介護現場は、なぜ辛いのか 特養老人ホームの終わらない日常

  • 新潮社 (2009年5月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784104083046

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

介護現場の実情とその問題点を深く掘り下げた本であり、著者の実体験に基づくリアルな視点が魅力です。特別養護老人ホームでの短期間の勤務から得た知見をもとに、介護職員の待遇や人材の流動性、マニュアルの欠如と...

感想・レビュー・書評

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  • 一日で読み終えてしまったが、早く読み終えたかったんだと思う。2つの意味で何やら読後感も読中感も悪い本だった。
    一つ目は、この本の言わんとするところであろう介護現場の悲惨さ。高齢者が尊厳なく扱われている様子、人の末路として悲しくなる認知症者の様子、安い給料で身を粉にして働く介護職のこと、モラルも意欲も低い介護職の仕事ぶり……。
    日本の社会保障は世界一だという。それでもこの体たらく。“名誉ある”平均寿命世界一の裏側はこんなもんなわけで、その現実がわかってきている今、長生きしたいと思う人なんてそういないだろう。でも、生きてしまうわけだし……。
    それから、書中に出ていた介護職の「介護とは、死んでいくまでのお手伝いをする仕事」みたいな言葉も衝撃的だった。でも確かにそうで、医師や看護師の仕事は治す、つまり今よりよくする面があるけれど老化は不可逆。だから、介護っておおかたは治る見込みのない人の最後を支えることになるんだ。
    2つ目に思ったことは、この本に対する「なんだかなー感」。現場に入って問題点を巷間に晒すことはそれなりに意味があるのかもしれないけど、著者は5か月、特養で夜勤なしのパートで働いて、しかも最後はオムツ交換がやっぱりできないという理由でやめたようなもの。いろいろ提言したりもするけれど、それだって正義漢ぶって理想論をかざしているようでもある。介護現場は、物が整理されず、わかる人にしかわからない「女の台所」とも言ってたなあ(一人暮らしの男の部屋だって同じだろうに)。
    挙句の果てが、状況を解決するには介護職の賃上げしかないって。賃金が上がるだけで、介護職の専門性が担保され、素晴らしい介護が実践されて、お年寄りたちも幸せな老後を送れるだろうか。介護職の賃上げもその他の課題も、建設的に漸進させようとしている人々がいるからこそ、こういうふうにちょっと飛び込んで言い古された問題提起してかき回したみたいな本が、高評されるのはおかしい(……というか、一般社会で高評されるのは、まあわかる気もするが)。

  • 人は介護を受けるために生きているのではない。生きるために介護を受けているのだ。という部分に改めて考えさせられました
    介護のリアルがわかる良い本でした

  • 腰痛持ちが多い。若くないとできない重労働だが景気が良いと若者は来ない。リーマン不況で人材供給が増した。10年前でも¥850は最低賃金に近い。「立位のまま布オシメを替える」技能は和裁着付け以上の難易度と思うが布信仰/マニュアルも名札もない、週2日勤務の者に入居者を顔で覚えろ、&個別注意事項多い/正社員の夜勤は更に過酷。大規模チェーンが構築されマニュアルと労働規準がなくてはと思うが、コムスンが倒産した以上、手を出す大資本はないだろう。死ぬのを待つ設備/「私は…(特にセクハラ関連)」で1万字以上の長文の反響多し

  • 実情がよく描かれているにゃ

  • 結局、作者は興味本位で介護施設の現場を覗いてみたかっただけであり、ネタが集まったらさっさと辞めるつもりだったのだろう。鶴巻さんの「最初から辞めるつもりだったんでしょ」という最後の言葉が全てを表している。

  • デイサービスにお世話になってる身として。

    ・送迎時は少しでも、1分1秒でも、ロスタイムを減らすように心掛ける。(本人の気性で、家で職員さんを待たせてしまう)
    ・早く行って、遅く帰ってきてもらいたい…正にそう!

  • ヘルパー2級の資格を取得後50代後半の筆者が2008年に5か月間、特別養護老人ホームで週に2日間だけ非常勤として働いた経験に基づいた介護現場の問題点を指摘する本。
    短い期間ですが、こんな問題点があったということを実体験として報告しています。
    考えさせられますが、答えは書いてはいません。
    皆で考える問題でしょう。

    介護政策を立てている役人や議員に読んでもらいたい。介護を職業として志している人に読んでもらいたい。親を老人ホームに入れようとしている人に読んでもらいたい。老人ホームのお世話になる可能性のある人に読んでもらいたい。
    そんな本です。

  •  小説家である著者が実際に特別養護老人ホームで働き、そこでの経験をもとに介護現場の様々な問題をあぶり出した本。現場を体験したからこそ発見出来た問題点が数多く書かれている。人の入れ替わりが激しいのにマニュアルが存在しない、変化を嫌うベテランの介護職員、まかり通る精神論等々、介護現場には問題がいっぱいだ。でも、最大の問題は介護職員の待遇の悪さ。これが解決されない限り、介護現場の抱える根本の問題は解決されないと著者は主張する。待遇の悪いところに人は集まらない。これはごく当たり前の論理だ。

  • <特に印象に残ったこと>
    *介護職員が犯す交通事故
    *無資格労働の禁止を打ち出せば、ただでされ人手不足の事業所は、とたんに運動不能の危機に陥る。
    *介護職員に技術や意識の高さを求めがらも、技術や意識の低い職員が存在することを許してしまうという、この矛盾
    *「他に勤め先がないから、介護の仕事についた」人たちと、「辞めたいかど、転職先がないから辞められない」という人たちが、~ 不満を抱きながら働く人々が、介護現場で増加することを意味する。
    *当たり前のことを、当たり前にやてちない。
    *びっくりするようなハードワークを低賃金でやらせて、働く人が集まるわけはない。
    *将来が見えない場所に、若い人が定着するわけがない。
    *高齢者の介護を若者のみにまかせて、上手くいくはずがない。
    *覚悟を決め、こうした不自然なことを一つひとつ解決していけば、介護現場にも必ずや光がさすはず。

  • 現場を知らない者が、軽々しく語れないベールのようなもので、介護の世界は覆われているようだ。長く生きてくれば誰もに訪れる老い、しかしその姿は人によってまるで違う。他人の手に日常をゆだねることの覚悟は、準備をすればできることなのだろうか。著者が「女の台所」と表現する職場のありようも、ちょっとしたことで変えられそうなのに、そこに越えがたい壁がある。わかっていて、できないことのもどかしさ。

  • 老いの先に待っている「介護」の問題は、ひと言では片付かない多種多様な問題が山済みだ。
    5ヶ月間の潜入レポート。想像を絶するエピソードが満載だ。
    人間は「ただの糞袋」、排泄こそ介護の大きな位置を占める。
    介護されるために生きるのか、生きるための介護なのか・・。老いの哀しさが迫る。

  • 何かわだかまりの残る作品でした。
    「当たり前のことが当たり前にされていない」介護現場の現状が筆者の視点によって記されています。
    でも、当たり前ってどういうことなんでしょうか?
    利用者目線?生きがいの創出??
    文字にするのは容易ですけど、介護は理論と実践では大違い。
    このギャップが筆者を当惑させているし、介護問題の根本だと思います。

  • 50代の男性ライターが約5カ月間、特別養護老人ホーム(特養)で働いた体験を、ノンフィクション形式で描いた作品。人物・施設名はプライバシーの関係上、変更されている。

    合理主義者らしい作者の文体は第三者的で冷静(悪く言えば他人事で冷めた見方)で読みやすく、介護職における問題点や事件などを淡々と、現実的に描いている。

    介護に足を踏み入れて間もない作者の視点は一般的であり身近で、これから介護に携わる人や、介護に興味を抱く人、親族が特養を利用する方を対象とした本だと思う。
    介護職の立場からみれば、作者は介護職から棄権した人であり、著書は愚痴や苦労話の集大成とも言える。と思えば、この本を楽しんで読むことはできないだろう。

    介護の問題点として、著者は以下の問題点をあげている。

    1.マニュアル化されていない仕事内容。施設による見えない不文律。そのたびに先輩から怒られるのは、新人の介護職員にとってモチベーションがさがる。
    2.女の台所とも言うべき派閥。いじめ(嘘の情報を教える、衣服を隠すなど)、不合理的な仕事も強制的に学ばされる。
    3.いつの間にか紛失する生活用品や物品。物が壊れても報告しない。職員のモラルが低い。
    4.布おむつは肌にも良く金銭的負担もかからないが、装着するにはそれなりの技術を要する。
    5.空気の読めない上司。介護に対する志は人それぞれ。真面目に正論を唱えても、職員にも広い心を持たなければ、現場の士気は下がる。
    6.利用者本位で働こうとしても、職員の数が圧倒的に足りない。外へ散歩に行くにも決められた行事以外はかなり難しい。
    7.長期休暇など夢のまた夢。上の者が「なくてもいい」の姿勢なので、改善は難しい。研修会や避難訓練を受けようにも、職員の休暇を利用するしかない。手当などつかないし、仕事のある日に受けられるようなものでもない。
    8.「人さまの役に立つ仕事」などとラべリングしても、職員の給料は12~13万。夜勤をしても+2~3万。経験を重ねても大差ないし、ボーナスも出ない。理想だけで飯が食っていけるのか?

    問題点はまだあるが、おおよそこんな感じ。
    読めば読むほどダメなところ満載なので、著者の愚痴本だと思うのも仕方ない。
    とはいえ、「ふれあい」「あたたかさ」「感動」「良い話」を前面に出した本よりもためになったし、読みごたえもあった。
    介護に足を踏み入れる人は読んでおいた方が良いと思う。

  • せきららと、つづられた毎日の介護。
    なぜどうして介護現場はこんなに辛いのか。
    私はこの本に出てくるだれになるのだろう?鶴巻さん?小板橋さん?
    それでも、やりたいと思うのは精神論じゃなく変わっていく努力をしていこうと思うから。

  • 介護現場の実態を内側から客観的な視点で評価しているが、語り口が介護現場に詳しくない者にもわかりやすく読みやすい。

  • 今まででもっとも秀逸に介護現場の違和感を見ている本!
    働いている人にはわからない外界と介護現場の違いを的確に表現しています。もう少し分析的かあるいはわかりやすく伝えられると尚可です!

  • 小説家である著者が、両親の介護の役に立つかと思い、ヘルパー2級の資格を取った。
    介護現場の一端を覗いたことにより、現場の大変さを知り、週2回の非常勤職員となる。

    典型的な3Kの職場。仕事の多くの時間を、排泄の世話に費やす。常にストレスがあふれる職場で、職員同士の関係もギスギスする。

    「誰かがしなければならない」事を、介護職員がしてくれている。せっかく、人の役に立とうと介護の仕事に就いた人たちが、どんどん離職するのもやむをえないほどの酷い職場環境。このままでは、まずい。介護職員の待遇を良くしないと、この国の福祉は成り立たなくなると実感した。(図書館)

  • 読後感…、深刻な気分だけが残った。特養の辛さはスクールで一緒だった人に、珠に会うと皆が溢すので、現実には殆んど老人介護に携わっていない僕でも身に摘まされる。此の本の大半を占める排泄(ンコシコの事)が、諸問題で、あとは、従業員が居着かないという点。ある人は同期で入った人が誰一人として残って居らず、「ウチで一年もてば大ベテランよ(苦笑)」三年同じ事業所に勤める彼女はさしずめ神さまかも知れない、事実介護福祉士の資格を取り事実上、主任として事業所を切り回している。彼女の様にフルタイムで働いていても、パートタイマー介護士の僕の明細と大した差はない。そういう意味からすれば、僕は相当恵まれているらしい。******************新聞の書評欄で見て気になっていた、最寄りの図書館では、中々買う気がなかったのか、出版されてから随分と経ってから、忘れた様に購入し、一番予約にも関わらず、二番以下に回されて、やっとこさ回ってきた。今、テレビドラマで任侠ヘルパーなる番組をやっている。描ける範囲での描写なのだろうけど、現実はあんなものじゃない(だろう、僕もヘルパーの端くれだけど、老人介護には携わっていないから)現実はもっと辛く大変な事だろう、友人の、まろさんも日頃から溢している。ま、でもヤクザがシノギで介護施設を遣っているのは現実にあるだろうね。直接、手を下しているかどうかは、解らないけれど。此の作品で、何処まで描かれているのかは、まだ解らないけれど、楽しみかな。

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