どんぐり姉妹

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103834090

作品紹介・あらすじ

姉の名はどん子、妹の名はぐり子。突然の事故で奪われた、大好きだった両親の笑顔。気むずかしいおじいさんの世話をしながら、学んだ大切なこと。苦しい時間を姉妹は手をとりあって、生きてきた。とめどなく広がる人生で、自分を見失わないように。気持ちが少し楽になる居場所、それが「どんぐり姉妹」。「私たちはサイトの中にしか、存在しない姉妹です。私たちにいつでもメールをください。時間はかかっても、お返事をします。」-メールは祈りをのせて。ネットが癒やす物語。

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃に事故により両親を亡くした姉妹が、ふたりで共に頑張って生きていくお話。

    そんなふたりがネットで「どんぐり姉妹」として相談事などを匿名でメールを送れて、だれかに話したいけれど知っている人には話したくない時にちょうどいい、というサイトを運営する。

    ぐり子ちゃんが返信の内容を考え、どん子ちゃんがその内容を上手くまとめて返信する。

    妹のぐり子ちゃんの考え方にものすごく共感した。あまりにも共感しすぎてちょっとびっくりしたくらい。

    ある一通のメールが来た後、ぐり子ちゃんの初恋の人である麦くんが亡くなったという夢を見て、ぐり子ちゃんは麦くんの現在が気になり始める...。

    そのぐり子ちゃんの初恋の話に泣いてしまった。

    私の初恋の人は名前も顔も覚えてないし、今どこにいるかもわからないけれど、この世界のどこかで元気に暮らしてたらいいな。


  • 優しい人っていうのは、目に見えないものに語りかけることができる人なのかもしれない。今のことろ、この「どんぐり姉妹」がばななさんの作品では一番好きです。すごくしっくりきました。

    引用した恋のくだりなんて、もうびっくりするぐらい納得。結局親に愛されたように恋人にも愛されたいんですよね…。それが自分本位な愛の持ち方ではないかと不安になったりしていたんですが、結局自分が一番愛されていたように愛されたいというごく普通な気持ちの流れなんだなあと思えました。

    また、途中、母親と同じ口調で喋っているとぐり子が気づくシーンがあるんですが、これも納得。私もあります。小さな子や大事な人に大事な言葉を掛けるとき、自分が母親に掛けてもらったのと同じことを言っていることが最近多いと感じています。結局、愛情の基盤って親子関係に根ざしているものが本当に大きいんだなあと思わされます。

    あとどんぐり姉妹へのやすみさんからの二通目のメール。もう涙なしでは読めませんでした。なんでこなに泣いているんだ自分とびっくりしてしまいましたが、変わらないこと、続いていくこと、当たり前のことの尊さ、大きな悲しみの前にそういったことに気づくことの清々しさ。ああもう本当に堪らない気持ちになります。

  • 両親の死により、親戚や祖父の家での生活、そして祖父の死、初恋の人が夢に登場、実は調べてみると彼も事故死していた。
    内容的には暗くなってしまいがちなお話ですが、どんぐり姉妹が持っているそれぞれの世界があっさりしていて、さらりと読めてしまいました。

  • よしもとばなな、初めて読んだのがこれでよかったと思った。
    おじいちゃんに、
    「家に人がうろうろしてるの嫌じゃないですか」
    と聞く場面がすき。

    こういう"柔らかい愛"を見つけるために生きたいと思えた。

  • 両親を早くに亡くした、姉と妹の話。
    妹は奔放な姉の姿を見ながら、愛のある目線で冷静に見つめる。これまでのことと向き合いながら、自分の内面・生活を整理し、初恋の人とも気持ちを通わす。

    ぐり子の内面は、今の私には呑まれてしまいそうなくらい、危うかった。

    私はどん子の恋愛観に共感してしまう。
    彼女のようなしなやかさは持ち合わせていないけれど。

  • 人々はたわいない会話がどれだけ
    命を支えているかに無自覚すぎるのだ。
    という文章がとてもすきです。何気ない会話をいつもしてくれる人が周りにいることに感謝したくなりました。
    家族を失う悲しみをばななさんは本当に痛いほど表現されていて、亡くなった父を思い出して泣いてしまいました。
    でも明るく前向きに生きていく2人に元気をもらいました。もっとどんぐり姉妹の言葉のセラピーを聞いてみたかったな。

  • なぜこの本を読みたいと思ったのかは忘れてしまった。なにかの書評を読んだんだっけな?

    両親を事故で亡くした姉妹が、長い長いリハビリ期間を経て、ゆっくりゆっくり立ち直っていく様子が描かれています。
    しっとりとした優しい初夏の雨が似合うような物語でした。
    妹の心が少しづつ前に向いていく過程がよかった、自分の心でしか立ち直ることって出来ないんだなあ。

  • 実は初ばななさん。年取ったせいか、何度も涙腺がやばくなった。もう少しこの人の本を読んでみたくなった。

  • この人の書く物語を生きる人達は悲しみを抱えながら生きることがとても上手。
    きれい。

  • 本の終わりの文章そのままだけど、旅をしてる時もしてない時も、旅をするように生きたいなあ、としみじみ思った。

    どんぐり姉妹のメール業の話かと思うけど、本当にそれが彼女たちの人生の一部であるだけで、話の中でも、重要ではあるけど中心ではない。サバサバして、男を切らさず恋愛体質だけど結婚できないお姉さん、すごく好きだなあと思った。

    日常のさりげなさと儚さと美しさが、いつも通り一番きれいで押し付けがましくない形で表現されている。なんでこんなに優しい話を、優しい言葉で紡げるんだろう。本当に吉本ばななの作品を読むことで、生きるのが少し楽になるし、生きることがすごく希望のあるものだと思える。高校生の時も、30を越えた今も変わらず、純粋にそういう前向きさをもらえるので、本当に一生読んでいたいなと思うんだよね。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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