随想 春夏秋冬

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 22
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104004270

作品紹介・あらすじ

生きることのすべてが、小説に繫がっていた。歴史小説の大家が半生を回想する自伝的エッセイ集。蒲郡で育った少年の頃、運命のお見合い結婚、雑誌記者時代、音楽や競馬、旅行など造詣が深い多彩な趣味。そして妻と過ごす日々の生活。奇怪で、超人的なエピソードからも、小説への熱く、どこまでも真面目で、真剣な姿がにじみ出ている。これぞまさに小説の源泉。宮城谷文学を支えてきた記憶と私生活が、今、明かされる――。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、予想以上に面白かったです。
    本書、宮城谷昌光氏の随想となっていますが、つまり昔の様々な出来事を思い出しながら執筆されたエッセイ集と言えるでしょう。

    著者が、色々な出版物で依頼されたときの作品も多数含められているようです。

    著者本人も、一人の作家の随想なんて読んでも、読者はオモシロイとは思わないんじゃないかというようなコトワリを書かれていましたが、どうしてどうして、下手なショートショートを読むよりも格段に面白かったです。

    著者については、歴史作家のイメージで定着していましたが、意外な側面を多数紹介されていました。

    クラッシック音楽や陶磁器、カメラにのめり込んだ経歴の持ち主かと思えば、英語の学習塾をされていたり、かと思えば競馬で生計をたてていた時代もあるとか(笑)。

    しかしいずれにしても、そののめり込みようが半端ではない。しかも、好奇心のアンテナの感度が素晴らしい。反応しないかと思う対象にも、反応してしまったりする。

    博学で、しかもボキャブラリーが恐ろしいほど豊か。そして文章が美しい。カッコイイ作家ですね。よりファン度が増しました。

  • 氏の作品にしては異色。かなり笑わせられた。見合いの席で昌光氏が「今まで楽しかったことはありましたか」と問えば、聖枝氏は「何もありません」。昌光氏も「僕も」と応える。喋っている時間よりはるかに長い沈黙。また、細部を観察するあまり、どんな顔をしていたのかさえ覚えていないという有様。ところが脚を見て妻になりうると直感し1回の見合いで結婚を決める。何もかもが意味不明。真実をいたって真面目に書いているのだろうが捧腹絶倒の連続。英語が苦手なのに自虐性で英文科に入ったこと。大学4年間就職活動といったものを全然していなかったこと。若い頃のエピソードはどれも昌光氏らしい。ひょうひょうとして些かの虚飾もない宮城谷昌光氏。とってもいい。

  • 歴史小説作家 宮城谷昌光氏のエッセイ。見合いで妻を見て、一目で結婚することにした理由がユニーク。氏の私生活を垣間見ることができ、肩が凝らずに楽しく読み進めることができる。

  •  エッセイ集である。採録された物はこれまでこうして単行本としてまとめられなかったものばかりと思われるが、年代や初出の先がバラバラである。
     古くは91年の物から、最近では14年の物まで、元は小説新潮での連載が半ば以上を占めている。
     その意味で、前半の小説新潮連載分のまとまりに比べると、全体的にはやや雑多な感も否めないが、なんにせよ、ひさびさに宮城谷先生の随筆に触れさせていただいた。やはり上手い。描写の美しさに心惹かれるところなど、らしいなと。
     写実的な描写が写真趣味から来ているだろうことを指摘しているところなどは興味深く読ませていただいたし、見合いの話などの私的な話は初出であろう。

     ファン向けではあろうが、良い一冊だった。星としては四つ半と評価している。

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