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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784103814054
みんなの感想まとめ
家族の葛藤や介護の現実を赤裸々に描いた作品は、私小説家が自身の父の認知症と向き合う過程を通じて、深い感情の波を伝えます。著者は、父の介護や死、さらには東日本大震災という試練を経て、家族との関係を再考す...
感想・レビュー・書評
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私小説家、佐伯一麦氏が語る実父の介護から死に至るまでの出来事と、その後の東日本大震災のこと。
連載小説形式で家族の恥部とも言えるような事実や葛藤を描く。自身の離婚と今も続くゴタゴタ、両親に近づこうとしない兄と姉、記憶も体も衰えていく父のことなど。私小説家として、ここまで書かなくちゃならないのか。そんな覚悟、プライドを感じさせる作品だ。
そして、父の死の2年後、連載の途中に起こった大震災。著者の記憶や出来事の順番が混乱しているが、それも含めて「私」の一部として作者は記し続ける。
それにしても父親の認知症が進んでいく過程は読んでいてつらい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小さい頃の母との関係から、家へ還れぬ主人公。認知症から肺炎をこじらせ病院から生あるうちに還れなかった父。認知症の父と親子、兄弟、嫁の関係、そして父の死後発生した東日本大震災を描いた私小説。題材が題材だけに、気が重く、なかなか読み進められなかったけど、いつかは訪れる親の介護など、いろいろと考えさせられました。
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ご本人が父を介護し、見送るまでの記録。
また、生い立ちから家族関係まで。
記録的意味合いが強いのか、やや尺が長く、小説としては疲れた。
けれど、これが現実だと思えば、そういうものかも。
家族でもささいなきっかけで疎遠になるし、誰がどう見送るかは分からない。
母、柚子さんと父の関わり方、再婚である作者の奥様の寄り添い、女性は強く、たくましい。 -
東日本大震災の事も細かく知れた。
親の介護と看取りの部分では、柚子さんの存在が大きいなぁ どれだけ心強いことか、羨ましい。
回想の部分が多いためなのか説明を受けている感じで私には読み辛かった。 -
文学
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幼い時の母の一言。「お前なんか、本当は生まれるはずじゃなかったんだ」それが付きまとい、母と一緒にいるとストレスがあり、鬱状態になってしまう。夢の中で母が父が兄が追いかけてくる。そんな光二は高校を終えると逃げ出すように故郷を出てきた。電気工をやったり色々な職業につきながら文章を書いてきた。新人賞をもらって作家の道を歩みだしたころに故郷に家を建てた。しかしそのころから妻とはうまく行かず、とうとう離婚し今は再婚して柚子と二人暮らしだ。そんな頃、父が認知症のようだと言われ、その介護に追われだした。その頃を始めとして同時並行的に光二の半生を連載小説に書き出した。
認知症の父の様子。人事ではない。そうだそうだと自分の母の様子を思い出した。 -
一言で言えば、すごく現実的な小説。
凝った設定や登場人物などは一切登場せず、現実感を伴った状態で話は進行していく。
認知症や介護という問題に実際に直面した時に、どのような行動をとればいいのかなど、考えさせられる小説。
でも、読んでいて面白いかと聞かれれば、面白くない。 -
作者の日常を書いてるが表現力が凄い。常に作者の立ち位置原点に、一ミリの狂いやブレがないのがこの表現をうむのかと思う。
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<閲覧スタッフより>
「家へ還れない個人的な思いをずっと綴ってきた私にとって、外からの力によって家へ戻ることが有無を言わさず不可能になった者たちの姿を前にすると、我が身のことだけにかまけてきたようで自省させられるものがありました」。2009年4月より連載されてきた私小説が震災を挟んで変化してゆく。
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所在記号:913.6||サエ
資料番号:10225378
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ますます円熟。震災の経験を真正面から受け止めて作品に反映させる姿勢に好感。
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家族(特に母)との関係が遠因で鬱病の主人公が父親の認知症をきっかけに実家と関わって行く様になり、昔の自分と、親との関係に折り合いをつけようともがくなか東日本大震災が起き…。世間体を気にして傷つけられた日々、夫に楯突けないので有無を言わさず息子と嫁に振ってくる母親、あるキッカケで介護から逃げ出す様子などリアルで辛い。既に介護経験者ならあるある、まだこれからの人には覚悟としての予習で読むのはいいかも。ただ延々と続く描写には気分が陰鬱となる。そして、こんなに出来た嫁はおらん…てか真似出来ないわ。
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老いていく父への介護に絡め、3・11にも言及する。私小説。じっくり読むべき本。重く心に響いた。
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いわゆる私小説ということだと思います。おそらく私と同年代なのか?
仙台近郊で両親のそばに住む小説家が親の介護、看取りそして東日本大震災での被災について綴っている。
小説として読んでいいのか、経験談として読んだらいいのか戸惑いました。 -
年老いた父親が認知症と診断されてから亡くなるまでの経緯を描きながら、みずからの生い立ちや親・兄弟・親戚との関係を描き出していく。執筆途中に東日本大震災に被災したため、それが父親が亡くなった後の自分や母親や兄の姿を描く背景に取りいれられているが、それはあくまで背景としてであり、作者が描こうとしているのは、あくまで自分にとっての生家・家族・親族。それにしても主人公の妻ができすぎた人だと思う。そういう人もいるだろうとは思うけれど。主人公と親との関係に読者を集中させるためだろうか。
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認知症となった父。
介護に疲れる母を妻と2人で支える。
良い思い出の残らない実家へはあまり還りたくない。
文芸誌で連載中、仙台で東日本大震災に見舞われる。
そこからは被災した者としての心情、両親との関わり合いを絡めながら話は進む。
佐伯さんの丁寧な筆致に心を惹きつけられた。 -
家族というのは厄介なもので、そして生きるというのは結構大変で面倒で、それでも人は生きていくんだな。というのが第一印象。多少こじれてる家族関係ではあるが、そんなに珍しいという事もない。親子・兄弟・夫婦と言えども別々の人間だし、各々にワダカマリがあるのが普通だろうし、同級生のその後も紆余曲折で、現実ってこんなもんかなと。
小説というより単なる日記で事実の羅列ばかりで心理描写は殆どない。話もうつ病作家(著者)による認知症である父の介護を中心に展開し、最後は震災で終わるのだが、特に起承転結があるわけでもなく、どこにでも転がっていそうな話が淡々と続く。だからなのか、逆に仙台在住のとある家族の物語という感じでリアリティーがある。これが私小説というものか。ちょっと気になったのは再婚相手の奥さんが出来すぎで、現実にこんな女性いるのかな?と思える程で、多少美化しているような気がしないでもないが。
親の介護の問題は誰にでも起こる可能性のあるもので、自分だったらどうするんだろう?とか、親の死にどう向き合うんだろう?とか、人間はどこまで生きるべきなのか?というような事を考えさせられた。 -
認知症の父の介護
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家族が小説に取りあげられるのを警戒している様子まで書かれていた。
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痴呆を患った父親の介護を巡る夫婦の物語。主人公と年が近くなったせいか、身につまされながら読んでしまいました。父親の死を私小説として取り上げ、丁寧に書かれた小説。そういう意味で星四つ。
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