脳の中の能舞台

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104161034

感想・レビュー・書評

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  •  脳死移植を題材とする新作能『無明の井』の創作ノートや台本を所収。これ、地元の薪能で実際の舞台を観たことがある。提供者・被提供者とも救われる「昇華バージョン」と、どちらもそれぞれ苦悩や後悔を抱えたまま成仏できずに暗闇をさまよい続ける「暗黒バージョン」の2通り存在するんだが、演じられたのは成仏できないほう。あまりのこわさにホントに泣いた(-_-;)
     同じく新作能で朝鮮人強制連行を描いた『望恨歌』も凄惨だが、アインシュタインを扱った『一石千人』は一転ユーモアと無数の星が光り輝く広大な宇宙が脳裏を巡るすばらしいスペクタクル。
     能ってすげぇです。こんな能を創ることのできる人間の脳も。

  • いずれにせよ、女性がついてこられなければこの活動は根付かないと思った。

  • 帯に「私は理系の人間で能を見るときもどこか分析的になってしまう」という著者のステレオタイプな言葉に反感を覚えながらも手にとった。理系文系関係なく物事を分析し理論体系化するのは人間の特性だとおもってるんですが。
    本の内容はとても面白かった。中身で著者が何度も「私は50年以上能をみてるから」というアピールに通り造詣は深く能への計り知れない理解と洞察力、観察力がある。鵺やキメラという異質なものを成敗する物語を「人体の免疫細胞が異質なものを攻撃するように~~」という見方はなるほど生命科学研究所に属していた人ならではの見方だろう。情緒に溢れ、読み手の脳内に鮮やかに舞台をうかびあがらせてくれる良書。 引用に記すが知識がないと「日本語でおkwwwwwwwwww」と思える文章があって大変鍛えられました……

  • (2004.11)

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著者プロフィール

多田富雄(ただ・とみお、1934-2010) 
1934年、茨城県結城市生まれ。東京大学名誉教授。専攻・免疫学。元・国際免疫学会連合会長。1959年千葉大学医学部卒業。同大学医学部教授、東京大学医学部教授を歴任。71年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など多数受賞。84年文化功労者。
2001年5月2日、出張先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害、嚥下障害となる。2010年4月21日死去。
著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『生命へのまなざし』『落葉隻語 ことばのかたみ』(以上、青土社)『生命の意味論』『脳の中の能舞台』『残夢整理』(以上、新潮社)『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)『懐かしい日々の想い』(以上、朝日新聞出版)『全詩集 歌占』『能の見える風景』『花供養』『詩集 寛容』『多田富雄 新作能全集』(以上、藤原書店)『寡黙なる巨人』(小林秀雄賞)『春楡の木陰で』(以上、集英社)など多数。


「2016年 『多田富雄のコスモロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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