博士の本棚

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 327
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013050

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで、読んでいる間ずっと幸せだった。
    小川さんの語る本、知っていて読んだことのある本もあれば読みたいとずっと思っていてまだ読めていない本、ここで初めて知った本、何もかも愛おしく感じてひたすら読みたくなった。どの本も今すぐ読みたいよ。
    アンネの「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」に小川さんはあなたの望みはかなえられたのよ、とつぶやかれるが、小川さんの「博士の本棚やな並ぶ一冊を抜き取って、あまりにも夢中になりすぎて返却するのを忘れるような方がいらしてくれたら…(あとがきより)」に私はその夢めちゃくちゃかなってますよと思ってしまう。
    小川さんの本への愛、小説を書くということへの思い、そして小川さんが紡がれる美しく、それでいてフランクな言葉たちに心が圧倒されました。
    そして小川さんの紡ぐ日常に心が癒されました。

  • (ここにある本、全部読みたいなぁ)なんて図書館の本棚の間をうろうろしていて見つけた。

    (あ、本棚まるごと持って帰れる本だ)
    しかも、大好きな√博士の♪

    博士をこの世に誕生させてくれた著者の本への愛は、愛読書のみに留まらず、本を通して出会った人達の思いや言葉でさらに膨らみ、その世界感はぐんぐん広がってゆく。
    彼女が創造する物語に果てが見えぬほどの透明感を感じる理由がわかった様な気がした。

    • やまさん
      MOTOさん、こんにちは。
      懐かしい本に出合いました。
      この本は何回か読んだし、映画も見ました。
      良かったです。
      やま
      MOTOさん、こんにちは。
      懐かしい本に出合いました。
      この本は何回か読んだし、映画も見ました。
      良かったです。
      やま
      2019/11/07
    • やまさん
      MOTOさん、こんにちは。
      間違ったかも、「博士の愛した数式」では無かったかな(笑)
      ごめんなさい。
      やま
      MOTOさん、こんにちは。
      間違ったかも、「博士の愛した数式」では無かったかな(笑)
      ごめんなさい。
      やま
      2019/11/07
  • 至福の一時だった。
    始まりは小学校の図書室での思い出。
    静かな図書室で大好きな物語と向き合っている少女と、何も言わずにその時間を共有する司書の先生の関係がとてもうらやましい。

    愛に溢れた書評が多く、紹介されている本のほとんどを読んでみたくなったし、数は少なかったけれど読んだことのある本について書かれていると無性に嬉しかった。

    何度も読み返すことになると思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「愛に溢れた書評が多く」
      判ります。この本を読んだだけで、小川洋子がムッチャ良い人って気がしますから。。。
      「愛に溢れた書評が多く」
      判ります。この本を読んだだけで、小川洋子がムッチャ良い人って気がしますから。。。
      2012/04/05
    • takanatsuさん
      ですよね!私も小川洋子さんのこと前よりずっと好きになりました。
      ですよね!私も小川洋子さんのこと前よりずっと好きになりました。
      2012/04/06
  • 全編好きだなーと思えるエッセイに久々に出会えた気がする。『アンネの日記』と『中国行きのスロウ・ボート』をはじめ、読みたいと思える本がたくさんあった。

  • (2011.05.23読了)(購入時期・不明)
    本についての思い出、好きな本について、書評、等についてのエッセイを1冊にまとめたものです。「博士の愛した数式」の著者による本に関するエッセイ集に「博士の本棚」と名付けるとは何とも絶妙です。
    沢山の本を紹介してくれているのですが、小川さんに紹介されるとどれも読んでみたくなるのですが、小川さんのような感受性はないので、小川さんが感じたようには読みとれないだろうという気はあります。もし、小川さんが紹介していた本を読む機会があれば、その際は、小川さんの書評を読み返してみたいと思います。
    小川さんが、繰り返し言及している本がいくつかありますが、その中で印象に残ったのは、以下の三冊です。どれもまだ読んでいません。
    「アンネの日記」アンネ・フランク著
    「中国行きのスロウ・ボート」村上春樹著
    「富士日記」武田百合子著

    章立ては以下のようになっています。
    1、図書室の本棚 子供の本と外国文学
    2、博士の本棚 数式と数学の魅力
    3、ちょっと散歩へ 犬と野球と古い家
    4、書斎の本棚 物語と小説

    ●文学とは(103頁)
    もはや名前もわからなくなった人々を死者の世界に探しに行くこと、文学とはこれに尽きるのかもしれない(フランス人作家パトリック・モディアノ)
    ●小川さんの小説作法(103頁)
    これまで私が描いてきた人物たちには、ほとんどモデルはいない。一行目を書きつけ、実際に小説世界が動き始めるまで、彼らは名前もなく、輪郭もない存在として私の中を浮遊している。彼らがどこからやって来たのか、自分でもうまく説明できない。
    ただ、一個一個石を積み上げるようにして言葉を連ねて行くうち、次第に彼らは姿を鮮明に表わして来る。
    ●小学校の健康診断(116頁)
    私が本当に恐れたのは、保健室の先生ではなく、検査結果だった。もし座高がクラスで一番高かったら困る。きっと男子に笑われる。もし私の肺だけに何か妙なものが写っていたら?聴力検査のヘッドホンから、死んだ人の声が聞こえてきた場合、どうしたらいいのだろう。果たしてボタンを押しても構わないのだろうか。
    あるいは、私が台に上がった途端、機械が故障して、何千倍もの放射能が発射されるかもしれない。あるいは、歯医者さんがうっかり、私の喉の奥に、丸いミラー付きの棒を落とすかもしれない。
    次々と心配ごとがわき上がってくる。
    (こういう想像力が作家の資質なのでしょうか)
    ●棺に弁当(189頁)
    棺に納めるお弁当を作ることになった。死んだ人にお弁当を持たせるのは、聞いたことのない習慣だったが、考えてみればこれから長い旅に出発する人を見送るのだから、残ったものたちがお腹の心配をするのは当然のことだった。
    ●エゴン・シーレ(197頁)
    シーレはその時の私の心にすんなりと入りこんできた。特に人物画に引きつけられた。彼は数多くの自画像を残している。ほとんどが裸体だ。計算されつくした構図でありながら、装飾は一切はぎ取られている。しかも、愛する自己を他人にさらすことで完結する自画像ではない。拒絶の混じった目で自己を徹底的に分解し、その果てにあるものを引きずりだそうとするような裸体なのだ。
    ●「アンネの日記」(235頁)
    この日記が世界中で読み継がれてきた理由は、歴史的背景の意味を超える、すぐれた文学性にあると思う。思春期の少女の内面をこれほどまでに生き生きと描いた文学を、私は他に知らない。
    キティーという架空の友人に語りかけるスタイルを取ったことからもわかるように、アンネはただの一人よがりなつぶやきを書き記したのではなく、自分の世界を言葉で構築して他者に伝えようとした。十代はじめですでに彼女は、冷静さとユーモアを持った視点、個性的な観察力、言葉の豊かさなど、驚くべき資質を備えていた。

    ☆小川洋子のエッセイ(既読)
    「深き心の底より」小川洋子著、PHP文庫、2006.10.18(1999.07.)
    「犬のしっぽを撫でながら」小川洋子著、集英社、2006.04.10
    「物語の役割」小川洋子著、ちくまプリマー新書、2007.02.10
    「博士の本棚」小川洋子著、新潮社、2007.07.25
    「妄想気分」小川洋子著、集英社、2011.01.31
    (2011年5月26日・記)

  • 『博士の愛した数式』の著者、小川洋子さんの紡ぐ小説の背景にある本との出会いや出来事を記したエッセイ集。

    自身の体験や思いを織り交ぜながら、やさしく丁寧に語りかける。読んでいて、心が落ち着いていくのを感じる、そんな暖かい一冊です。

    【気になった本】

    武田百合子:
      ことばの食卓
      富士日記

    村上春樹:
      中国行きのスロウ・ボート

    ポール・オースター:
      ナショナル・ストーリー・プロジェクト
      偶然の音楽
      トゥルー・ストーリーズ

    村上春樹・柴田元幸:
      翻訳夜話

    レナード・ムロディナウ:
      ファインマンさん 最後の授業

  • 著者の本への愛情が感じられる。読書少女が文章を書くことに喜びを見つけ、それを続けて小説家にまでなった。読んだことのある本はほとんど無かったけど、作者の書評がなんだか読んで楽しかった。

  • 本や本作りにまつわる親愛や慈しみが溢れている。「翻訳者は妖精だ」なんて、素敵やなぁ☆

  •  こんなにも本が読みたいと思わせてくれる本の紹介に出会ったのは初めてだ。それは、堀江さんとか吉田篤弘とか、自分がいいなあと思った人たちが含まれていたからに違いないが、ついでに言えば、図書館で本に読みふける少女、が大人になったらこんなにも素敵な言葉で本を語れるようになった、ということへの羨ましさかもしれない。
     それにしても、私もこんな文章を書いてみたいと思わせてくれる作家の力はすごい。それだけ人間というのは思いを抱えて生きていて、世界は混沌としているということなのだろうと改めて思う。

  • 読みたい本がどんどん増える一冊だった。小川洋子さんとは、読書の趣味が合いそうだ。

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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