空海

  • 新潮社 (2015年9月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784103784081

作品紹介・あらすじ

空海は二人いた。民間信仰に息づく弘法大師を含めると、つまりは三人か。劇場型宗教リーダーとして、国土経営のブルドーザーとして生き、死しては民間信仰の柱として日本人の心を捉えてやまぬ男。わが国の形而上学の基礎を築いたのみか、治水事業の指揮まで執った千二百年前のカリスマ。一人の人間にそれを可能にしたのは一体何だったのか――。空海の足跡を髙村薫がカメラ片手に辿る思索ドキュメント。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

深い宗教的探求と歴史的背景を通じて、空海という人物の多面的な姿を描き出す本作は、読者に新たな視点を提供します。著者は空海の足跡を辿りながら、彼がいかにして日本の形而上学や民間信仰に影響を与えたのかを考...

感想・レビュー・書評

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  • 実は高野山には行ったことがないのだが、これを読むと行かずには済まなくなってしまう。
    密教は身体体験を踏み台にして信心へと跳躍するものだということは、トライアスロンとも相性がよいかもしれない。

  • 文学者司馬遼太郎の空海本も、空海の伝記を書いているようで、実は司馬空海論を展開していたのだが、文学者高村薫の空海本も、評伝のようでいて、実は「新リア王」と同じように、宗教と現代との関係を問うものだった。

    阪神大震災以降、著者は宗教に近づいた。知識が邪魔しているのか、まだ何処かの宗教に帰依している様子は見られないが、その理解度は、私如きの浅知恵では及ばない深さまで行っているのは明らか。その深さから見えてくる「現代」が裏テーマである。

    よって、この評伝が東日本大震災の被災地から始まり、元オウム真理教信者へのインタビュー、ハンセン病療養施設で終わるのは必然である。特に空海とオウム信者との違いに言及して、その隔たりが、幾つかの決定的な点はあるものの、大きく離れていないことを書いていたのは重要である。

    宗教とテロは、いつかこの作家のメインテーマになりそうな気がする。

    2015年9月の刊行であるが、読了が今頃になってしまった。図書館に予約して、順番がくるまでナント1年近くかかったからである。とまれ、知識人高村薫に対する根強い人気は、衰えていないということだろう。(因みに、このように書いてAmazonやブクログの書評サイトに載せると、時々ネットから図書館利用のことを書くと本を売る邪魔をするので書かない方がいいですよ、と親切まがいの「助言」を頂くことがある。私はそういう助言は日本人の「根深い業」であり、「罪」だし、やめるべきだと思っている。もし書評サイトから警告が来たならば、私はそれに従う用意がある。しかし一度もそんなものは来たことがない。第三者がいかにも当事者のことを「忖度」しているかのようにして匿名で意見してくる。生活保護受給者を役人の代わりに意見したりするのと同じで、貴方の意見は当事者には迷惑でしかなし、ひいては日本をダメにしている、と言いたい。Amazonならば、本書に関係ないことをダラダラ書くと、そのことで掲載不可になりそうなので、付け足しておくと、本書は、空海評伝を書いているようで、裏のテーマは、実は宗教と日本人の土着精神との関係である。よって、私の「忖度」批判は本書と決して無関係ではないと信じている)

  • 高野山が好きなのに、空海の事についてほとんど知らないのに気付く。

  • 高村薫による空海を巡る旅。小説家としての高村薫ファンには肩透かしかも。ただ、巻末にある著者の空海像のストイックさに、高村節の密かなロマンチシズムの漂うのが、せめてものファンサービスか。

    時代的・地理的に空海の周辺も押さえてて、素人にも入りやすい構成になってる。平安時代の遣唐使や真言宗の成立事情、高野山観光に四国遍路とハンセン氏病、オウム真理教との絡みなど。

    ちなみに四国遍路の凄さは、世界遺産のサンチャゴ・デ・コンポステラの巡礼路・巡礼者数との比較で実感しやすかった。また、空海の時代から鎌倉六宗の成立まで、実に300年以上あったことに改めて気づかされた(この辺り、十把一絡げだったので…)。

    「高野聖」って、ただの偉いお坊様じゃなかったのね!でも、泉鏡花の「高野聖」からは、高野聖=真言宗の勧進僧ってのは全く読み取れないよなあ。

  • オームが行っていたヨガや瞑想の身体技法は、修験道や空海以来の日本密教のそれに通じるものである。
    密教の身体体験とω真理教のそれにどの程度共通点があるのか、どこがどう違うのか、
    変性意識状態になりやすい生来の体質とヨガの特殊な呼吸法が合わさることによって、比較的簡単に神秘体験を得た、
    高知県室戸崎で、明星来影す、の圧倒的体験をした若き空海と、オーム信者たちの違いは、自分の体験を言語化し、それをもって衆生救済せんとする宗教者としての強固な意志の有無だけだと言える。
    この世の宗教は、ほぼ全て、夢のお告げ、数々の秘跡、憑依、心霊現象、予言など豊富な身体体験を下敷きにして誕生した。空海の持つ並外れた宗教的オーラを、

  • 図書館で予約して半年くらい待った。
    てっきり小説だと思い込んでいたのでビックリした。とてもわかりやすく書かれていたのでよかった。

    名越康文先生が真言密教に強く関心を持たれていて、講座で空海の話もよくされたのだが、こちらの知識がほとんどないので、理解がおぼつかないことが多かった。この本を読んで、少し深まった。

    もっと、関心があったなら、他の本も読んで、理解を深めればいいものをそこまでの気にはなれない。そもそもどちらかというと、浄土宗、浄土真宗の方が身近なので、そちらの勉強をしたいくらいだ。

    高村薫さんが書いてくださったので、空海についての本を読んだわけだから、ありがたいことであった。


    メモ

    「菩提心を因とし、大悲を根とし、方便を究竟とす」
    大日経に示された大乗仏教のエッセンスの一つ。仏の悟りを得ようとする心を起こし、他人の苦しみや悲しみを自分のものとして寄り添い、苦しんでいる人を救う方法を実践することが究極の目標であるとする教え。16ページ


    「秘密曼荼羅十住心論」
    「秘蔵宝鑰」


    「一切衆生悉有仏性」
    生きとし生けるものすべてに仏性がある、の意。75ページ

  • 空海に興味があったけど、空海という人物に興味があったんだ!
    高野山、言ってみたい

  • 2024.11.08読了

  • 高村薫が描く空海の姿。
    論理的な高村が、密教という宗教的領域に迫る。
    774年に生まれた空海は、804年 三十歳の時に、遣唐使で唐に渡るが、船は暴風雨で南に南に流された。
    漂流してようやく流れ着いたのは福州赤岸鎮だった。
    その赤岸鎮が現在の寧徳(ニンダ)だと知って驚いた。
    仕事で何度も行った土地だったからだ。
    寧徳は、若き習近平が知事を務めてた土地。
    そして、何よりもリチウム•イオン•パテリーで世界を制しているATLとそのスピンオフのCATLを生み出した土地。
    その寧徳(ニンダ)に、空海は上陸し、紆余曲折を経て長安に至たり、遂には、最先端の仏教思想を丸ごと日本に持ち帰った。
    空海が益々身近に感じるようになった。

  • エンタメの作家でもドキュメンタリーがうまい作家はいる。高村薫もその部類に加えていいとは思う。しかしながら仏教に対しての理解がどうも物足りない。というのか僧侶の話を真に受けすぎている、と思えて残念に感じた。

  • 4.5

  • 高村薫の小説は読んだことがないけれど、とても文章の達者な人だという印象があり、それを味わうつもりで本書を選んだ。
    空海に関する本は何冊か読んだけれど、本書の良いところは、文章以外にカラー写真が満載なこと。
    ただ、作者がけっこう空海に感情移入しているので時々ついていけなくなることがあった。

  • 過度に賛美することなく、空海を描いている。
    文献や現地調査など、バランスよく取材されている。
    空海がいかに自身の体験に確信を持っていたか、よく分かった。真言密教は、メジャーな宗派ではない。しかし、高野山、お遍路、お大師さま信仰と、さまざまな形で、僧・空海が日本に息づいている。

  • 読みにくい。
    私情の文章も多く、著者の感想文や紀行記の中に史実が書かれている感じ。

    空海について、それなりに学んだ人向けなのかしら…

  • 雑誌の連載をまとめてあるような感じの内容。

    ・オウム真理教
    ・らい病患者と法華経との教理的な
    関係
    ・東日本大震災
    ・四国巡礼

    など、わりと今日的なテーマから真言宗をかたろうとする試みでした。ただ雑誌の連載という性質上、やや総花的で深みはない感じではあります。

     この連載が、高村先生の今後の作品にどのように影響するか、そのほうが楽しみかもしれません。

     空海が真言宗の教理を完成させてしまったため、天台宗のように後代の僧侶による発展はなかった、というお話は印象的でした。

  • 小説と勘違いして手にしたが、取材に基づくドキュメント。「曼荼羅の人」で、遣唐使として中国へ渡ったストーリーを、以前に読んでいたが、日本に帰ってから、また亡くなってからのストーリーが興味深かった。

    また、才能と存在感が抜きん出ていたことは間違いなく、一介の日本僧でありながら、青龍寺で恵果から正統の密教のすべてを伝授されたこと、その死後には真言密教が空洞化したことからも伺えるという。それがゆえに、あまり他の影響を受けずに、純粋なまま現代まで真言宗が残っているとも。

    取材を終えた筆者は、タイムマシンがあったら、そんな空海に会いたいという。納得できる結びの一文だった。

  • 空海が弘法大師と同一人物だったことを初めて知るぐらいの仏教音痴。高野山も長らく荒廃していた時期もあったのですね。いろいろと勉強になりました。

  • 相変わらず「空海」=「高野山」ブームは続いているわけで。
    専門家により小難しく解釈されたものと違って、やはり一流の作家が解釈すると説明も平易になってわかりやすい。実際に自分の足と目で体験したことから書き起こされているからなおさら説得力がある。

    こうなるとやはり行かないわけにはいかないわけで。。。さて、どうしてものか。笑

  • 小説ではなく、資料に基づいて空海=弘法大師の足跡をまとめた本

  • 小説かと思って読んだら違ったのでガッカリしました。

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著者プロフィール

(たかむら・かおる)作家。『銃を置け、戦争を終わらせよう』(毎日新聞出版)、最近著『墳墓記』(新潮社)、『我らが少女A』(毎日文庫)など。

「2025年 『核と原子力の非人間性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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