• Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104101047

作品紹介・あらすじ

百面相の女芸人・お葉と暮らす女衒の清蔵。ある日、家に戻るとお葉の姿はなく、清蔵の周りには次々と奇怪な出来事が…淫らなまでに熟れた桃の匂いが怪異を呼ぶ表題作のほか、亡父のトランクから現れた奇妙な"遺品"をめぐる謎が"私"を惑わせる「尼港の桃」など、甘く妖しく艶めかしい-極めつきの八篇。

感想・レビュー・書評

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  • 桃の甘やかな、熟れていくほどに濃密になるかおりや、ぐずぐずと崩れていく様が、淫靡なものや死のモチーフとなっている。

    大震災のどさくさにまぎれて故郷へ逃げる女郎の哀切がしみてくる「同行二人」と、女房に逃げられた女衒の死にぎわを綴った「桃―お葉の匂い」のこの世ともあの世ともつかない妖しさがおもしろかった。

    桃は夏の果物のなかでも一番といってもいいくらい好きなのだけれど、この本を読みながら桃から抱くイメージっていろいろなんだなぁ・・と思っていたら、ふと思い出した。
    横座りになった女性が熟れた桃にかぶりついていて、その指先からぽたぽたと汁が滴っている。襟からのぞく胸元までもべとべとになっている。ひどくエロティックに感じたあの場面は、映画だったっけ、それともなにかの小説だったっけ・・・。

  • けっこう色っぽい小説集。

  • 頁の間から、爛熟した桃の甘やかで濃密な死臭が漂ってきそうな、官能的な短編集。久世さんは、穢れさえも美へと転化させてしまう。これだから、久世光彦はやめられない。

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