きみの友だち

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2212
感想 : 446
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075065

感想・レビュー・書評

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  • 魔法の薬屋 魔法の小瓶さんから紹介していただいた本です。『小中学生が主人公の本』というリクエストで選んでいただきました。小瓶さん、ありがとうございました。

    松葉杖の恵美と、その弟・ブンを中心とした小中学生のお話です。
    四年生の時、交通事故で松葉杖生活になった恵美は、それ以来友だちとギクシャクしてしまい孤立してしまう。でもたった一人、友だちができた。

    九つの短編と後日談で構成された一冊。
    それぞれの短編は恵美やその周りの子たち、ブンやその周りの子たちを主人公に年齢は小学生の時だったり中学生の時だったり。
    ブンのパートの時は成長した恵美が登場して、自分の経験から弟やその友だちに深みのある言葉をかけてくれるのです。これがグッときます。
    色々なタイプの子たちが主人公になるので、感情移入できる話が誰でも一つは見つかるのではないでしょうか?
    小中学生の時の学校でのやり取りがリアルに描かれているので、なんだか読んでいてソワソワしてしまいました。
    あ、こういう子いた‥‥とか、あ、私もこんなこと言っちゃったことある‥‥とか。

    私は『ぐりこ』の話が好きだったなぁ。
    ジャンケンして、ぐりこ、ちよこれいと、ぱいなつぷる。たまにしか勝てないのにグーでしか勝てない。なんだか損した気持ちになる。でも「ゆっくりでいいじゃん、ちょっとずつで」

    全編を通して全ての主人公に『きみ』と語りかけるのがとても優しくて、あぁ重松清さんだなぁ、と、とても優しい気持ちで本を閉じました。
    本当に読んで良かった!小瓶さんありがとうございました!

  • 学校という社会で日々もがいている子たちの物語。
    ‘みんな’というくくりになると、なぜかそれはある種の鋭さを持って誰かを傷つける。
    ‘みんな’から外れて、自分一人になったとき、客観的に‘みんな’の中のあの子やこの子を見つめる恵美。そして沢山の友だちはいらない、本当の友だちが一人いればいい、ということを知る。
    その本当の友だちとはずっと一緒にいられないかもしれないけれど。
    色々な子を主人公に綴られる短編集だが、それぞれがゆるやかに結びつき、最初と最後の主人公である恵美が、様々な年齢で脇役となって登場する。
    ガラスの十代とは言ったもので、脆くて鋭いこの年齢を生きる子たちに、前に進むための…作中の言葉を借りるならば…「ヒント」となる物語であって欲しい。
    2018.5.7

  • 恵美は、もともと友だちが周りにたくさん群がる人気者だった。
    でも、交通事故にあって松葉づえなしには歩けなくなってから、友だちに壁をつくり、そのうちにひとりぼっちになる。
    孤独を邁進する恵美は、身体が弱くおっとりした由香と、あることをきっかけにして絆を深めていく。

    主人公の「きみ」ごとの短編。少しずつつながって、最後に大きなひとつの物語となる。
    ・あいあい傘(恵美)
    ・ねじれの位置(恵美の弟のブン)
    ・ふらふら(恵美のクラスメイト・八方美人の堀田ちゃん)
    ・ぐりこ(ブンの友だち、お調子者の三好くん)
    ・にゃんこの目(恵美のクラスメイト・友だちに彼氏ができたハナちゃん)
    ・別れの曲(ブンの先輩・いきがってるけどダメダメな佐藤くん)
    ・千羽鶴(恵美のクラスメイト・いじめで転校してきた西村さん)
    ・かげふみ(ブンの親友兼ライバル・コンプレックスむくむくのモト)
    ・花いちもんめ(恵美と由香)
    ・きみの友だち(語り手)

    「きみ」に対する語りかけで始まる独特な書き出し。
    「きみ」は、弱虫で、認められたくて、寂しくて、コンプレックスの塊で…。誰もが覚えのある、ふがいない自分自身への呼びかけでもある。
    どの子にも、かつての「自分」がいた。

    そして、各章は、女子と、男子とが順番に並ぶ。
    有川浩さんが「ひろ」で女性で、荒川弘さんが「ひろむ」で女性で、それぞれびっくりしたことがあったけれど、重松清さんも実は「きよ」で女性だったのか!?
    と、奇天烈なことを思いついてしまうほど、中学生、思春期の女子の面倒くささや心情の動きがこまやかで。
    女子の友だち関係と、男子の友だち関係って、だいぶ違うんだな。
    みんなに交じっていれば安心なのに、「みんなぼっち」、みんなといるのに孤独、という女の子。
    あいつに認められたくて、でもあいつにかなわない俺を直視したくない男の子。

    最後に語り手が登場するんだけれど、この最終章だけはちょっと微妙と思ってしまった。
    個人的には、語り手は表に出てきてほしくなかったなぁ。
    その最終章は抜きにして、実に重松さんらしいすばらしい作品だった。
    「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」
    「わたしは『みんな』って嫌いだから。『みんな』が『みんな』でいるうちは、友だちじゃない、絶対に」

    私にとって、もう友だち関係であれこれ悩むような日々は去ってしまったけれど、友だち関係に現在進行形で悩む子たちにはぜひ読んでもらいたい。

  • 小学生の時に手に取って、それからずっと大好きな1冊。
    青春のもどかしさと高慢と切なさと儚さと…
    読む度になんとも言いがたい気持ちでいっぱいになります。
    重松清さんの絶妙な心理描写には毎回引き込まれます。
    人生で1回は手に取って欲しい本です。

  • 語り部が誰かわからないまま進む、学生生活と友達関係の微妙な機微を色々なシチュエーションからこれでもかこれでもかと描かれます。基本的に足の不自由な恵美ちゃんと、腎臓の病を抱えている由香ちゃん、恵美ちゃんの弟でなんでもできちゃう明るい青春を謳歌しているブンちゃんを軸に、同級生たちがあっちへくっつきこっちへくっつき。集団からはじかれ一人ぼっちになり、また誰かが弾かれた事により元のさやに。
    今思うと学生時代は友人関係がいつも修羅場だった気がします。小さな躓きが全体に伝播したりしてろくなことが無かった。心の許容範囲が狭いです学生時代って。学生時代に戻りたいなんてこれぽっちも思いません。今が一番楽しいです。
    恵美ちゃんが「友達ってなに?」って何回も問い掛けますが、あの頃思っていた友達と今欲しいと思う友達って全然違う。ただ単に同じ学年同じ教室に配分されて、選択の余地もなくその中からくっつくなんて殺生だと今思います。どこでも渡っていける子はいいけれど、どうしても不器用で上手く渡って行けない子も必ず一定数いますよね。この本の中でも人の顔色を伺わなくてはいけない子たちがひたすら四苦八苦しています。ブンは基本なんでも出来ちゃうスーパースターなので悩みのベクトルが全く違うので、感情移入はしつつも大多数はその他大勢の悲しきモブキャラに哀愁を覚えます。

    今では偉そうな事を言っている会社の上司や、それらしいことを語っている同僚も大抵は子供時代に省かれたらというような卑小な悩みで右往左往していたはず。子供の頃は自分を守る為に人を売るなんて日常茶飯事です。そんな時期を思い出して美しくうっとり出来る人は相当いい青春を送ったか、罪悪感を感じず生きる事が出来るラッキーマンでしょう。今思い出しても、へらへらと難を逃れようと強者に追従したりしていた自分を思い出して悶絶しそうです。

    この本読んでいると、多数に受け入れられるよりも心の通い合う友達が一人いればいいと思えます。SNSが発展したこの現代、子供たちはどんな風な友達関係を構築しているのでしょうね。
    僕も今ならもっと苦しかっただろうな。
    頑張れ現代の引っ込み思案な子供たち。君たちみたいだったおじさんも楽しく生きているよ。きっとそこを通り抜ければ楽しい事もあるから何とか通り抜けるんだ。

  • 社会問題となっているいじめなどの問題に、マイペースで肩の力を抜いて、気の合う人とだけ付き合えば良いこと、社会に出れば実はみんなそうしてることを伝えてるのだと思う。学校という世界では、100点を取って、みんなと仲良くできることを優秀と呼ぶんだけど、それも足が速い、絵が上手い、人を思いやれる、優しい、と同じ単なる1つの能力、長所なだけなんだよな。。そこだけがやたらフォーカスされるからバランスが悪く、居心地が悪くなる。嫌なことなら逃げてよいんだよ。逃げ方も人それぞれでよいんだよ。

  • この中の「きみ」のひとりは私かも知れない。今そのただ中にいる「きみ」にはヒントになるかも知れない。

  • 友だちって何なんだろう。
    自分がいま友だちと思っている人は、学生時代の派閥みたいなものからは自由になって、本当の友だちだとは思うけど、恵美と由香ほどの仲かと言われると自信がない。
    でも比べることはできないし、私は私、彼女は彼女、彼は彼、と認められる存在ならどな仲だっていいのかもしれない。

    それにしても、花いちもんめってシビアな遊びだ。
    あの頃怖れつつも笑いながら参加していた私は、堀田ちゃん的立ち位置だったのかも。
    人の痛みをちゃんと感じられる人になりたいって、いい大人な年齢で今さらだけど思う。

  • 友だちという言葉、クラスの子、いつも一緒にいるみんな。みんなが友だち、そう使う子がほとんど。
    でも、何かあったとき、みんなのなかにいる友だちは豹変する。
    だって、みんなが。と言わない子は本当の友だちと恵美は思う。
    交通事故にあったのは、自分のせい。でも、きっかけはみんな。それを責めて、ミンナノトモダチをなくしたけれど、そうしてわかったことと。最後に残ったもの。
    どっちが絶対にいい。とは思わないけど、なにかつまづいたときに、こういう見方もあるんだよと教えてあげられるような、そんな話

  • 一度読んでおきたいと思っていた作品

    大人のそれと違って、子供にとって必ず向き合うことになる友だちって何かという問題
    言葉にするのは簡単なのに、実際にはどうなのかわからなくなるそんな話です

    「友だち100人できるかな」、実際につくることはできるけれど、それって本当の友だち?
    自身も「みんな」の外にいた存在でした、友だちはいたのかな?

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著者プロフィール

1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年に『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。小説作品に『流星ワゴン』『愛妻日記』『カシオペアの丘で』『赤ヘル1975』など多数。

「2020年 『ルビィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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