きみの友だち

著者 :
  • 新潮社
4.13
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本棚登録 : 2436
感想 : 463
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075065

感想・レビュー・書評

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  • 重松清さんの本だから間違いなく泣くのは分かってて読み始めた。
    短編集かと思ったら、2人の姉も弟を中心とした周囲のお友達の悩みとか色々。
    時間軸が行ったり来たりするのが不思議だったけど、最後まで読めば納得。
    思春期の難しい年頃の子の胸の内がよく表現されていて、あの頃はそれが全てで息苦しかったなぁと懐かしくも苦くもあり。
    友達って本当難しい。
    娘達も友達関係悩むことも多いけど、一生の内に親友だと思える人が1人でも見つかったらそれでいい。と言っている。
    普段滅多に会えなくても、連絡取らなくても、その子を思い出せば「よし!」って思える相手が1人いればそれでいいと思ってる。

  • 魔法の薬屋 魔法の小瓶さんから紹介していただいた本です。『小中学生が主人公の本』というリクエストで選んでいただきました。小瓶さん、ありがとうございました。

    松葉杖の恵美と、その弟・ブンを中心とした小中学生のお話です。
    四年生の時、交通事故で松葉杖生活になった恵美は、それ以来友だちとギクシャクしてしまい孤立してしまう。でもたった一人、友だちができた。

    九つの短編と後日談で構成された一冊。
    それぞれの短編は恵美やその周りの子たち、ブンやその周りの子たちを主人公に年齢は小学生の時だったり中学生の時だったり。
    ブンのパートの時は成長した恵美が登場して、自分の経験から弟やその友だちに深みのある言葉をかけてくれるのです。これがグッときます。
    色々なタイプの子たちが主人公になるので、感情移入できる話が誰でも一つは見つかるのではないでしょうか?
    小中学生の時の学校でのやり取りがリアルに描かれているので、なんだか読んでいてソワソワしてしまいました。
    あ、こういう子いた‥‥とか、あ、私もこんなこと言っちゃったことある‥‥とか。

    私は『ぐりこ』の話が好きだったなぁ。
    ジャンケンして、ぐりこ、ちよこれいと、ぱいなつぷる。たまにしか勝てないのにグーでしか勝てない。なんだか損した気持ちになる。でも「ゆっくりでいいじゃん、ちょっとずつで」

    全編を通して全ての主人公に『きみ』と語りかけるのがとても優しくて、あぁ重松清さんだなぁ、と、とても優しい気持ちで本を閉じました。
    本当に読んで良かった!小瓶さんありがとうございました!

    • yhyby940さん
      初めまして。「いいね」を頂き、ありがとうございます。重松清さんは、どうして子供の心をこんなに巧みに表現できるのか不思議に思います。確かに読ん...
      初めまして。「いいね」を頂き、ありがとうございます。重松清さんは、どうして子供の心をこんなに巧みに表現できるのか不思議に思います。確かに読んでいて、こんな子いたなあとか自分が、こうだったとか思わせることが多々ありますよね。
      2021/09/23
  • 小中学生を主人公にした短編集。第一話では、交通事故で松葉杖が必要になった恵美ちゃん(小5)が主人公。他の作品も、恵美ちゃんのクラスメイトとか、恵美ちゃんの弟のブンちゃんやその友達が主人公になっており、時間軸もずれている。
    クラスのボス的な女子の存在とか、いつ仲間はずれのターゲットにされるかわからない理不尽な環境とか、できる奴とできない自分、などなど、小中学生時代のあるあるが詰まってます。
    なぜか私にはイマイチでした。

  • 学校という社会で日々もがいている子たちの物語。
    ‘みんな’というくくりになると、なぜかそれはある種の鋭さを持って誰かを傷つける。
    ‘みんな’から外れて、自分一人になったとき、客観的に‘みんな’の中のあの子やこの子を見つめる恵美。そして沢山の友だちはいらない、本当の友だちが一人いればいい、ということを知る。
    その本当の友だちとはずっと一緒にいられないかもしれないけれど。
    色々な子を主人公に綴られる短編集だが、それぞれがゆるやかに結びつき、最初と最後の主人公である恵美が、様々な年齢で脇役となって登場する。
    ガラスの十代とは言ったもので、脆くて鋭いこの年齢を生きる子たちに、前に進むための…作中の言葉を借りるならば…「ヒント」となる物語であって欲しい。
    2018.5.7

  • 本当にいい話でした。本当の友達とはなにかそんなことが分かりました。特に年頃の女子に読んで欲しいです。

  • ずっと子どもの頃の記憶と重なってた。理解できない物語(出来事)は一つもない。みんなもそうだと思う。切なくて残酷で、悔しくて恥ずかしい。読みながら寝落ちして怖い夢を見た。懐かしく心の傷が痛み続けた。

  • 思春期の頃、似通った事は多かれ少なかれ、あったような気がします。
    友達との関係に悩んで、邪魔くさくなったり。

    「ほんとうに悲しいのは、悲しい思い出が残ることじゃないよ。思い出がなにも残らないことがいちばん、悲しいんだよ。だから、わたしは、いま幸せだよ」っていうフレーズ。
    なんか良かった。

    「きみ」が色々入れ替わりながら話が進むのが少しややこしかったかな。

  • 小学生の時に手に取って、それからずっと大好きな1冊。
    青春のもどかしさと高慢と切なさと儚さと…
    読む度になんとも言いがたい気持ちでいっぱいになります。
    重松清さんの絶妙な心理描写には毎回引き込まれます。
    人生で1回は手に取って欲しい本です。

  • 語り部が誰かわからないまま進む、学生生活と友達関係の微妙な機微を色々なシチュエーションからこれでもかこれでもかと描かれます。基本的に足の不自由な恵美ちゃんと、腎臓の病を抱えている由香ちゃん、恵美ちゃんの弟でなんでもできちゃう明るい青春を謳歌しているブンちゃんを軸に、同級生たちがあっちへくっつきこっちへくっつき。集団からはじかれ一人ぼっちになり、また誰かが弾かれた事により元のさやに。
    今思うと学生時代は友人関係がいつも修羅場だった気がします。小さな躓きが全体に伝播したりしてろくなことが無かった。心の許容範囲が狭いです学生時代って。学生時代に戻りたいなんてこれぽっちも思いません。今が一番楽しいです。
    恵美ちゃんが「友達ってなに?」って何回も問い掛けますが、あの頃思っていた友達と今欲しいと思う友達って全然違う。ただ単に同じ学年同じ教室に配分されて、選択の余地もなくその中からくっつくなんて殺生だと今思います。どこでも渡っていける子はいいけれど、どうしても不器用で上手く渡って行けない子も必ず一定数いますよね。この本の中でも人の顔色を伺わなくてはいけない子たちがひたすら四苦八苦しています。ブンは基本なんでも出来ちゃうスーパースターなので悩みのベクトルが全く違うので、感情移入はしつつも大多数はその他大勢の悲しきモブキャラに哀愁を覚えます。

    今では偉そうな事を言っている会社の上司や、それらしいことを語っている同僚も大抵は子供時代に省かれたらというような卑小な悩みで右往左往していたはず。子供の頃は自分を守る為に人を売るなんて日常茶飯事です。そんな時期を思い出して美しくうっとり出来る人は相当いい青春を送ったか、罪悪感を感じず生きる事が出来るラッキーマンでしょう。今思い出しても、へらへらと難を逃れようと強者に追従したりしていた自分を思い出して悶絶しそうです。

    この本読んでいると、多数に受け入れられるよりも心の通い合う友達が一人いればいいと思えます。SNSが発展したこの現代、子供たちはどんな風な友達関係を構築しているのでしょうね。
    僕も今ならもっと苦しかっただろうな。
    頑張れ現代の引っ込み思案な子供たち。君たちみたいだったおじさんも楽しく生きているよ。きっとそこを通り抜ければ楽しい事もあるから何とか通り抜けるんだ。

  • 花いちもんめの
    「由香ちゃん。
    あんたが、欲しい。」
    というところが良かった。

    言い回しがちょっと難しかった。

    友達っていうのは、不思議な関係だと思った。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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