- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104161034
感想・レビュー・書評
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脳死移植を題材とする新作能『無明の井』の創作ノートや台本を所収。これ、地元の薪能で実際の舞台を観たことがある。提供者・被提供者とも救われる「昇華バージョン」と、どちらもそれぞれ苦悩や後悔を抱えたまま成仏できずに暗闇をさまよい続ける「暗黒バージョン」の2通り存在するんだが、演じられたのは成仏できないほう。あまりのこわさにホントに泣いた(-_-;)
同じく新作能で朝鮮人強制連行を描いた『望恨歌』も凄惨だが、アインシュタインを扱った『一石千人』は一転ユーモアと無数の星が光り輝く広大な宇宙が脳裏を巡るすばらしいスペクタクル。
能ってすげぇです。こんな能を創ることのできる人間の脳も。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いずれにせよ、女性がついてこられなければこの活動は根付かないと思った。
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帯に「私は理系の人間で能を見るときもどこか分析的になってしまう」という著者のステレオタイプな言葉に反感を覚えながらも手にとった。理系文系関係なく物事を分析し理論体系化するのは人間の特性だとおもってるんですが。
本の内容はとても面白かった。中身で著者が何度も「私は50年以上能をみてるから」というアピールに通り造詣は深く能への計り知れない理解と洞察力、観察力がある。鵺やキメラという異質なものを成敗する物語を「人体の免疫細胞が異質なものを攻撃するように~~」という見方はなるほど生命科学研究所に属していた人ならではの見方だろう。情緒に溢れ、読み手の脳内に鮮やかに舞台をうかびあがらせてくれる良書。 引用に記すが知識がないと「日本語でおkwwwwwwwwww」と思える文章があって大変鍛えられました…… -
(2004.11)