センチメンタルな旅・冬の旅

  • 新潮社
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レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103800019

作品紹介・あらすじ

これは愛の讃歌であり、愛の鎮魂歌である。新婚旅行での"愛"を記録、私家版『センタメンタルな旅』から21枚。妻の死の軌跡を凝視する私小説的写真日記『冬の旅』91枚。既成の写真世界を超えて語りかける生と死のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 昨日見て、泣いた。
    もう一度今日見て、泣いた。

    棺桶の中の陽子さん。荼毘にふされた陽子さん。
    この姿を撮ってリリースしたことに対して、道徳的にも倫理的におかしいと思う人はいただろうし、これからもいるだろうと思います。

    でも、これは、これでよいのだと思う。
    なぜなら、それまでの荒木さんの写真集の中の陽子さんは
    美しいだけではなく、食欲睡眠欲性欲を自然に放出していたのだから。自分という人間のAtoZをまとめた旦那さんに感謝していると思う。
    きっと陽子さんは天国で、リリースしたことに対して最大の称賛賛美をしているだろうと思います。

    どんな人にとっても平等にやってくる死。
    一緒にいるだけで、それだけでうれしく幸せなのだということを
    愛する人が生きている間に実感出来なきゃ。

    経絡をつくように刺激し背中を押す写真集でした。

    最近、フィルムを暗室で現像プリントする機会がありました。
    暗がりの中で段々像を表す。
    荒木さんがこの写真たちをプリントしている時、どんな気持ちで像が浮き上がるのを待っていたんだろうなとふと思いました。

    キャプションがとてもよかったです。
    写真と言葉は相関関係だな。

  • 立ち読みで読みました。何度か立ち読みで読んでます。
    たぶん、これからも立ち読みで読むと思います。

    とてもじゃないけど、手元に置いておけないです。
    軽い気持ちでパラパラできないです。だからといって、正面から向きあって読むこともできないです。
    そういう本がときどきあります。僕にとって、この写真集はそういう付き合い方をしている、はじめての一冊です。

    感傷的だけでは済まないものがたくさん写っているように思うのです。
    気軽に人に勧められないですが、この写真集を立ち読みする人とは仲良くなれるような気がします。

  • 荒木経惟が篠山紀信と対談し、案の定うまく行かなかったという話を何かで読みました。
    私生活を撮る荒木と、徹底的に商業主義の篠山、対立するのは避けられないことなのだと。

    この本の冒頭で、荒木が書いている言葉が彼の写真に対する信念を強くあらわしており、私も写真を撮る側としてとても共感できるものでした。
    具体的な文章は思い出せない。私の言葉で書く気はしないのでそこは読んで欲しいところですが。

    この写真集をめくりながら、不覚にも涙が浮かんできました。
    月並みな言い方ですが、彼の妻に対する愛に心が打たれたのです。
    それも、美しく残されているとか…ドラマチックに描かれているわけではない。
    私がとても胸をしめつけられたのは、前半、「センチメンタルな旅」の裸の妻の姿。ポージングしているものもあるけれど、一枚、これは明らかにセックスの最中に撮っただろうなというものがありました。決して顔が美しくはない。

    なんでそういう写真を撮るのか?
    それはきっと、写真を撮る人間にしかわからないのだと思う。
    偉そうには言えないけど私は少し、わかります。
    愛している人がもっとも快感を得ている瞬間を撮る気持ちだとか、
    本当に本当に大切な人がもう死んでしまう、あるいは死んでしまった、
    そんな時に、何をのんきに写真を撮るか?何をのんきに風景を撮るか?
    ということを思う人がいるかもしれないけれど…
    撮らずにはいられない。
    自分にとって撮ることは生きることであり、
    最愛の人の死すらはっきり言って「ネタ」にしてしまっていることに一種の苦しみがなくはないのだと思う、それでも、最愛の人だからどうしても自分が自分の手で残さなくてはいけないのだ、と…

    まぁ勝手な想像ですが、私にはそう見えます。
    そしてどちらかといえば、篠山より荒木の姿勢で写真を撮り、
    あるいは文章を書き続けています。

  • 何度見返してもこころが揺すぶられ、涙があふれる写情。
    カメラという媒体を透して克明につたわる、「見る(見られる)こと」、「撮る(撮られる)こと」の意味。封じ込まれるあらゆる感情。あまりにも多くのエッセンスが詰まっていて、なにも言い表せない。
    出会って以来、最も好きな写真集。

  • これは愛の讃歌であり、愛の鎮魂歌である。新婚旅行での“愛”を記録、私家版『センタメンタルな旅』から21枚。妻の死の軌跡を凝視する私小説的写真日記『冬の旅』91枚。既成の写真世界を超えて語りかける生と死のドラマ。(e-honより)

  • 我が家のメンバーは「リトル・モンスター」なので、マザー・モンスター(ガガ様)が好きな本に揚げているアラーキーさんのこの本を手にしてみました。

    ガガ様自身が荒木さんにヌード写真を撮らせているし、左肩にその記念のタトゥーを入れているくらいだからね。

    確かに生肉ドレスを着ていた頃のガガ様が好きそうな世界観。
    尖がっていびつなエロスを押し出しているようでいて、実はこれがリアルな純愛なのかな?…って感じ。

    前半は奥さんとの新婚旅行のときの写真(柳川?)で後半は奥さんが悪性の子宮肉腫となり灰になるまでの写真でした。

    若くして子宮肉腫でなくなった奥さん、結婚式のときの写真よりも遺影のほうが別人かと思うほど美しいのが不思議。

    ヌード写真家と一緒になって、裸を撮られることは許容していただろうけれど、死に化粧をした姿や焼き立ての骨まで撮影されて、出版されるとは思っていたのでしょうか。

    自分が先に死んだら、この人だったらやるだろうな…って思っていたでしょうね。
    これがアラーキーさんの愛の形なのでしょう。

    モノクロな分、見る人がいろんなディテールを勝手に脳内で補えて、自分流に解釈する余地が多くあるから、見た目以上に奥が深い作品かな…と思いました。

    まぁ、いろいろ告発されてるおじさんだし、好みもあるから評価は人それぞれですよね。

  • 六本木の個展当初予定されていた最終日雨だったし寸前まで行くか迷ったのですが見に行ったよ(^-^)ほんとに良かったです

  • こんなすごい写真集他にあるか?
    アラーキー、すごい。
    本当に、すごい。

  • 結婚直前に読むと泣ける。

    これを撮っておいて、さらに出版するなんてすごい。

    フィルムならではの日付プリントとモノローグが時間の流れを表していて良い。

  • 静岡市内の写真店「Ohno Camera Works」さんで読ませて頂きました。
    うろ覚えですが、書きたいと思います。

    妻・荒木陽子さんが亡くなる写真集だと認識してましたが、
    ページをめくるたび、何も出来ないことが、こんなに悔しくなるものかと痛感しました。本当に切なく悲しくなりました。
    そして、写真の横にアラーキーさんの嘆きにも似た言葉(私小説)があるのが、さらに胸に突き刺さりました。

    表紙をめくって、見返しに、手書きで書き殴った「私写真家宣言」が載ってます。
    これは幻の写真集『センチメンタルな旅』からものらしいです。
    前半はその『センチメンタルな旅』からセレクトされた写真(新婚写真)らしいです。
    その後に「冬の旅」として、陽子さんとの最後のツーショットから亡くなりお葬式が終わるまでの写真。

    陽子さん自体は、ほとんど写っていません。
    愛猫チロと、病院までに会ったと思われる女の子の看板(表紙)

    モノクロ写真なので、チロがより一層と寂しげな姿に見えました。
    そして、女の子の看板が切ない。
    特に陽子さんが亡くなった後に撮った夜の看板は切な過ぎる。
    詳しく存じ上げませんが、お子様がいらっしゃらないのかな。

    陽子さんへの尊い愛が伝わってきました。
    「写真集を観る」と言うより、まさに「私小説」を読む。
    ぜひ、手元に置いておきたい作品です。

    アラーキーさん、貴方が陽子さんを愛したように、
    僕も大切な女(ひと)を、一生愛します。ありがとうございます。

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