ウルトラ・ダラー

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823032

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。基本的に。半分事実、半分フィクションということですかね。台湾海峡がこんな状況になることや北のミサイルの状況をほとんど正確に言い当てているという意味で、ものすごいインテリジェンスなのだと思います。著者の手嶋さん曰く、インテリジェンスとは近未来を正確に言い当てることとのこと。物語の結末は若干もやっとしたものが残ってしまうんですが、高遠さんとスティーブンの掛け合いのなかにかなりの量の真実が含まれているのではと感じました。
    佐藤優氏が、だれもこれを小説と思ってないでしょというのは、良くも悪くも事実を言い当ててるなーと。

  • 2012.10記。

    手嶋龍一氏といえば、9.11~イラク戦争時にNHKワシントン支局長として連日ニュースに登場していたあの人である。その小説デビュー作だそうだが、これはおもしろい。偽札印刷流通の実態、というようなポリティカルなテーマを「事実に基づいたフィクションです」といった言い訳も配さずに堂々と料理してしまっている。

    それにしても、小説中、壮絶な情報戦(企業機密の獲得、外交情報の入手)が繰り広げられるが、こうした手口の多くは、実は007の秘密兵器的なものとは無縁であって、普通の人々の日常にそっと忍び込む形で表れてくることにぞっとさせられる。続編の「スギハラ・ダラー」も読んでみよう。

  • 元NHKのワシントン支局長だった手嶋さんが書いた小説。これは、フレデリック・フォーサイスの手法と同じで、どこまでが事実でどこからがフィクションかわからない雰囲気を持っている。拉致問題、偽札を絡めて本当にありそうな話。あった話?

  • 私には難しかったです。
    すべてを理解して読めなかったです。
    偽札偽造の疑いから、世界をまたにかけたインテリジェンスの事件に広がっていくあたりは壮大でした。途中色々と出てくる主人公の浮世絵の話などは必要だったのかと思ってしまいました。
    最初と最後は他にはない諜報機関の話などがあり興味深く読めました。後半のかけひきもぞっとしました。

  • レビューを読むと、スパイ小説ではないという意見もちらほら…
    たしかに最後はスパイ小説ではなく、読者を置いてけぼりにさせている感じはある。
    そんなことよりも、私は主人公にぞっこんになった。
    西洋人で日本文化を大事にする設定ってずるいですよ…

  • “てっしー”氏初の小説。
    クルマ、浮世絵、着物、懐石料理、等々、小道具の描写に愛があり、作品世界に彩りを添えている。“元記者”さんの小説だからきっとドライな感じであろう、という先入観があった。偏見であった。著者が粋な趣味人であると感じさせる、色気のある作品世界なのであった。
     日本の伝統文化や東洋思想に深い理解を示す主人公の英国人に、トレヴェニアンのスパイ小説「シブミ」を連想した。

     さて、偽100ドル紙幣を巡る、外交・諜報の世界を舞台にした小説である。宣伝文句曰く、ドキュメント・ノベル。取材に基づく事実の断片を構築した、限りなく真実に近い小説だという。
     たとえば、小泉訪朝の電撃外交の舞台裏での謀略のエピソードが描かれる。
     内容は非常にスリリング。だが、作品世界に我を忘れて没入出来ないもどかしさに、最後までつきまとわれた。情報や設定があまりにも面白いだけに、事実と仮想の区別が気になって仕方がなかったのだ。
     リアルな匂いがし過ぎるのでフィクションとは言いがたい。推論・仮想というのが妥当なところか。

     国際情報小説を楽しむ土壌が、日本ではまだ成熟していないのかもしれない。そこにリアルな爆弾を放り込まれた為の違和感なのか。 (自分だけか…) 

  • 2015

  • 金持ちが多い 世界ですね。
    スティーブンブラッドレーは 貴族の出身。
    家には バトラーがいる。
    家には 浮世絵の コレクションがあるという。
    そんなブラッドレーが、諜報員とは。
    表の稼業がBBC のラジオ放送の 担当者。

    篠笛の師匠 麻子。
    おじいさんが 中国において 医師として活躍。

    アジア局長の瀧澤の奥さんが お金持ちで 馬主でもある。

    お金持ちだから 趣味が違うのだ。
    浮世絵、和服、馬についての蘊蓄が語られる。

    北朝鮮の偽札製造をして 流通をクリアーする手法は
    おもしろいのである。
    日本の技術である偽札チェッカーが 重要な役割をする。
    お札に チップさえも詰め込もうとするのが 
    スゴイですね。これで、金の流れは わかるという。

    ただ 北朝鮮が ブラックボックスのママであるのは残念である。
    その内部の情況が 描かれれば もっとおもしろいけど。

    確かに、このようなことが あると思われる。
    金と交換停止した ドルが 印刷する自由をアメリカがもっていて
    アメリカ外で 70%も 流通しているいう現実。
    ここに、危うさが あるのですが。

    いろいろな話題が 満載にもかかわらず
    物語として おもしろくないのは なぜだろう。
    ブラッドレーという主人公が 主人公らしくなく、
    タンパク なのだから だろうか?

  • 147

  • 文化やモノに対するウンチクが多く、加えてこういうスパイものが好きな僕は途中までは引き込まれてたけど、残念ながら物語としてはつまらなかった。

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著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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