旅ではなぜかよく眠り

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 19
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104067015

感想・レビュー・書評

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  • 「フォトコニカ」という雑誌に2年間近く連載されたものに、他の雑誌に掲載したものを合わせて1冊の本にしたもの。27の旅にまつわるエッセイと写真によって構成されている。「フォトコニカ」というのは、どういう雑誌だろう?コニカ社(現在のコニカミノルタ社)の販促誌のようなものだろうか。そうであれば、この本を読むと、旅に出たくなると同時に写真を撮ってみたくなるというものを目指したのであろう。「旅の時間を文章と写真で表現する」ことをコンセプトにしたエッセイ集だ。
    色々な場所が取り上げられている。
    ナポリ・ハンブルグ・香港・バルセロナ・上海・バリ島・ソウル・石垣島・アイルランド・大久保・四谷三丁目・ニューヨーク・子供の頃に住んだ町・どこかの動物園・ギリシャ・オスロ・ジュネーブ・ハワイ島。
    ご本人も「あとがき」に書かれているが、名所旧跡や景勝地を訪ねてみるという目的の旅ではない。なぜ、こういう場所を訪れたのか、そもそも筆者は、どういう暮らしをしている人なのか、本書を読むだけでは、そういったことは何も分からない。とにかくどこかに行ってみて、誰かや何かに遭遇することが旅、というシンプルな感覚を持たれているのだろうと思った。

  • 「アマクア」と「サリ・ジーン」がおもしろかった。
    旅はいい。

  • このところ「まとめ読み」を始めた『大竹昭子』さんの足跡をたどる読書の旅、その2。こういう時に、過去の出版物をチェックできる図書館の存在はありがたい。これは1995年に出版された「旅のエッセイ&ミニ写真集」。 巻末の初出一覧を見ると、1992年〜1994年にかけて企業のPR誌(『フォトコニカ』)などに発表されたものが主体のようだ。先日読んだ『アスファルトの犬』に描かれていた、ニューヨーク暮らしの裏話も入っている。書かれている内容は、タイトルどおり海外の旅先での出会いの話が多い。ヨーロッパから、アメリカ、そしてアジアまで、年代も様々なものが、一見、順不同に並べられている。 彼女の旅は基本的にひとり旅。言葉も通じぬ見知らぬ異国に、よくもまあふらりと出かけていくものよと、その勇気に恐れ入る。そうやって、自ら体験した印象的な旅先での記憶を、歯切れのよい文体で鮮やかにエッセイとして定着させている。 どのエッセイも書き出しに人を引き付ける魅力があり、さらに最後のワン・センテンスに込められた大竹さんの思いが、実にくっきりとその旅の印象を読み手に届けるのだ。心にくい巧さ。自ら撮影したという写真も独特の視点で、かなりレベルが高い。

  • 本に読まれて/須賀敦子より

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。小説、エッセイ、ノンフィクション、批評など、ジャンルを横断して執筆。短編小説集としては、本書は『図鑑少年』『随時見学可』『間取りと妄想』に続く4冊目。人間の内面や自我は固定されたものではなく、外部世界との関係によって様々に変化しうることを乾いた筆致で描き出し、幅広いファンを生んでいる。
写真関係の著書に『彼らが写真を手にした切実さを』『ニューヨーク1980』『出来事と写真』(畠山直哉との共著)『この写真がすごい』など。他にも『須賀敦子の旅路』『個人美術館の旅』『東京凸凹散歩』など著書多数。
部類の散歩好き。自ら写真も撮る。朗読イベント「カタリココ」を主宰、それを元に書籍レーベル「カタリココ文庫」をスタートし、年三冊のペースで刊行している。

「2022年 『いつもだれかが見ている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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