生きるとは、自分の物語をつくること

  • 新潮社
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レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104013067

作品紹介・あらすじ

物語は心の薬-人生の危機に当たっても、生き延びる方法を、切実な体験を語りつつ伝える。河合隼雄氏が倒れられる直前に奇跡のように実現した、貴重な最後の対話。

感想・レビュー・書評

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  • 「たくさんの中から選ばれた言葉か、
    唯一それしかもっていない人の言葉か、」

    という言葉に、ボキャブラリーが少ない私ははっとさせられました。対人援助職として、もっと言葉を身につけたい、と。

    選ぶことができるくらいの豊かさを、身につけたいと思います。

    また、カウンセリングは、
    「望みを失わない限り大丈夫」との言葉に勇気付けられました。
    支援する側が、決して望みを失わないこと。

    一冊を通して、多くの気付きがあり、多くの学びをいただきました。支援者として、心に刻みたいと思います。

  • 人は、生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていく(小川洋子)
    私は、「物語」ということをとても大事にしています。来られた人が自分の物語を発見し、自分の物語を生きていけるような「場」を提供している、という気持ちがものすごく強いです。(河合隼雄)

  • だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです。
    そうするとね、助けられる方はたまったもんじゃないんです。そういう時にすっと相手と同じ力になるというのは、やっぱり専門的に訓練されないと無理ですね。


    分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。その一番大事なものが魂だ、というのが僕の魂の定義なんです。
    分けられないものを明確に分けた途端に消えるものを魂という。

    やさしさの根本は死ぬ覚悟
    あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。

    命というものはそもそも矛盾を孕んでいるものであって、その矛盾を生きている存在として、自分はこういうふうに矛盾してるんだとか、なぜ矛盾してるんだということを、意識していくよりしかたないんじゃないかと、この頃思っています。そして、それをごまかさない。

    「その矛盾を私はこう生きました」というところに、個性が光るんじゃないかと思っているんです。

    そこで個人を支えるのが物語なんですね。

  • 生きるとは、自分の物語をつくること。小説を書くとは、誰かの物語を語ること、臨床心理士とは、誰かが自分の物語を語り直す手助けをすること。
    物を書いて仕事をする人になりたい、と子供の頃思っていた自分が、今は福祉分野で相談援助職を目指している。その繋がりがこれまで自分でも分からなかったが、この本で上記のことを二人が話しているのを読み、すとんと胸に落ちる思いがした。

  • 昔話や童話、神話が好きなのでその解釈に関する本を結構読んだことがあるけれど、タイトルでもある「生きるとは、自分の物語をつくること」というのは、今まで読んできた解釈をうまくまとめた言葉だなと納得。生きるということは、楽しいこともあれば、つらく哀しいこともあり、それはきっと現代でも人類が出現した頃の遥か昔でもきっと変わらない。そういった生をなんとか自分で受け止められるように、変えていけるように、物語が必要になってくる。
     昔カウンセラーを目指していた頃もあったけれど、こういう本を読むと、とてもなれない、少なくとも自分には向いていないと実感。人の物語をただ受け止め、どんな時も希望を失わずにただ寄り添うということの、なんと難しいことか。

  • 心理臨床家で文化庁長官を務められた河合隼雄先生と作家の小川洋子さんの対談集。
    小川さんの小説『博士の愛した数式』について語る河合先生は本当に楽しそうで、先生が感動されているのが、こちらにも伝わってきます。先生の笑い声や息遣いまで伝わってきそうです。
    箱庭、『源氏物語』、一神教と多神教についてなど、物語をつくる、物語を生きるという観点から生き生きと語られています。

    2006年6月のお二人の対談が結果的に最後の対談となってしまいました。その対談では、小川さんの『ブラフマンの埋葬』について河合先生が、ユングがブラフマンという言葉が大好きであることを紹介されて、次回の対談でそのことを話しましょうと提案されていました。河合先生が倒れられ、闘病を経て旅立たれたので、お二人の対談続きは読むことが出来ません。それはすごく残念なことであり、悲しいことです。しかし、対談は今でも続いているのではないかと思えてなりません。河合先生が亡くなられた故に、続いているのではないか、小川さんの胸中で。そして、新たに始まったのではないか、我々読者の心の中で。

    河合先生と小川さんの対話に、ハッとされられたり、唸らされたり。そのため本にはたくさんの付箋を貼らねばなりませんでした。その中でも、京都の国立博物館の文化財修繕の話しは、本当に身につまされる思いでした。

    布を修理するとき、後から新しい布を足す場合、新しい布が古い布より強いと古い布を傷つけてしまうことになる。人を助けようとする人は強い人が多い。そうすると助けられる方はたまったもんじゃない、と。

    河合先生が遺して下さった数々の心理臨床に関する著作を読み直さないといけない、そう感じさせられました。そして、小川さんの『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』も読んでみたいと思います。

  • 相手の気持ちを大事にする。
    人生に笑いを忘れない。

    望みを失ってはいけない。
    望みが持てなかったら?
    のぞみのないときはひかりです
    あ、のぞみのないときはひかりだ
    あ、こだまが返ってきた
    とのやり取りが機智に飛んだやり取りでとてもすき

  • 私の根っこのような一冊になった。
    おおげさじゃなく、夢見過ぎてるわけじゃなく、
    「自分の物語をつくること」なんだって思える。
    おだやかに、しなやかに、多くの気づきとともに
    自分の人生を歩むために必要な一冊。
    ・・・何か大きな流れの中の一部として、自分を捉えるような見方
    ・・・矛盾との折り合いのつけ方にこそ、その人の個性が発揮される
    ・・・光より速いものがあったんです。のぞみ。

  • 作家・小川洋子と臨床心理学者・河合隼雄の対談短編集。

    人の心を慮るプロと、描き立ち上がらせるプロの対談。
    心の深いところまで一緒に沈んでいく覚悟を持つ二人の、
    人間の弱さ・醜さ・身勝手さについての言及は、
    いろいろと救いに満ちてて、発見が多かった。

    河合先生が言っている文化財修繕の話が印象的。
    「例えば布の修理をするときに後から新しい布を足す場合、その新しい布が古い布より強いと却って傷つけることになる。修繕するものとされるものの力関係に差があるといけない。〜 人を助けにいく人はだいたい強い使命感があるが、助けられる人はそれだとたまったものじゃない。そういうときにスッと、相手と同じ力になるというのは、難しいこと。助ける人は、助けられる人と同じ弱さ、寂しさを持っている人じゃないと。」

    目から鱗でした。

  • 心に留まったメモ。「自分にはアースがある」「地球が聞き届けてくれる」その循環をこれからつくりたい。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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