- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104049028
作品紹介・あらすじ
「いままで誰にも言えなかった――」喪った最愛の人との“再会”の告白。「亡き妻があらわれて語った〈待っている〉という言葉が唯一の生きる希望です」「兄の死亡届を書いているとき〈ありがとう〉と兄のメールが届いて」「夫が霊になっても抱いてほしかった」――未曾有の大震災で愛する者が逝き、絶望の淵にあった人びとの心を救ったのは、不思議でかけがえのない体験の数々だった。“奇跡”と“再生”をたどる、感涙必至のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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震災の話、特に子供を亡くした話は辛い。
この本には私がいつも思っていること、それが書かれていた。
「大自然という大海の中に論理という網を投げて、引っ掛かってきたものが科学的成果で、大半の水は科学という網目からはこぼれ落ちるんだと物理学者の中谷宇吉郞は言ったが、そういう科学の限界点を知れば、お迎え(霊)が存在しないなんて恥ずかしくて言えないはずだ。」
「近代科学とは、たかだか四百年の歴史にすぎないのである。生命の歴史四十億年の中の、たった四百年なのだ。その程度の歴史で、理解できなければ排除することの方がおこがましいと言わざるを得ないだろう。」 -
私の祖父がなくなったとき、仕事の都合で葬式に間に合わなかった。実家で遺骨の祖父と対面した後、ふと携帯電話を見ると「着信あり」の表示。発信者は、昨日死んだはずの祖父の名前。ずっと誰にも言えなかった、この体験。何かの誤作動でそう表示されたと思い込むようにしていた。
この本を読んだとき、そんな思い込みなんて必要なくて、祖父が挨拶に来てくれたんだと、思うようになれた。
飛行機の中でこの本を泣きながら一気に読んでいたら、隣のバハレーン人が、心配したのかポテチやグミを私にくれた。 -
人がとても受け止めきれないような
過酷な経験をしたときに、
目の前に愛する人の手が差し伸べられたら
きっと私だってその手にすがるだろう。
たとえそれがもうこの世の人ではないはずの
手であったとしても。。。
3.11後の東北では
不思議な体験をした人たちがたくさんいたという。
もう繋がらないはずの携帯電話に相手が出たり
ふと気づくと津波で亡くなったはずの家族の気配を感じたり。
亡くなった人からのメッセージを受け止めて、
生き残った人たちは、やっと生きる希望を見出すことができたのだろう。
死者と生者の間に生まれたこの物語を
私は丸ごと受け止めたいと思う。
そしてこの本の中で語られた津波の体験談は
今まで読んだどの3.11関連の本よりも
その悲しみと悲惨さを深く感じた本でした。 -
東日本大震災から10年。
震災に遭われた方はどんな気持ちでこの10年を過ごされたのかと思いこの本を手にしました。
朝までいつもと変わらぬ生活を過ごし突然過ぎるくらい様変わりする町や景色。そして何よりも会えなくなるなど思ってもみなかった家族に突然会えなくなる気持ちは私が想像もできるはずもありません。でも少しでも知りたかった。そして本当に辛く苦しい体験をされたんだなと思うと自然に涙が出ていました。大切な家族の変わり果てた姿を突然目にするなんて堪らないでしょう。でも最後に会うことができたのは良かったように思います。一番辛いのは未だ行方不明で年数だけが経過し大切な家族の死を受け入れないといけないけど何も見つからない状態では受け入れられない。何も見つからなければ、いつかいつか帰って来てくれるのではないか、そしてどこかで生きているのではないかと思い続けてしまうだろう。改めて最後のお別れの大切さをこの本を読み感じました。
私は直接霊体験などはありませんが、目には見えないけれど私の周りに何か?誰か?がいて守ってくれている気が以前よりしていました。しかしその事を周りに話しても不思議がられてしまう状態だったんです。でもこの本を読んで亡くなったけれど魂はそこにあり見守ってくれていることはあるのだと胸が熱くなりました。私も数年前に父を亡くし葬儀後3日間全くたいてないないのに線香の香りが同じ場所からして、もしかして父親が側にいてくれているのかもと思ったんです。それはそうかもしれないし、そうではないかもしれません。でも父が私を見守ってくれていると信じたいです。肉体は無くなるが魂は生き続けていて亡くなった人が大切な人を見守ってくれている。私はこの本を読み強く感じました。 -
信じる信じないの次元ではなく、被災された方々のお話をきいて、うんうん、と頷く感覚で読んでいった。皆さんが生きていて、語ってくれて、よかったと思う。辛いとか悲しいとか感動したとかいう感じではなく、自然と涙が出た。
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霊界はある。肉体はなくなっても霊人として生きているというしか説明できない。
科学で説明しきれるわけでもない。
ただ落ち込んでいる時ではなく、前向きになった時に亡くなった家族が現れるのは霊界の決まりがありそうだ。 -
喪失に対する答えの出し方、ジェントルゴーストストーリーは生者の為に語られるもの。
津波の影響やらで遺体の未発見も多かった時期に語られる話は、かつての戦死者が会いにくる話と同じで多分日本人の深層なのかなぁ。
話すことで救われる事はありますよね。 -
東日本大震災で大切な人を亡くした人たちが遭遇した不思議な霊体験を聞き取り調査した記録。著者は、一人の人に最低3回は会うことにして体験に耳を傾けた。悲しい思いが幻覚・幻聴を招いたと言う人もいるかもしれないし、確かにそうかもしれないけれど、たとえそうだったとしても、「私がそう思うからそう」なんだと思う。
震災後、避難所で川の中州に幽霊が出たと聞いて避難所の人たちが懐中電灯を持って中州に詰めかけたという話を聞いたことがある。
幽霊だったとしても会いたい。切ない。
p236
それまで、中野いい人たちがみんな空の上に逝っちゃったから、死ぬのは怖くないと思っていたのに、あの光の柱のおかげで、自分が守られているなら、もっと生きてみようと思いました。