ブラック・スワン降臨―9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823056

作品紹介・あらすじ

ビンラディンの頭上を、突如急襲した黒い鷹。それは9・11以降十年に及ぶ謀報活動にアメリカが凱歌をあげた瞬間だった。だがまさにその時、フクシマの地は、ブラック・スワンの羽に覆われていた。原子炉にヘリで注水する果敢な「特攻作戦」も、日本が現代インテリジェンス戦に敗北しつつある象徴だった。日米同盟の亀裂と外交的孤立に二十年以上前から警鐘を鳴らして止まなかった著者の、書き下ろしノンフィクション大作。

感想・レビュー・書評

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  • 3.11のテロを防げなかったのは、米国がインテリジェンスを有効に扱えなかったから。しかしその後の対応はカッコいい。オバマ大統領がゴルフにいって周りの目をごまかしてビンラディンの殺害を実行するのはまるで映画のよう。
    一方、日本は情けない。9.11の原発事故の対応のお粗末さ。外交の下手さ。訓練もされておらず、才能もセンスもない人間が国家の要職を占める怖さを指摘されます。

    そう言えば日本語ではインフォメーションもインテリジェンスも「情報」となってしまうのは、日本人にインテリジェンスの概念がそもそも無いからなんでしょうね。

  • ブラックスワンとは実在しないと思われている黒い白鳥。しかし、そのブラックスワンが舞い降りた時に何をどう決断するのかが、指導者には求められる。911から10年後の311にいたるまでの日米中、世界のインテリジェント戦争を物語調に記述しているため、読み易く、ドキドキしながら楽しめた。
    決断をするためには如何に情報を集めるか、しかも自然に集まるような準備をする行うかが重要。
    情報が集まる体制できてないのに、無理して集めようと現地に急行する管哀れ。このような指導者の時に未曾有の大震災が起こるとは正にブラックスワン。
    ここから何を学ぶか?インテリジェントがないと適切な判断ができない。すなわち、決断が必要な仕事、ロールは情報を集める能力、集まる準備を再重要視する必要がある、ってことだ。
    アメリカが80km圏外に避難した時には、よく分からんくせに過敏だな、コンチクショウと思ったけど、裏付け有りまくりだった訳で、知らないのはお気楽な自国民のみだと。まともな指導者を選ばないと。

  •  9・11をアメリカは本当は防げたのではないか。
     何故防げなかったのか、とその時々の状況を語っている本。まさに、情報戦に負けたというべきなのか。
     アメリカの話をしているときは、さくさく読めたのですが、日本の今(民主党が第一党になってから)は、物凄く読むのがつらかったです。
     日本の危機が此処にあるのか。

  • 『「FUKUSHIMA」の惨劇は、事前の想定を超える事態のゆえに起きたのはない。想定を超える事態に向き合おうとしなかった果てに起きたのである』この一文がとても印象に残りました。

    手嶋龍一氏の「ブラック・スワン降臨」読了です。
    手嶋氏の作品を読むのは杉原千畝氏を取り上げた「スギハラ・ダラー」以来です。(以前ブログで「やるじゃん杉原!」と感想を書いた事を思い出しました^^;)



    「国際外交・インテリジェンス・危機管理」などをテーマとしたノンフィクション。こういうテーマのノンフィクション系の本は、どちらかといえば苦手です。

    が、「読ませます」ね。
    すばらしい取材力と文章力です。特に文章力は圧巻です。


    2週間はかかるだろうと覚悟していたのですが、一気に読んでしまいました。

    2001年のアメリカにおける「9.11テロ」。
    2011年の「ビン・ラディン殺害のジェロニモ作戦」、そして日本での「3.11震災・原発」。

    「9.11」と「3.11」、この2つの出来事には何の因果関係もありません。


    ただ「危機管理」とか「インテリジェンス(戦)」という視点から2つの出来事をみると、2つの出来事には考察を加えるべき共通点があるのです。



    「9.11」から「ジェロニモ作戦」までの期間アメリカはどういう活動を行ってきたか、またその10年の間に国際政治(勢力・力学)はどう変化したのか。


    そして「3.11」の時に日本国政府がとった行動は。


    「起承転結」の「起」においては「ジェロニモ作戦」の際のオバマ大統領の様子がそして「結」においては「3.11」での菅総理の対応が描かれています。



    日米両政府のトップの対応の違いはおもしろい、、、いや暗澹なる気分になりました。

  • 元NHK・ワシントン支局長を務めた手嶋龍一氏による、9.11から2011年のビン・ラディン殺害にいたるまでのアメリカのインテリジェンスをめぐるノン・フィクション。

    最初に感じたのは、手嶋氏の文章は相当うまいし、筆致は冷静である。こういうジャーナリストが手がける文章は、往々にして、「感情」がほとばしってしまい、短絡的に結論を印象付けることに陥りやすい。
    それに対して、氏の文章はキレもあり、英語で書かれた伝記やルポルタージュのようである。

    正直に言って、この本に書かれている内容が正確かどうかはわからない。しかし、ふだん我々が接するニュースのレベルとは取材の掘り下げ方が段違いであるということはわかる。

    ただ、アメリカ政府によるインテリジェンスの不全を投げかける著者そもそもの意図はわからないでもないが、そこについては、単に属人の問題ではないのだから、もう少し広い視野で語る必要があると感じた。

  • 「スギハラダラー」の続きで、スティーブンとマイケルの活躍かと思ひきや、
    さにあらず。9.11からビンラディンの殺害、3.11の東日本大震災までの
    出来事を辿りながらの手嶋龍一氏の警世の書であつた。
    3.11の在日米軍の際立った動きと菅直人率いる日本側の不様な行動を
    対比した場面は読み応へがあつた。
    「在日米軍は迷惑施設」と明言する北沢防衛大臣等、日本の防衛意識、
    危機意識の欠如は深刻である。

  • まるで、テレビのドキュメンタリーを見ているような感覚になった。
    情報を集めて分析し、それらを編集統合して、映像ではなく本にまとめたという感じ。長年の現場での記者経験が活かされていると思った。

    著者のインテリジェンスが伝わって来る、読み応えのある本でした。

    尚。この本を購入したきっかけは、以下のインターネット番組「ラジオ版 学問ノススメ」2012年1月16日放送だった。http://podcast.jfn.co.jp/poddata/susume/susume_vol303.mp3

  • 本書はいろいろ示唆に富んだ本である。

    佐藤優氏の一連の著作により「インテリジェンス」という言葉がかなり浸透したが、手嶋氏によれば、「インテリジェンス」は決して万能なものではなく、人が扱うものであう以上、特にその時の宰相の姿勢や器により、集まる情報の質(信憑性を含む。)も量も自ずと変質してしまう、といった視座が大変参考になった。

  • 手嶋龍一氏の講演を実際に聴いているので、新鮮さはなかった。しかし初めて読む人にとっては、面白いだろう。おととし聴いたとき朝鮮半島には今後数年、何も発生しないと断言されていたが、砲撃事件、沈没事件等の末、金正日が死去した。インテリジェンスでも読み解けなかったか。中国外務関係は、「戴秉国」氏を見ろ、ということで大変参考になっている。

  • ありえない事態が現実となることの隠喩「ブラック・スワン」。

    アメリカの中枢が狙われた自爆テロ。安全神話が崩された日本の原発。

    9.11米同時多発テロ事件から3.11東日本大震災までの10年間にわたる、国家間のインテリジェンス戦争を、NHKワシントン支局長だった著者がノンフィクションで描いています。

    同時多発テロ以後の日米関係や、東日本大震災直後の福島第一原発への対応の裏側を知ることができます。

    精度の高い情報を引き出し、素早く的確な決断を下すシステムが機能不全に陥っている日本。
    危機感を覚えながら最後まで一気に読める一冊です。

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プロフィール

外交ジャーナリスト・作家。一九四九年、北海道生まれ。NHKワシントン特派員として冷戦の終焉に立ち会い、FSX・次期支援戦闘を巡る日米の暗闘を描いた『たそがれゆく日米同盟』、続いて湾岸戦争時の日本外交の迷走ぶりを衝いた『外交敗戦』(ともに新潮文庫)を発表。ワシントン支局長として二〇〇一年の同時多発テロに遭遇し、十年に及ぶ対テロ戦争を追った『ブラックスワン降臨』(後に『宰相のインテリジェンス』として新潮文庫に収録)を上梓。NHKから独立後に発表したインテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』、その姉妹編にあたる『スギハラ・サバイバル』はベストセラーに。慶應義塾大学教授としてインテリジェンス論を講じ、現在も各地の大学や公的機関で後進の指導に取り組んでいる。情報ライブ ミヤネ屋(読売テレビ)、シューイチ(日本テレビ)など、テレビ、ラジオなどでも活躍中。

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