スギハラ・ダラー

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823049

作品紹介・あらすじ

杉原千畝が産んだ現代金融市場の黙示録に、『ウルトラ・ダラー』のコンビが、秘やかな諜報のメスを入れ始めた…。

感想・レビュー・書評

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  • スターリンの鉄の統制下にあった赤軍の動きは深い霧に隠されていた。それだけにソ連の軍事情報は日本の軍部にとってはいかなる手段を弄しても入手したいものだった。情報の世界は等価交換が原則。ポーランド秘密情報部は選りすぐりの対ソ、対独情報を杉原に提供する、その見返りに杉原はポーランド国世紀ユダヤ難民に第三国へ渡航する道を開いてくれる。

    愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ。自らの想像力をはるかに超える自体は将来必ず起きる。それに応える人材こそが国家の安寧を保証する。

    強制収容所は、力の信奉者に変えた。どうしてユダヤ人は敢然と武器をとり組織的に抵抗を試みなかったのだろうか。

    ナチスとソ連、wつの全体主義を相手にポーランド国家のインテリジェンスネットワークはしたたかに渡り合っていた。情勢が酷烈であればあるほど、その祖s木は試練に耐え抜き、たくましくなっていく。
    わが力の源はおのが弱さの中にあり、この言葉を心の中で朗読していれば、いかなる苦難にも立ち向かえそうな気がした。

  • フェイク混じりで本当の事を述べてそうなものばかり。

  • NHKの手嶋さんが書いたとは知らなかった。

  • ・前作「ウルトラ・ダラー」のコンビがまた活躍!というような帯なんだが、相変わらず「インテリジェンス」小説なので、イマイチ地味。ただし、そこで披露されている歴史の裏側の描写や、現在進行形と思われるインテリジェンスの片鱗については、一つ一つが面白い。特に、終盤で語られるオバマを狙う黒い悪意、というのは、手嶋さんがラジオ番組の中でも言及していたことなので、かなり現実性の高いインテリジェンスなのかも知れない。

    ・スティーブンもマイケルも、そこそこ魅力的だけど、「またこの二人の活躍が見たい!」というほどの動きがないんだよなあ、何と言っても頭脳プレイだから。この辺りはアクション映画好きな単純な自分には、ちょっと物足りないところ。

    ・ソフィーの人生については、もう少し語ってほしかったかも。なお、タイトルの割には杉原千畝に関する描写がちょっと少なくい印象。

    ・それにしても、手嶋さん自身は北海道出身なんだが、前作でも今作でも、妙に関西弁のおっさんが活躍と言うか魅力的に書かれてるなあ。

  • 再読

    出ポーランド記なんかは物語性が高く描写も楽しめたのだけど
    松雷のノミ競馬の映像詐欺やアルカイダや北朝鮮らの会合や
    ユダヤマネーやナチスの略奪絵画や
    やたらスケールの大きな陰謀論説的お題が出ては
    登場人物口を借りて中途半端に纏まって話題が次に移りw
    読者への説明とはいえ
    S&P500の説明を受けるインテリジェンス・オフィサー(笑)に苦笑しながら。

    漫画女帝のような新宿鮫を下手くそにしたようなシビレるゥ的香り、
    でももっと面白くも書けそうなのに色々残念だなぁ

  • 読み始めてすぐ既読本だったことに気づく。

    が、杉原千畝を少し読んだあとだったので、また違う気持ちで読めた。
    まったく知らない市場の世界のお話しにも改めて驚くが、主人公をとってもダンディに描写しようとするところが、手嶋龍一さんのテレビでの真面目な話しぶりと何かギャップがあって、それも少し楽しめる。

  • 先日映画にもなった杉原千畝のエピソード。
    杉原は外務省の諜報員の役目を担いながらも、
    ナチスのユダヤ人迫害に憤慨し、
    彼らの国外脱出のために日本へのピザを発行し続けました。
    彼によってナチスの手から逃れられたユダヤ人たちは数多く、
    スギハラの名前は
    ユダヤ人たちの間では救世主のように知れ渡っているそうです。

    この作品は杉原のことを織りまぜながらも、
    杉原によって日本へ逃れられたユダヤ人の少年アンドレイと
    孤児の日本人の少年松山雷児との友情が中心になっていました。
    1939年、アンドレイと雷児、
    それにアンドレイと一緒に逃げて来た美少女ソフィアの3人は
    太平洋戦争が間近にせまる
    日本の神戸の地でささやかな友情を育てます。
    やがてそれぞれの運命に従って
    アンドレイはアメリカへ渡り、ソフィアは上海へとのがれます。
    雷児はソフィアを守るために、単身上海へと渡りました。
    それから物語は2008年にまで飛躍します。
    アンドレイと雷児、2人は国際金融の世界を生き抜いていました。
    北朝鮮の偽ドル札を暴いたスティーブンらは
    株式市場が大暴落するたびに、
    その裏でうごめく黒い影に気が付きました。
    彼らの運命の糸は2008年秋、リーマン・ショックで交差することに・・・。

    神戸で培った少年たちの友情が、
    年月を経て経済界の裏に影を落とします。
    経済の仕組みなどに疎い私には
    少し難しい話の流れとなりましたが、
    幼い頃からの少年たちの友情が大きく育っていたことに
    驚きと安堵感を持ちました。

    知っている名前と地名も出てくる小説でしたが、
    経済小説はやはり難しいなぁというのが正直な感想です。

  • アンドレイ、松雷、ソフィーの友情がなんか泣かせる。ユダヤ人の苦難を偲んでしまうね。

  • ストーリーがなかなか面白いです。一気に最後まで読みきりました。 世の中を動かすお金の裏の一面を見ることが出来る、深みのある小説だと思います。

  • ウルトラ・ダラーと似た感じの話ではあるが、ややまとまりに欠ける印象がある。ストーリーにスピード感が無く、前作ほどの面白さは感じない。

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著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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