博士の愛した数式

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7078
レビュー : 1320
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013036

感想・レビュー・書評

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  • 時にはくすっと笑わせられ、
    時には人の純粋さや温もり、愛情の深さにしみじみとさせられ、
    また時には、切なくて涙させられる物語。

    人を思いやり、純粋な気持ちで起こす行動は、
    なぜこんなに心を打つのだろう。
    博士のピュアな人柄と深い愛情に、胸が熱くなる。

    ルート君の観察眼の鋭さに思ったことは、
    子どもって、実はよーく物事を見ているのだということ。
    むしろ大人より、余計な価値観とか先入観なく、
    純粋に冷静に人を見ているかもしれない。

    どうせわからない、とか、まだ子どもだから、と見下さず、
    個性や意思のある一人の「人」として、
    誠意を持って接することが大切なのだろう。
    ルート君が母親に対して怒ったのは、
    博士を信頼しなかったことはもちろん、
    そんな理由もあるのではないかと思う。

  • よかったです。
    じんわりと胸打つ作品です。
    数学(数字?)にひらめく人って、
    何気なく見える数字の羅列に
    きちんと意味を見つけらるんだな、と
    うらやましくなりました。
    オイラーの定理は有名ですが、
    博士の提示する状況に「ここで!」と
    驚くと同時に「なるほど」でした。
    何度読み返しても胸が熱くなる作品です。

  • 良かった。
    数学の記述箇所はほとんど理解できないけれど。
    ラブストーリーってのはどうなのかな。
    まぁ、ラブはラブだろうけど。家族愛?
    読了感がとても良い。

  •  博士がルートを心配して家政婦の私を怒りつけるところがとても印象的でした。
     

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      最初に映画で観た「博士の愛した数式」
      とっても温かで、小川洋子の作品では一番好き。
      最初に映画で観た「博士の愛した数式」
      とっても温かで、小川洋子の作品では一番好き。
      2012/05/23
    • 君影草さん
      私は本で読んだだけで映画は見てないのですが、私もこの作品が大好きです!
      私は本で読んだだけで映画は見てないのですが、私もこの作品が大好きです!
      2012/05/24
  • 事故により脳の一部に損傷を受け、80分間しか記憶を保持できなくなった元数学者「博士」と、その家に家政婦として通う「私」、そしてその息子「ルート」の、心の交流のお話。

    小川洋子さんの文章は、すっと背筋を伸ばしてたたずむ、凛とした女性のような雰囲気。
    さわさわとした風が吹いて、水面に小さな波が続く湖のような静けさに満ちた作品。

    取り戻せないものが美しく切ないことを、改めて思い知らされる。
    出てきた数学の薀蓄は、ほとんど理解できなかったけれど…
    時間を忘れて読み耽り、読後。私のこころには、温かな感動がみちている。

  • 記憶が80分しかもたなかったら・・・


    今まで思いつきもしなかったことを
    優しい物語の中でじっくり考えました。

    いや、考えるって言うのはちょっと違うかな・・・

    まぁいいや。

    とにかく、優しい物語で
    博士が大好きになる本でした。

  • 私のだいっきらいな数学と、全く興味のもてない野球を、これほど美しく語れる本にびっくり!!

    とても幸せな気持ちになれる本

    どんなに自分の事をしていても、子供の為にはいくらでも時間を作る博士の姿勢は見習いたいな・・・

    そこにいるだけで、ただ愛すべき存在、娘の事を同じように思えば、愛情は必ず伝わるのかも・・・

    人に優しくなれない時、もう一度読もう!

  • 静かに噛み締めるみたいに幸福で、穏やかに切ない話。
    異名というのは自分を、今までそしてこれからもつきまとう“自分”から切り離して、異世界へつれていってくれる橋とか鍵とか、そういうものですね。よくも悪くも。

    幼いうちからきちんと自分に意味を与えられて、しかもそれが重責ではなく勇気や自信や誇りになるのは幸福なことだと思います。
    博士にもう二度と記憶されない、すべて思い出にならない。そういうことはたしかに悲しいですが、読後は負の感情は全くなく、むしろ温かく幸せな気持ちになれました。
    友人が「記憶は持続せず、覚えてもらえず、自分の存在は紙面上のものでしかないのに、それを未来の力に変えていける強さをもった少年(ルートくんのこと)でしたね。いい意味で数学の特徴なのかもしれないと今思いました。すっきりしている、引きずらない、そんな印象ですね。」と言っていました。そのとおり、一つの形としてその式が覚えられることはないですし、いままでに積み上げられ記憶されたやり方というもの以外はその一瞬、紙面上に存在し触れあうだけのもの、未来には繋がらない通過点ですから……。

    ガツンと意識を変える強さみたいなものでなく、そういう“想い”というものの強さがストレートに、水を飲んだときみたいに染み込んでくる作品でした。

  • 涙がとまらなかった。悲しいとか、そんなんじゃなくて、温かさとか優しさがたまらなくて。
    博士やルート、私のことが大好きになりました。

  • 「博士の愛した数式」
    記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した。


    物語は、記憶が80分しか持たない数学者「博士」、「博士」の身の回りの世話をする家政婦の「私」、そして、「私」の息子「ルート」を中心に回っていきます。80分という限られた時間の中で構成された「私」と「博士」の関係が、次の80分で0になり、また構築していく・・・、その繰り返しではあるので、一見淡々と進む物語のように思えます。


    しかし、「博士」の生業である「数学」と80分間で見せる博士自身の仕草や性質、そして、江夏という思いもよらない要素も相まって、物語がとても生き生きしているように感じます。また、台詞がとても良い。特に、表題に付いているように、「数式」の存在感は絶大でした。人間の生き方や付き合い方の素晴らしさと暖かさを感じれるような物語に、こうも馴染むとは、驚き。


    例えば、記憶が途切れる度、「博士」が「私」に尋ねる「私」に関する数字が、「博士」と「私」の関係の構築に綺麗に繋がる数字から人への流れに全く淀み無し。また、「私」に数学の面白さや美しさを教えた友愛数、「ルート」と「博士」の間に生まれた714と715、そして、「私」にとって形見であるオイラーの公式と、「博士」が残した数式や数学、数字は、いわゆるただの数字が並んだ無機質なものではなく、人の気持ちが込められた有機なものでした。


    また、「博士」と触れ合うことで、成長する「ルート」も印象的です。一番印象深いのは、「ルート」が「私」に怒った所です。子供は人知れず成長しているものだと、なんとなく実感。一人の数学者の物語であると同時に、一人の子供の成長の物語であるかのように、感じることが出来たのも、この「ルート」が「博士」から多くのものを吸収していったお陰で、無邪気さと純粋さ、素直さ、そして、ちょっとした大人心を兼ね備えた、まさに理想の10歳でしたw


    最後に、忘れてはいけないのは、「私」。温和な物語一本と思ったら、「博士」と「私」には、決して幸せとは言い切れない過去があり、「私」はその過去を背負って強く生きている、だからこそ、「博士」に対しても心から接することが出来ると思います。暖かさを感じれる登場人物の一人。「友達だから、「博士」に会いに行く」は良い台詞ですよね。


    一方、最後まで、しっくり来なかったのは、未亡人です。正直、全く意図が読めない。「博士」や「私」とは、ほぼ対極の人物として登場させただけなんでしょうか。それとも、「私」が考えたように、未亡人は未亡人なりの愛情を「博士」に持っていたのでしょうか。それにしては、ツンすぎるだろうw


    人の傍に数学を置ける著者の表現力に天晴れ。

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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