ハワイイ紀行

著者 : 池澤夏樹
  • 新潮社 (1996年8月発売)
3.70
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  • 本棚登録 :49
  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103753049

ハワイイ紀行の感想・レビュー・書評

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  • さすがに池澤夏樹が書くだけあって、ひと味もふた味も違うハワイ紀行である。そもそも、この作品、紀行というよりも、ハワイの光と影とか、先住民の再生の物語とか名付けた方がしっくりする。

    だからと言って、重苦しいものでもなくハワイの魅力もしっかり伝えているのが、さすが。

    いづれにしても、まだ行ったことがないのでいずれは行きたい。ゆっくりと時間を十分取って行きたい。

  • この「ハワイイ紀行」は、これまでに読んだハワイ関係の本の中で、一番量が多いと思います。…なので、「ようやく読み終えた」っていう表現になりました。

    この本は、もともとはハワイ諸島の各島を巡り、そこの自然や人とのふれあい、ネイティブのハワイイ人だけでなく、例えば移民であった日系人のことなど、いろいろなことを書こうと企画されたようです。しかし、実際は先住ハワイイ人の固有の文化に惹きつけられ、そのことが中心になったようです。
    だから内容的には、「反省文」と同じところに視点がおかれていといえます。
    「反省文」を読んだ感想にも書きましたが、ボクも同じように、いわゆる“ハワイイ”の固有性に関心をもっていて、そこにハワイの魅力を感じています。
    “ハワイイ”の固有性というのは、ハワイの自然と大きく関係があると思います。したがって、この「ハワイイ紀行」も「反省文」も、ハワイの自然にも触れています。

    「ハワイイ紀行」と「反省文」は、同じようなテーマをもって書かれています。
    でも、いくつかの点で異なるし、その違いも含めて、両方とも魅力的な本です。

    「ハワイイ紀行」の作者池澤夏樹さんは、他の本を読んだことはありませんが、文筆を生業とされる方です。なので、本を書くにあたっては、ものすごく研究されています。莫大な情報量をもって取材されていることが、文章から読み取れます。一方、「反省文」の著者は女優が本業(主婦が本業?)なので、どちらかというと体験そのものが文章になります。
    したがって「反省文」は、知らなかったことを知ったということをエネルギーに書かれているような気もします。「ハワイイ紀行」の方は、様々な背景や情報をもった上で生じてくる疑問を、当事者にぶつけていくという感じですし、また例えば誰かにあって見学させてもらうといった、ひとつのトピックスを紹介するにあたっても、その人の背景や、同じようなことをしている人の紹介、さらに見学の対象となるものについての事前説明などが詳細に説明されます。(…なので、なかなか本題に行かない。笑)
    詳細に説明されるだけ、ハワイというかハワイイを知るのに適した本だといえます。

    「反省文」の山口さんも、よく研究されています。しかし、やはり文筆を本業にしている池澤さんの方が情報量が多いわけですが、そのことは歴史的認識や地政学的認識という面でも現れてきます。「反省文」の方でも歴史についての説明が加わりますが、それはあくまでも現在からみた過去です。これに対して「ハワイイ紀行」で書かれている歴史は、その時代にさかのぼって、そのときの視点で書かれているように思います。
    また「ハワイイ紀行」の池澤さんは、自身が沖縄に在住していること、ヨットの操縦経験があること、学生時代に工学を専門にしたことがある…といったように、自身の経験と、書いている主題がリンクしていることも特徴といえます。このことは、初体験であるサーフィンについての描写からも読み取れます。初めてサーフィンをするという「経験」を描き、そこからサーフィンの歴史を読み解いていったり、サーファーとのふれあいを紹介していきます。そのときにサーフィンを体験したということについての自身の分析が生かされています。
    「反省文」の方は、テーマに対して体験的ではあるのですが、それは自身の体験とのリンクではなく、まさに今体験していることの紹介なのです。
    生々しさでいうと「反省文」の方が勝り、深さという面でみると「ハワイイ紀行」の方が勝るという感じです。

    この「ハワイイ紀行」は、情報量が多いと書きましたが、それは例えば、ハワイという島々になぜ人が住むようになったのか、もっと大陸に近くて同じぐらいの大きさの島でも人が住んでいない(いなかった)場合もあるのに…。ということについての疑問が出され、位置関係や距離、いろんな島の人が定住するまでの過程が説明されます。
    その上で、ハワイに移り住んだ人たちの行程が説明され、実際にそのことが実証されたカヌーでハワイからポリネシアの渡海へと話が移っていきます。
    今日、ハワイ文化の復興への取り組みが定着化していますが、そのことに拍車をかけることになったのが、このカヌーによる渡海実験でした。そのことについても、詳しく説明がなされています。

    ボクが読んだハワイイ紀行は、文庫版の「ハワイイ紀行 完全版」という本です。
    この文庫版と、最初の単行本には、大きな違いが2つあります。
    ひとつは全頁の下段に、スペースが設けられ、そこに注釈が加わったことです。この注釈もまた、この本の情報量の多さに一役買っていますが、さらに情報量が多いので、この注釈がハイパーリンクのように関連する情報に繋がるようになっています。
    もうひとつの違いはあらたに2つ章が加わったことです。
    ひとつはミッドウェー諸島の紀行文です。このハワイイ紀行では、どのようにしてハワイ諸島が生まれたのかについても詳しく説明されています。ホットスポットから地球内部の溶岩があふれ出し、それが島となる。その島はプレートにのってどんどんと北西に移動していく。一番新しいハワイ島から、順に古い島となり、ミッドウェー諸島の方に移っていく。ミッドウェー諸島の先にもいくつかの島があるようですが、その後、海に没していく。その先は天皇海山列となるわけですが…。
    そういう地球の流れの中で、ミッドウェー諸島もハワイの一部と捉え、この本の中に収められたということです。

    もうひとつは、ハワイ島の「すばる天文台」の話です。
    ハワイ島にある「すばる天文台」は、日本が誇る世界最大の反射鏡を有する天体観測施設ですが、それができて間もない頃に、所長さんからの招待を受け、見学に行く話が描かれています。
    工学的視点からも含め、このすばる天文台のことが説明されていきますが、すばる天文台によって発見される宇宙からみた、今日の人類がいかにちっぽけなものか…ということに触れて、この本は締めくくられます。
    ハワイイ文化から学ぶことができる、今日の人類(人間社会)のあり方というのが、この「ハワイイ紀行」でも「反省文」でも主題になっているように思うのですが、さらに視点を広げて(宇宙規模にまで)、今日の人類(人間社会)を省みる…というのは、突飛なようで、一貫しているように思います。


    別の記事でも書きましたが、ボクはハワイが好きです。
    この本を読んで、もっとハワイが好きになったというのはありきたりですが、自分の好きなハワイをより深く知るためには適した本だと思いました。

  • ハワイ行きたい。本場のフラを見てダイビングもしたい、と思っていたが、この本を読んで行きたい場所がすごく増えてしまった。安いツアーじゃ時間が足りない。島の成り立ち、気象、植生から歴史、カヌーとスターナビゲーションによる航海の復活、ウィンドサーフィンなどなど。「マシアス・ギリの失脚」を思い出す。図書館で借りて読んだが、これは買う。しかも文庫版は2章加筆で「完全版」だって?! 2009/1/23 読了。

  • [12][08.07.10]<県

  • オアフ島だけがハワイじゃない。ホノルルだけがハワイじゃない。ハワイ島、マウイ島、カウアイ島...Neighbor Islandも魅力的。だけど、Neighbor Islandのいいガイドブックってないですね。どこの本屋でも売ってるのは、「地球の歩き方リゾート ハワイの島シリーズ」くらい。
    本書「ハワイイ紀行」は、ホノルルの通俗リゾートは一味違う Neighbor Island の魅力が満載です。何度呼んでも、いろいろと発見があるし、文庫版も出版されたことで、ガイドブックとしても使えそう。Tomotubbyもハワイ島に持って行って、再読しようと思ってます。

    その他のお薦めガイドブック:-
    近藤純夫 著「ハワイ・ブック 知られざる火の島を歩く」(平凡社)
    Andrew Doughty & Harriett Friedman 著
    「Hawaii The Big Island Revealed The Ultimate Guidebook; 3rd Edition」
    「The Ultimate Kauai Guidebook Kauai Revealed; 4th Edition」
    「Maui Revealed The Ultimate Guidebook; 2nd Edition」(Wizard Publications, Inc.)
    Wizard Publications, Inc.のホームページ:www.wizardpub.com

  • ハワイの歴史から自然から現代の問題から何から何まで、問題提起されていて、なかなか読み応えがある一作です。
    池澤夏樹の視点から見たハワイイはどんなものなのか、単純に興味をそそられて読んでみただけなのですが、かなり引き込まれてしまいます。

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