プリズム

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 219
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103999041

感想・レビュー・書評

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  • ひとりのことだけずっと好きだというのは難しいのだろうか。
    よっぽどお互いに上手に気遣いができて、思いやりも忘れず・・・
    そんなふうに変わらず過ごせていけたら可能だろうか。
    相手になにも期待せず、自分は常に思いやりをもって、というのは
    人間ができていないとなかなかできない、気がする。

    その人との時間に慣れていくように、そのときのしあわせにも慣れていく。
    その慣れをどこまで自分で惰性として一体化させないか、
    そのしあわせに感謝して過ごせるか、が大切なのだろう。

    そういったことを考えた一冊。

  • 透明感のある恋愛小説
    繊細な心の機微を丁寧に的確に文字として捉えるとこ、このように表現するのかと感心した。

    浮気・不倫であるが終始一貫そうとは言わず「恋をしている」
    会いたい・愛されたい、愛したい…
    純粋な本能のままの気持ちに焦点を当てて、不貞のはずなのに読了が気持ち良かった

  • 夫を裏切って恋をする妻。同性としては、彼女の気持ちになって読むのが普通なのかもしれない。でも私は自分が裏切られた時の事を考えてしまう。ときめきよりも、安心感や安らぎを感じる夫に恋人がいたら…。激しい嫉妬で自分を見失うのか、淡々と事実を受け入れるのか、怖いのはきっと後者だろう。恋をして結婚に至るまでの瑞々しい気持ち、何年経っても変わらないと信じていたものが何時の間にか変質していたら…。自分は浮気なんてしない、と思う前にそんな事を考えさせられてしまった作品。

  • 図書館

    装丁が素敵!!

    ストーリーというか起こったことだけ取り上げると
    山田詠美様の AtoZ とほぼ同じなんですが
    書く人によって全然違ったものになるんですね〜

    ちょいちょい出てくるディテールが私好みじゃない
    モチーフがプリズムってのも好みじゃないな〜

  • 夫は外科医。何不自由ない生活をしている。
    そして波子は夫の親友・高槻と倫ならぬ恋をしている。

    波子の周りには上手い具合に?そういった婚外恋愛している人が多くいる。
    現実ではそんなのありえないじゃ〜んと思う一方で
    それでも文体が素直で読みやすいからか、女性としての心理を上手く表現しているからなのか
    案外、こういうものなのかな、とも思う。

    結局夫にも恋人がおり、恋人の運転する車に乗っている途中で事故に遭うことで
    その関係が露呈してしまう。
    ちょうど波子が高槻への想いをたぎらせながら、高槻との関係を終えようとしていたときに。

    もう私にはこういった隠れた恋愛などする気力もなく、それに対する魅力も感じないししてみようとは思わないけど
    こういう本が好きで良く選び、加えてその女性の心理描写にうんうんと頷いたりできるということは心のどこかに願望があるのかしら?
    疑似体験なのかなぁ。。。
    読んでる分には害がないからいいよね。
    実際にそうなるとコワイけど

  • するすると読めてしまう、柊さんの恋愛小説は実は怖いんだと思う。自分の気持ちとは裏腹にどこかへ漂ってしまう想い。彼が、気軽に合鍵なんかをよこすからいけないんだよ。そんなことされたら、たくさん錯覚してしまう。まるで、居場所ができたのかと思ってしまう。平凡なオチだけど、それが良い感じで収まるかな。

  • 夫はわざと病気の高槻を部屋にあげて妻と2人にしたんだろうか…
    試された?

    高槻は男として 女が魅かれるタイプなのかな
    ふっとバーの陰でキスをされたりしたらで女はぐっ〜と心をつかまれてしまう それがさりげなく素敵なキスだったとしたら…
    夫と2人のベッドでのやりとりが もう…罵倒されるよりキツイ…

  • 夢だ。馬鹿げた夢だ。でも、たやすく叶えられるだろうこともわかっている。なにを捨てる覚悟もなく、私は彼に恋をしている。いずれ彼に捨てられる覚悟をしつつ、恋焦がれている。彼と抱き合う恍惚を、どうしても忘れられずにいる。

    やっと会えた、私の目の前に彼がいる。
    会えたら言いたいと思っていたことをー
    伝えたいと思っていたことを、私は一言も口にできない。涙すらこぼれない。今このとき、私の目は、彼を見つめるためだけにある。いっそ、なにもかも捨てることができたらいいのに。

  • こんないい恋愛小説読んだの久しぶり

    甘やかで、繊細で、それでいて鋭くて
    まっすぐ心に刺さってくる

    でも、その後広がるのは温かさ
    家族 夫婦 兄弟 恋人 友人 同僚

    さまざまな人と人とのつながりが丁寧に描かれているからでしょうか

    きれいな装丁も後押し
    私の本棚への仲間入りは決定です

  • 文章は読みやすく綺麗だし、腹違いの妹と、父親が違う弟がいるという設定は面白かった。
    ただ、ヒロインである波子の印象がふわふわと捉えどころのない印象で、夫の親友に惹かれる理由もよく判らない。
    不倫の話なのに、あまりドロドロとした感情表現もなく、全体的に甘く綺麗な感じがして、何だか違うなあという違和感を持った。

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著者プロフィール

野中 柊(のなか ひいらぎ)
1964年生まれ。立教大学卒業後、ニューヨーク州在住中の1991年に「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。小説に『ヨモギ・アイス』『小春日和』、『銀の糸』、『公園通りのクロエ』、『波止場にて』『猫をおくる』など、エッセイ集に『きらめくジャンクフード』など、童話に「パンダのポンポン」シリーズ既10巻(長崎訓子 絵)、『ようこそ ぼくのおともだち』(寺田順三 絵)、「本屋さんのルビねこ」シリーズ既2巻(松本圭以子 絵)、絵本に『赤い実かがやく』(松本圭以子 絵)など著書多数。『すてきなおうち』(マーガレット・ワイズ・ブラウン 作/J.P.ミラー 絵)など翻訳も手がける。

「2020年 『紙ひこうき、きみへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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