水晶内制度

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103976042

感想・レビュー・書評

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  • 言わずと知れた笙野頼子。もうほんまに好き。フェミっていうか、もう見えてるね、世界の成り立ちとか、なんかそんなのが。確信的なフェミ50%、丁寧でリアルな少女漫画感覚20%、ヨゴレ系20%、その他、で成り立っている。一部、売春婦と普通の女の分断を指摘してるとこがあったような、なかったような。

  • 確かこれも岸本佐知子さんのお勧めだったので。
    いや~ちょっと…難しいというか…端的に意味不明で怖いというか…なんかヤバい宗教の教義を読んでいるような(いやまさにそうなんだけど)
    古事記とか日本書紀とか、ちゃんと読んだことないので、読んでみたいな、とは思いました…。

  • こんなに狂った作家がいるなんて思わなかった。すごい。

  • あわない。読む快楽がない。

  • 文学

  • 2016/1/4購入

  • 新興宗教のような女性集団が原発を逆手にとって築き上げた女尊男卑の独立国家「ウラミズモ」。「ヘテロの女が敢えて人形愛と同性愛を選んだ」その国へ亡命してきた作家の主人公は、建国の神話の創造を担わされることになる。

    序盤は、やはり女性だけの特殊な国を描いた倉橋由美子の『アマノン国往還記』や、沼昭三の『家畜人ヤプー』なんかを思わせる、異世界訪問譚風なのだけれど(私は未読ですが『女と女の国』鈴木いづみの名前も作中に出てくるし、ついでに阿部薫も)中盤では笙野頼子お得意の神話の読み替え作業が始まり、このくだりがもう圧巻。単なる捏造・妄想の類ではなく妙な信憑性が感じられて迫力があります。

    この作品のちょうど10年前に書かれた『硝子生命論』の作者である火枝無性と人形作家ヒヌマユウヒの名前も登場し、あの物語のラストで女たちが向かったユートピアはウラミズモだったのかも。

    女だけの国では仮夫と呼ばれる美少年人形と暮らすか、もしくは夫婦ならぬ婦婦として結婚も可能だけれど本物のレズビアンは追放される。おもに日本から払い下げられたロリコン男は監禁監視され少女たちに虐殺される。紙一重のユートピアとディストピア。

    独自の潔癖さと自己神格化、笙野頼子の神髄が詰まった1冊だったと思います。

  • なかなかどぎつい。

  • 日本の常陸付近にある女人国「ウラミズモ」に亡命した日本の「女流」小説家「火枝無性」は、「ウラミズモ」の神話を創作する。日本の男系社会、文壇、既存のフェミニズムへの痛烈な批判、記紀神話の「国生み」の記述を逆転させ、出雲神話の「国譲り(大国主命は女性!)」を各地の弾圧された母系、巫女的女首長の象徴とする等、解体・再構築していく。バッサリと一刀両断していく文章は読んでいてハラハラドキドキした。やはり、鈴木いづみと『女と女の世の中』が文中に出てきた。最終章が圧巻。凄い作家だ。

  • ウラミズモという国名の語感が絶妙。いろいろな意味が重ねられていそう。
    この「きったない」国は、でも私の国でもあるのかも。自分の魂をどこにもない場所に置いていることの証として、魂のない人形と暮らしているということの意味が、少しわかるような気がするから。
    でっちあげの国家神話が個人の神話として血肉を吹き込まれていく過程が切実な美しさ。

  • 女尊男卑の物語(?)
     複雑でした。色々と。内容と設定がいろいろあるわりに、読めばわかるのですが軽く(むしろおふざけっぽく)書いてあるので、なかなか好悪の分かれるところ。
    『きったないフェミニズム』
    『うわーっ』
    『原発(原は違う字)』
     この三つはポイント。
     主人公の女性は、この国の神話を作る作業に携わる。……なんで、彼女の世話役が「ウカ」なんだよ……。樓主はパズルの花紡ぐ姫の名前を「羽佳」にしたのに(涙)ま、いいけど。
     月都市と似たような雰囲気かと思ったのですが、保護施設のあり方も、制度も違いましたね。なんだか異様にねじくれていました。
     説明のしようがないんです。綺麗なのに、おちゃらけて、下品なのに上品っぽくて、男性社会を風刺しながら、女を笑っているような。そんな作品。
     子供の神聖みたいなものを言い出したりもしながら、残忍性も表に出して。
     いろんな人にとって、読み心地の悪い作品じゃないのかな。樓主は勝手にこれに、「SPA!」的小説と名づけましょう。(あの雑誌は各週メイン企画で、たくさんの人間を貶しまくるから)

     面白かったかどうかと言われれば、面白かった。ついていけない部分もあるけれど。
     あと、表紙の絵がとても綺麗。タイトルもお気に入り。
     耽美にも出来たのに、しなかったのはなぜか。作者に聞いてみたい気もする。

  • 女だけが人間である国の話

  • 原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のため出雲神話を書き変えるが…。美男だけが生き延びる?男性保護牧場。高校で飼育される「ロリコン」男の運命は?家畜人ヤプー、吉里吉里人、女と女の世の中、さかしま、古事記、熊楠論文、児童ポルノ規制法案等、古今東西の名作・迷作を友とし敵とした平成の「奇書」。

  • 原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のため出雲神話を書き変えるが…。美男だけが生き延びる? 男性保護牧場。高校で飼育される
    「ロリコン」男の運命は?家畜人ヤプー、吉里吉里人、女と女の世の中、さかしま、古事記、熊楠論文、児童ポルノ規制法案等、古今東西の名作・迷作を友とし敵とした平成の「奇書」

  • めちゃくちゃすごい。
    このまま突き進んで欲しい。

  • フェミニズムと日本神話。この奇妙な物語に、私は共感する部分の方が多い。

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

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