ヴェネツィア便り

  • 新潮社 (2017年10月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784104066131

作品紹介・あらすじ

ヴェネツィアは、今、輝く波に囲まれ、わたしの目の前にあります。沈んではいません。――あなたの「ヴェネツィア便り」は時を越えて、わたしに届きました。この手紙も、若いあなたに届くと信じます――なぜ手紙は書かれたのか、それはどんな意味を持つのか……変わること、変わらないこと、得体の知れないものへの怖れ。時の向こうの暗闇を透かす光が重なり合って色を深め、プリズムの燦めきを放つ《時と人》の15篇。

感想・レビュー・書評

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  • 開く、という短編が怖くて身震い。色々なジャンルの小作品が集められていて面白かった。夫婦の姿が印象に残る作品が多いと思った。

  • 短編集だが、どれも深い色合いを放って、骨董屋の店先にいるような気分になる。
    作者が60代にさしかかって以降の作品が多く、その歳になって見えてきたもの、若者の先の見えないがゆえの不安をいとおしみ、答えを与えてやりたいような気持ちなどが描かれている。
    幻想的な作品も多い。
    目次で、何編かごとにグループになっているように見えるが、似たテーマというか趣のものがまとめられているようだ。


    『麝香連理草(じゃこうれんりそう』
    匂うような名前、きれいな花だが…

    『誕生日  アニヴェルセール』
    どちらが兄か弟か…
    選んだ道によって別人になっていく双子

    『くしゅん』『白い本』『大ぼけ、子ぼけ』『道』
    結婚してたった一年、悲しい齟齬ばかり感じる夫婦。
    間違った人のところへいった本。
    残り物に福があった話。
    長年連れ添った夫婦の道。

    『指』『開く』『岡本さん』『ほたるぶくろ』
    夢幻の世界。オカルト。特殊能力を持った人が世間から隠れて生きなくてはいけないわけ。

    『機知の戦い』『黒い手帳』『白い蛇、赤い鳥』
    頭脳戦、心理戦…このあたり、ミステリの名手としての表現が冴える。
    偽物が本物に見える?それとも本物?

    『高み』『ヴェネツィア便り』
    あの頃の君へ、あの頃の自分へ。
    ふと、思いは過去に飛ぶ。
    自分は今に生きているのだけれど。

    ――――――――――
    「黒い手帳」、自分が主人公だったらと思うと脂汗が出る。
    コロンボや右京さんに「もう一つだけ」と言われる容疑者の心境…

  • 良かった。好きな作品集だ。表題作『ヴェネツィア便り』は、途中で誰と誰のやりとりかわかってから、またちがう感触になった。なるほど、時を超えて、か。俺がヴェネツィアに行ったのはたしか30代に入ったばかりのころだ。なんとなく読みながら思い出していた。時を重ねることの味わいを感じさせてくれるお話だった。

    好きだなと思ったのは『機知の戦い』。こういう日常の、事件というには、という中でのサスペンスは楽しい。いつか俺の人生でもあるだろうか(笑)?『黒い手帳』はデジャブを感じたんだけど、気のせいかと思ったら初出はyom yomだったんだね。ほんとうに読んでいたかもしれない。

    日常のミステリから、少しホラーチックなものまで、けっこう幅広い作品を収めている。全編とはいわないながら、小説や映画に対する知識、というよりも愛情がちりばめられているところがよくみられたな。最たるものは『機知の戦い』。俺、そういうの好きだから。ダールは読んでみようと思ったし。

    楽しい本だった。

  • サクッとじんわり滋味のある小品が並んでいて、気軽に読み終えることができました(^.^)

  • 北村先生の、知的でやわらかい文体がやっぱり好きだな。
    短編集で、少しぞっとするものからしんとするものまでいろいろ。私は表題作が一番好きです。10年くらいたってから読み直してみてもおもしろいかもしれない。

  • 続けて北村さん。いろいろの短編を収録した本でした。二人の人間が了解し合っている感覚とか、親愛の情とか、学生時台の断片的な記憶に伴う情感とか、簡単には言えないようなことどもをなんともいい具合に綴った作品集。しみじみいいなぁという作品の合間に、怖い!(人ならざるモノが)という話や、怖い!(偏屈な人間が)という話があって、ドキドキしながら読みました。こういうのいいなぁという穏やかな話と、ええええ怖いんですけど、、、、という話の振れ幅がけっこう大きかったです。

  • 15の掌編からなる短篇集。ショートショートも。帯に「プリズムの燦めきを放つ〈時と人〉の短篇集」とあるが,なるほど,老齢にさしかかった登場人物が若い頃の経験を回収する(ただの回想ではない,過去が当時とは違う色彩を持って見えてくる)ような物語が続く。ちなみに〈時と人〉というのは『スキップ』『ターン』『リセット』三部作に与えられた名前。ロアルド・ダールの短編をドラマ化したDVDが主要な役割を果たす「機知の戦い」を読んで気づいたのですが,北村さんの作品の中にもダールのスタイルを意識したものがあるなあ。

  • 個人的に外れなしの短編集。
    日常の謎が描かれた短編「機知の戦い」と
    「黒い手帳」がやはり秀逸でした✨
    まさに真骨頂ですよね(´艸`*)
    「白い蛇、赤い鳥」では「代作」というものを
    初めて知りました。臨時のゴーストライターと
    いう感じでしょうか。。

  • 粘着質な男が多かった気がする。「黒い手帳」の先生、怖いよ。本は持ち主のもの。売られたって文句言ってはいけない。そういえば、子供の頃双子はどちらが兄姉かって、友達と論争したな。周囲に双子はいなかったのに。「道」はいい夫婦、「機知の戦い」はやな夫婦。ホラーでも一流の北村さん、「開く」とか。「リリオム」、探して読んでみたい。

  • 短編集を読む時には、
    全てが自分に合うと期待せずに、
    いくつか入っている作品の中で
    「これは!」と思えるような作品が
    1つでも入っていることを期待する。

    今回も「??」と思うものの中に、
    「おぉっ」と思うものもあり。

  • 短編集。

    今、読み終わった直後の感想は…

    キラキラしたガラスやいろんなものが入った宝箱のような…本っていいなぁ。

    おやすみの午後にゆっくりと読めたのはラッキーでした。

  • 2008年〜2017年に発表された15編の短編を2017年10月新潮社から刊行。刻まれた時間に焦点をあてたストーリーで構成された短編集。心に引っかかりを覚える話が多く、「黒い手帳」は、夢に見そうな怖さがありました。

  • 「北村薫の作品を読める」という幸せを感じさせてくれる1冊でした。「この人はどうしてこんなにうまい文章が書けるのだろうか」と…。

  • 未来の自分へ宛てた書簡形式の表題作のほか、淡々としたあまり起伏のない短編が収められている。
    予想を裏切る急スピードの展開や、伏線がどんどん回収されていくカタルシスなど、派手な物語になれてしまっていたので、この彩度を抑えた世界観は久しぶりだった。
    北村薫氏らしい、と思う。

  • ??な短編も

  • 安定の北村薫。様々な小編が集まっていて盛りだくさんだった。
    ミステリ的な味付けがしてある「機知の戦い」が個人的に一番好みだった。

  • 15編収録。「白い本」と「岡本さん」が特に好き。
    <収録作>
    麝香連理草
    誕生日 アニヴェルセール
    くしゅん
    白い本
    大ぼけ小ぼけ


    開く
    岡本さん
    ほたるぶくろ
    機知の戦い
    黒い手帳
    白い蛇、赤い鳥
    高み
    ヴェネツィア便り

  • 久々に著者の作品を読んでみた。今作は、時がキーワードである短編集。時の流れとともに、場所の移ろいも変わり、そこで繰り広げられる物語と人々との関わりが描かれている。男女との関わりが大きな変化がなくとも、男性が女性を思いやり、好感を持って接している姿は良く、好感が持てる。女性もきっと幸せだろうなと想像してしまう。女性も様々なタイプがいるが、それを受け入れて接する男性は良い人だと感じる。手紙から伝わってくる様々な背景、人物との関わりを経て、ヴェネツィアへと繋がっていると感じる。

  • こわ~い話から心温かくなる話まで
    短い話からすご~く短い話まで

    でもどれもがギュウと詰まっている。

  • 短編集なのだが、連作のようにもなっていて不思議な感じだった。
    ヴェネツィアいってみたい。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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