君はこの国を好きか

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103780038

感想・レビュー・書評

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  • 1998年3月5日読了。

  • 日本文学の授業で、『GO』を扱った時のことだ。
    「大学のときに付き合っていた女性が、在日3世だった。そのことを知って、僕にはどうしてあげられることもできなくて、ただ寄り添うしかなかった。今でも僕は、この作品を客観的に見つめて、適切な距離をおいて分析することができない。」
    そう、年若く聡明なその教師は語った。
    読み進めながら、その言葉を思い出していた。
    彼女は、今の社会をどう綴ってくれたのだろう。
    才能と力でぐいぐいと書き進めた彼女が、技巧と冷静さを身につけた姿を見ることは、決してない。

  • なんというかまたこんな世界があるんだなぁと思った。
    日本人は日本を出ない限り自分の国を意識することがない。
    日本ってどんな国?って聞かれても答えられない。

    それでもそれでも
    私はこの国を好きだ。この国に生まれてよかった。
    心の底から言える。

  • やや前の本ですが韓国留学しようかなーと思っている人にはとりあえずお薦めです。短編が2作収録されていて、表題作のほうは、在日コリアンの女の子が韓国留学体験を通して、自分のアイデンティティに向かい合う気持ちの変化をデリケートに優しく描いている。時には、「まったくこの国はどうしようもねえ!」とキイーとなって家中のものを破壊しながらも他国人に「この国」を安易にラベリングされると、ちがうと思う。かといって自分にとっての韓国文化は、生まれた時から取り巻かれている日本文化の中に、わずかな習慣と直感として散在しているだけで線として繋がらない。なにより一体自分はどっちの人なんだろうか、という揺れは、当人でないと計り知れないものがあると思うし、しんどくても自分で納得できる心の居場所を見つけなくてはならない。その辺の暗中模索のもどかしさや、(欠点の超多い)「この国」を屈託無く受け入れて愛せたらどんなにいいだろうかという忸怩たる思いなどがないまぜになり、精神的にまだ成長期の主人公の心境をより複雑にし、ちょっと壊れかかる。

    一番最後のシーン。ボーイフレンドに「あんた、この国を好きやった?」と聞かれる。「雅美は驚いてはじかれたように鐘煕の顔を見た。鐘煕もじっと雅美を見ている。腹の底から、なんとも形容しがたいような感情が湧き出て、それは身体のすみずみを通って最後には手先足先にまで拡がった。雅美のくちから息が洩れた。腹の中ではまだ細かな粒子みたいなものがピョンピョンと駆けまわっていて、身体の内側がなんだかこそばゆい。そのこそばゆさを全身に感じながら、どんなふうに、どんなことばを使って答えようかと、雅美はずっと考え続けていた」。

    ここは上手いと思った。まずはハッピーエンド。腫れ物に触るようにして読まれるタイプの「在日本」ではまったくなく、柔軟で強くて明るい場所を志向している本でした。著者の本はこれしか読んでいないけれど、とても真面目で率直で知的で優しくて、わがままとか言わなさそーなお人柄というのが後講釈ですがちょいと痛々しくもあった。

  • 在日韓国人三世がもう一つの自分の国、韓国を知ろうとする話。
    実はこの本は難しくて一回しか読んでいないのですが、
    一つのエピソードで主人公が
    自分はどんなに頑張っても日本人なのだと痛感するのですが
    私も読んでいて同じような衝撃を受け、鳥肌が立ったことを覚えています。
    本当に人間って深くて脆いんですね…

  • いろいろぐるぐる考えて、胸が熱くなってくる本。<BR>
    本人も「終わらぬ宿題を目の前にしながらもがいていた五年間」<BR>
    と言っているけれど、この本は本当に本当に思い入れの強い作品なんだろうと思う。

  • この人のお話は本当に一人の人生の中に飛び込んでいくなあ… 実際に私の周りには在日の子が何人もいるのでどうしても身近に感じざるをえない

  • 在日韓国三世でありながら韓国語を知らない主人公が、祖国・韓国を受け入れる、ある種の自分探しの旅。

  • 人は人なのです それを考えてほしい

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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