夜のピクニック

著者 :
  • 新潮社
3.77
  • (961)
  • (1074)
  • (1510)
  • (101)
  • (28)
本棚登録 : 6061
レビュー : 1161
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103971054

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 朝8時から翌朝の8時まで歩くという、ある高校の行事。
    この24時間の間で繰り広げられる、それぞれの若者達の思い。
    軸となるのは甲田貴子と西脇融の異母きょうだい。
    存在は知っていたけど、まさか同じ高校になって、
    3年で同級生になるなんて・・・

    この2人を取り巻くお互いの親友、同級生・・・
    2人の複雑な気持ちがだんだんと溶け合っていくさまが、
    清清しく爽やかに描かれていると思います。
    分かり合える友達っていいですね。

  • 甲田貴子は高校に入学した時から気になっている男子がいる。それは自分の異母兄弟の西脇融だ。しかし一度も話をしたことは無い。向こうからもきつい視線が返されてくるから。そして今日から北高鍛錬歩行祭がある。約80キロ近くを全校生徒で歩くのだ。三年生には最後の歩行祭。これが終わると、あとは受験までまっしぐらだ。貴子はこの歩行祭でひとつの賭けをした。その賭けに勝ったら、融に向き合って話をする。負けたら、このまま話もしないままで卒業する。歩行祭での高校生達の青春の出来事を描く。うちの高校でも大師強歩というのがあった。約20キロ強の道のり。多摩川の土手を学校から川崎大師まで歩いた。青春の思い出というほどではなかったが、今はなぜか懐かしい。

  • 登場人物たちと、一緒に歩いているような気分になり面白かったです。
    友達を思いやる心、何かを成し遂げる達成感を感じることができ感動しました。
    主人公の頑なだった心が溶けていく瞬間が、読んでいる私にじわじわと伝わってきた時には、嬉しくなりつい喜んでいました。

  • 誰も死なない、ハデな事件もない。
    でも、ものすごいことが起きた。気持ちに。

    とっても良い作品です。読み継いで欲しい本です。

    インターネットで場所を越えて、つながりがもてるようになった。
    本は、世代をも超えていく力があると思う。

    恩田 陸さんは、北村 薫さん、宮部みゆきさんと同じ感じ、人の色がした。

    「夜のピクニック」を手にとって良かった

  • 2018.10.14.
    すごく良かった。

    前半は、淡々としてるなぁ…。最後オチあんのかなぁ…。なんて思ってた。
    ごめんなさい。すごく良かった。泣けた。もう素晴らしい登場人物に。みんな良かった。
    本屋大賞受賞したのわかる。
    後半一気に読んだ。
    今回初めて恩田陸さんの作品を読んだからまた今度違う作品を読んでみようと思う。
    また1人好きな作家さんができたかもしれない。

  • 再読です。名作です。
    いつも文庫しか買わない私が、
    新刊でハードカバーを買ったという珍しい1冊です。

    「時間の感覚というのは、本当に不思議だ。
    あとで振り返ると一瞬なのに、
    その時はこんなにも長い。」

    受験期を目前に控えた高校3年生最後の行事、
    夜間歩行中の主人公の心情を説明した
    上記の一節が本当に胸に染みるのです。
    そして、他にもぐっとくる一節いっぱい。

    高校生活って、どうしてこんなに刹那的なんだろう。
    大人になりたくて、でもこのままでもいたくて、
    あふれる生命力を持て余してうずうずしている。

    読書感想文で生徒にたまに薦めていますが、
    本当は高校を卒業した人に薦めたい。
    きっと共感できる一節が見つかるはずだから。

  •  本書は、作者の恩田陸氏が、母校茨城県立水戸第一高等学校で毎年10月に開催される伝統行事「歩く会」(作中では歩行祭)をモデルに執筆した小説であり、実際のイベント同様、往復約80kmの道のりを一昼夜ほぼ徹夜で歩く設定となっている。

     「みんなで、夜歩く。たったそれだけのことなのにね。どうして、それだけのことが、こんなに特別なんだろうね。」

     この台詞は、私たち読者が読後に感じることとなる本書の魅力に相通ずるものがある。主人公の甲田貴子と西脇融が心許せる同級生にも匿しつづけてきた事情の行き着く先にあるもうひとつのゴールを見守ることもまた、本書の醍醐味となっている。仲間たちとの友情のみならず、高校三年生のこの時期だからこそ感じる過去に対する愛着や後悔、未来に向けた焦燥や躊躇などが瑞々しく描かれ、第2回本屋大賞(2005年)をはじめとする各賞の受賞に相応しい青春小説と思われる。

    昨日から歩いてきた道の大部分も、これから二度と歩くことのない道、歩くことのないところなのだ。そんなふうにして、これからどれだけ「一生に一度」を繰り返していくのだろう。いったいどれだけ、二度と会うことのない人に会うのだろう。

  • 2005年本屋大賞(第2回)、吉川英治文学新人賞の受賞作。

    ちょっとネタバレ注意。
    いつ言うんだろう、頑張れよ融、頑張れよ貴子、と思っている間に、順弥の再登場で一気にクライマックスへ。榊杏奈、順弥の姉弟がキーマンだと分かっていながら、ここでそうきたか、と良い意味で不意打ち食らいました。それくらいストーリーに引き込まれてたということですね。この感じは久しぶり。とても面白かった。

    当時は、やっぱり「付き合っている」という、そのステータスを求めている空気はあったなあ。硬派で通してた(?)自分でさえも、部活を引退した夏以降、ちょっと焦りもあったし、髪の毛を見よう見まねでセットしてみたり、誰が告白した、されただの、そんな話を聞きながら、自分のキャラは硬派だしどうしようかな、とか考えていたのを思い出して、恥ずかしいというか、むず痒い気持ちになりました。

    皆、いろんな秘密を持っていて、カミングアウトするかしないかを悩み、またそのタイミングを探している感じ。それは、自分の中ではすごく大事なこと。今の高校生は、融らのように気持ちの揺れ動きを分析できているものなのなんでしょうか。大人びているというか。青春小説を読むといつもそう思います。
    自分はどうだっただろう。少なくとも自分は、ただただ無我夢中というか、のほほんとレールに乗っかって生活していた。自分が何かを真剣に考えていた、という記憶があまりないんですね。高校野球一筋だったからかな。今になって「もっといろいろ考えてたら良かったな」と思うのですが、その時、無我夢中で熱かったことが青春かな、と思うし。青春だけじゃないですよね、人生、後から思い返して、いろいろ考えることばっかりです。

    なぜ歩行祭が舞台なんだろうと思ってましたが、作者である恩田陸さんの母校の「歩く会」がモデルになっているんですね。実在していたのか。納得。

  • 以前から読まないとなー、と思っていた本。期待通り、青春時代を思い出させて貰いました。
    高校生の時って、友達のことや自我について、そして取り留めのないことまで、いろいろ悩む時だと思います。
    そして、仮眠をとりながら丸一日かけて歩くという校内イベント‘歩行祭’は、そんな高校生にとって忘れられない思い出になるのは間違いありません。
    主人公達が最初は誰と誰が付き合っているという話題から、時間が経つに従って内面まで踏み込んで話し合っていくという過程が良かったです。
    お薦めです♪

  • ただ歩くだけなのに 特別なんだね。大人になるにつれ、意味のないことに 情熱を燃やせなくなってくる。意味のないことなんて 何一つないのに。情景が思い浮かび、個人的に思い入れの深い一冊。

著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

夜のピクニックのその他の作品

恩田陸の作品

ツイートする