島屋に降りかかる災いもクローズアップされる、変調百物語の初代聞き手であった「おちか」が抱える心の闇が著シリーズの盛り上げてきた、著書では二代目聞き手の富次郎にも闇が近づく、
    これからの展開に目が離せない。

  • 本屋さんで新刊を見つけたその場で図書館にリクエストしたけれど、待つこと半年。大人気のシリーズ。それにしても“猫”は偉大だし、ひとの気持ちはままならず、知らぬ間に買ってしまった妬みや怨みは恐ろしいし、隠しごとはいずれ露見する。
    次作では三島屋にまたまた変化の予感。

  •  三島屋変調百物語シリーズ10冊目。
    1、猫の刻参り 130p
    2、甲羅の伊達 210p
    3、百本包丁  270p

     猫の刻参りには猫神様が、甲羅の伊達には河童が、百本包丁には《山桃》という名前の大きな山犬が出てきました。犬好きなので、山桃に会いたくなっちゃいました。

     三島屋さんにも大きな事件が起きて、、、次巻が気になり過ぎる。百本包丁の絵(看板)はどう仕上げたんだろうか?

     今回の装画・挿画はこよりさん。
    とても繊細で素敵な絵の数々でした。

     宮部さんの本は内容がギッチリ詰まってるので時間がかかりましたが、楽しい時間でした。

  • 人の心を語らせたらやっぱり凄い宮部さん。
    今回も興味深かったです。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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