老後破産:長寿という悪夢

  • 新潮社
3.35
  • (11)
  • (32)
  • (55)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 353
感想 : 57
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104056064

作品紹介・あらすじ

「こんな老後を予想できなかった」――本書の事例は決して他人事ではない! 金がないので病院に行けない、食事は1日1食100円以内……。超高齢化社会を迎えた日本で、「老後破産」に陥る人々が増えている。普通に年金をもらい、自宅も所有、ある程度の預貯金……それでも生活の破綻は防げない! なぜ起こるのか、実態はどうなっているのか、予防策は? 驚くべき現状に肉薄した、衝撃のルポ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本の問題点、痛々しい現実を描いたルポ。
    不思議だなと思ったのは、死にたいと言いながら死にたくない人の多いこと。死に急ぐ必要はないけれど、いつまでも死なないつもりで生きるのは、死を恐れ続けることでもあり、より不安やしんどさが増すのではということ。
    恐ろしいところへ突き落とされる、というイメージではなく、元々いたところへ帰る、戻る、輪廻、と思えると多少違うような。
    現実に、お金がなくて、どこかしら病気で、誰にも頼れない、そんな状況になったら、そんなこと考えてもいられないのかもしれないけれど。
    ワーキングプアよりも、ワーキングもできないプアは、支援が必要。でも線引きは必要で、それを決断するのは政府で、それをする人を選ぶのは国民。
    学ぶこと選挙へ行くことが大事だな、と思う。

  • 重いです・・・
    日本人は誰もが読むべき本だと思いますね。。

  • 2017/5/23読了。
    老後破産についてはよく聞く機会があったが、ここまでリアルに現在老後破産に陥っている人の経験談を読むと、これが我が身に起きたらどんなに絶望するだろうかと。
    欧米化の進む日本の労働市場と、それについていけず旧態依然としている制度。
    すでに破綻しているこの制度を今後どうしていけば良いのか。
    まずは自分で自分を守らねば。

  • 図書館で順番が回ってきたのが、ちょうど「続・下流老人」を読み終わった後だったため、今現在大変な思いをしながら生きている高齢者のことや、自分自身のこれから来る老後について、いろいろ考える時間が続きました。

    本書はNHKスペシャルの取材班が数人の高齢者について取材し、TVで放送したものをまとめたものです。ある期間自宅や外出先などを一緒に行動したためか、取材者のそれぞれの方への思いが感じられる内容だったと思います。「長寿」という言葉があるように、長生きすることはおめでたいことでした。でも、そう言い切れない時代になってしまったのがとても悲しいです。早く死にたいと言う高齢者。救急診療で助けたことが本当にこの人のためになるのかと悩む医師。読んでいて胸が痛くなりました。

    「おわりに」の中で、番組放送後に「他人事ではない」と若い人たちからの反響があったとあります。「老後破産」が次の世代にも引き継がれていく問題について、取材班は取材を開始しているそうです。またTVで放送することで広く知られ、多くの案が出て「老後破産」の連鎖が止まることを願います。

  • 介護保険制度ができて、介護保険料を払うのは大変です。そして介護サービスを受けるのも大変だとか。使いたくても使えない介護保険って何なんだろうと思います。  病気は老後破産の入口、金の切れ目が介護サービスの切れ目。ひとりきりの老後、シビアですね。そして5m歩けなくなったら一人暮らしもできなくなってしまう。「外に出たい」という夢もかなわなくなってしまう。  健康長寿の大切さをつくづく感じさせてくれた本でした。

  • 今の仕事を辞めようと思って、いろいろ考えた時期があったのだが、仕事を辞めるとなると一番の不安がお金であることは当然だ。とりわけて、NHKのルポ番組をきっかけに流行した「老後破産」という単語は印象に残っていたので、いつか読もうと思ってはいた一冊。

    しかし、昨今のTV番組の質の低さを反映してか、基本的には「白い鳥を集めてきて、鳥は白いと主張する」類の論調で、御涙頂戴ドラマを作っているならいざ知らず、社会問題を提起するにしては論理構成が幼稚だ。生活保護を受けるために財産を処分しないと医療費負担が控除されず、逆にわずかであっても預金を積み崩す生活をしているうちは医療費3割負担が大きすぎて病院に行けない(ので、症状が悪化して社会負担は余計に大きくなる)という制度の問題は正しく指摘できているのに、全体的にはかなり残念な印象。

    昨今も貧困女子高生捏造(?)で話題をまいたNHKだが、この「指摘したい問題のために、無理やり事例を探してきて、番組を作る」というスタイルは、そろそろ改めた方がいいのではないかと思う。

  • 背表紙の見返しに、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(日本国憲法第25条)が記載されているように、生活保護以下の年金暮らしの人たちを紹介し、生活保護へと導く論調のように思えた。(生活保護を受ければ医療費もただになるとか)
    ただ、不正受給とかではなく、まじめに働いてきた普通の人たちがそのような事態に追い込まれていること、独身を通した人、家庭を持った人でも最後は一人暮らしになっていること、田舎でも表向き問題なく暮らしているように見えるが内実とてもひどい状況の人がいることなど、自分の将来に対しても非常に気が重く不安になった。
    現状、生活保護を受けるしか解決策がないが、生活保護もわずかの貯蓄や自宅があると受けられない。生活保護受給者がどんどん増加していることを考えれば、そう簡単に出してもらっても困ると思うが、個別の状況を見ると相当にひどい状況。公的債務も膨らみ、ではどうすればいいのか。解決策が見えない。

  • 日本という国をあげての切り捨てがおこなわれている。現代の姥捨状態について赤裸々に書かれていて衝撃だった。放送したモノをみてみたい。

  • 老後は年金で安泰なんて考えを覆されます
    現実の厳しい状況を目の当たりにし、今後を考えさせられ今の在り方を見直す事ができました。

    現在ニュースで流れたりしているお年寄りの万引き等、本来してはならない事ですが、これを拝見しそうせざるを得ない状況にもなっている方が増えてきているということを思い知らされました。


全57件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

NHKスペシャル取材班の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
稲盛和夫
トマ・ピケティ
北野 武
東山 彰良
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×