陋巷に在り 12(聖の巻)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103751151

感想・レビュー・書評

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  • 前回の11巻が中途半端な終わり方なので、続きを急ぎ読みたくなる12巻目です。今回は聖の巻ということでいつものことながら、白川静の「字統」からの引用では、聖は、祝禱して祈り、耳をすませて神の応答するところを聴くことを示す・・・とあります。そういうわけですから、孔子の故郷であるところの尼丘の滅亡という事態を受けて招かれた子蓉、そして彼女の今際に間に合った顔回たちに、尼山の神は何を告げたのでしょうか・・・壮絶な戦闘が繰り広げられた壊滅状態の尼丘にあって、その戦さの幕引きのために招かれたような顔回ですが、久々の登場にやはり孔子の後継者と目されていた顔回パワーが全開します。山場は何と言っても、今際の子蓉とのラブシーンです。彼女を逝かせた後、彼は全く別人のように怒りで荒れ狂います。これまでの顔回には考えられないような行動だけに彼の深い悲しみが胸に響きます。そして、予想だにしなかった故郷の壊滅という現実を目にした孔子の落胆は心身共に大きいものでした。その裏には行き詰った国の政治改革を急激に推し進めようとした手法が原因となっていたのでした。改革の拠点となる城の取り壊しを巡り、孔子側に立つ武将とあくまで抵抗する側の武将の両者が、戦さの是非を問うシーンでのやりとりも見ものでした。大局に立った政治改革のあり方は何やら、現代の日本の政治の成り行きに通じていて考えさせられるところがありました。
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