きよしこ

著者 :
  • 新潮社
3.75
  • (95)
  • (132)
  • (172)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 861
感想 : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 地元高校の課題図書として本屋さんに置いてあった重松清氏の「きよしこ」。
    吃音がある少年の物語。
    父親の仕事の関係で小学校だけでも5回も転校しています。
    無条件に周りから支えられているわけではなく、少年が一生懸命生きている姿をすごくリアルに描写されています。
    冒頭に書いてあるように、いつも傍に置いておきたい本でした。

  • 吃音症の少年きよしの小学一年生から大学生になるまでの物語。言葉をどもるということと、少年の心の奥の描写がとても深く描かれていて、痛いほどぐいぐいと迫ってきました。吃音症ではない子でも、言いたいことが伝えられなくてこんな気持ちになることがあるんじゃないかな。子どもにはもちろん、先生方に読んで欲しいと思いました。転校を何度も繰り返し、その度に自己紹介。言いづらいきよしのき…。うまく言おうとすればするほど息継ぎがおかしくなり、つっかえてしまいます。言葉にならない思いや悔しさは時に爆発し、周りを戸惑わせます。けれどいつだってどこかにわかってくれる人がちゃんといてくれて…(変わった人が多いけど、だからこそ人って見かけで判断できない)とくに「北風ぴゅう太」の先生が印象的でした。こういう繊細な気持ちに思いを重ねることができる(自分をわかってくれる人がいると強く思える)のは、やはり本だなぁと改めて本と読書のよさを感じることができる小説でした。

  • 『感想』
    〇伝えたいことを伝えられない、それは吃音でなくてもぶつかる壁である。また伝えられない誰かを慮ってその思いを引き出すことができる人になりたいと願う。傍にそんな人がいてくれるなら、幸せなことだな。

    〇少年の成長を追っていきながら、自分の青春時代を思い出したりして感傷的になる。そして7話の成長場面がある中で、決して少年にとって良い結末でないところがまた心を打つ。人生思いどおりにならないからこそ意味がある。だからこそ成長できるんだ。

  • 吃音を持つ、転勤族の少年を描いた自伝的な連作短編集。
    綺麗なだけでなく切実な痛みの残る「乗り換え案内」「ゲルマ」が印象深い。

  • 吃音で悩んできた自分にとっては大きな一冊

  • 吃音と一緒に大人になった少年の物語。

    父親の仕事の影響で、引っ越しを繰り返す少年。
    吃音に理解のある大人もいたし、吃音を笑うやつもいた。吃音なんて関係なく付き合える友だちもいたし、野球で通じ合った仲間もいた。

    そのすべてが少年の心をつくった。
    少年が小学生だった頃から、大学入学するまでの部分的なお話。

    ----------------------------------------------

    吃音がテーマ。
    物語のなかで、少年が何度が怒りを抑えられなくなる場面がある。それは吃音を笑われたときでも、引っ越しでつらい思いをしたときでもなくて、正しすぎる優しさのようなものに接したときだ。
    もしかしたらそれは真心のようなものだったのかもしれない。慈愛とか優しさだったのかな。でも、そういうもの向けられることが当事者にとってはすごくつらいこともある。


    ここ数か月、ドラマ『あまちゃん』を観ている。現在放送分までだと、2011年3月11日のあの大地震が起こり、舞台である岩手県も大きな被害を受け、復興作業をしている様子が描かれている。
    ドラマのなかで、復興に投資するお金持ちプロデューサーは「どうせ売名行為といわれる」と言いながらボランティアに出かけ、有名女優は「被災者のひとにわるい」と言って何もできなくってしまう。
    被災地以外のひとの震災に対するリアクションは多種多様だ。どれが良くてどれが悪いとかじゃなくて、色んな感じ方があるということ。


    「愛は地球を救う」をテーマに掲げる24時間テレビも同じ。感動するひともいるし、困難に対してポジティブな姿勢で立ち向かうひとを見世物にするやり方が気に食わないひともいる。色んな感じ方があるのだ。

    個人的な意見としては、24時間テレビの雰囲気は苦手。
    ダウン症の子たちとアイドルが踊ったりするのを毎年放送してるけど、見世物というよりも「ダウン症なのにすごい。ダウン症なのに偉い」という視点に腹が立ってしまう。いったい何様なんだ、健常者であることが偉いのか、そもそも健常って何なんだ、と考えていつも落ちこんでしまう。サポートが必要なひとのためにお金を集めたりする行為は素晴らしいと思うけど。
    すごく難しい。これを書いてるうちに落ちこんできた。


    感じ方はみんな違う。
    かわいそう、と同情されるのが嬉しいひともいるだろうし、馬鹿にするなと怒るひともいる。

    吃音のことを、かわいそうと言われた少年は怒る。
    言った女の子は優しくて真面目な子だった。馬鹿にするつもりもなかった。
    でも、少年は怒った。

    謝られたり慰めたり励ましたりされるとつらくなる。みじめな気分になる。相手はそんなつもりじゃないけど。だからこそつらい。
    すごくすごく難しい。

  • 小編連作で吃音を抱える少年の成長を描いた作品ですが、独特の雰囲気がありますね。著者自身の投影でしょうが優しい仕上がりだと思います。「それが、君のほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」著者の声が聴こえてきます

  • 泣ける短編集。重松清はすごい。なんでこんなに子どもの気持ちを丁寧に描写できるんだ。

    夏休み、吃音を矯正するセミナーで毎日主人公の少年にちょっかいを出してくる「加藤達也」。

    無神経で上から目線で決めつけて話すおばさんの先生に、少年が机をガタガタ震わせて抗議すると、加藤達也も呼応するようにがたがた体を痙攣させて声をあげたところが、涙が出てきた。

    吃音のためにうまく話せなくても、話したいことがない訳ではないんだということが、すごく伝わってきた。

  • 【伝えたいことを伝える難しさ】

    吃音を抱えている少年「きよし」は自分の思っていることをうまく話すことができません。本当に自分がほしいものを伝えられなかったり、緊張すると吃音がひどくなったり、吃音をまわりの同級生達に馬鹿にされたりします。

    うまく喋れないということは、自分の言いたいことを伝えられないということなのですね。吃音がなくても伝えるのは難しい時がありますが、さらに難しくなる。でも「本当に伝えたいことは、伝わる」と著者は伝えたかったようです。

    初めて読んだのは10年くらい前でしょうか。その時はなんだか暗い印象を受けて、読むのが辛いなあと思った記憶があります。

    久しぶりに手に取って読んでみたら、確かに少年が苦しんだり悲しんだりしているのは辛いのですが、「きよし」は引越ししてきた友達に優しくできたり、ちゃんと東京の大学に行きたいと自分の言葉で言ったりしているのをあらためて読んで、少年の成長物語で暗いお話ではありませんでした。

  • 読んで思い出したけど、そういえばうちの兄は吃音だった。
    明るくて友達の多い人だから、そんなの忘れてた。
    どもるけど、それをおかしいと思うこともなく、うちの兄なんだよなとだけ思って生きてきた。

全128件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年に『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。小説作品に『流星ワゴン』『愛妻日記』『カシオペアの丘で』『赤ヘル1975』など多数。

「2020年 『ルビィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

重松清の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

きよしこを本棚に登録しているひと

ツイートする
×