ほんとうの復興

  • 新潮社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104231089

作品紹介・あらすじ

ひとつになるな日本。目の前にある現実は、問題ではなく、答えである。ここから、何を、どう、考えていけばいいのか?天災にしばしば遭うことが宿命づけられているこの国の社会的特質と、人災としての原発事故の根本にある情理を、鋭く深く論究する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者献本感謝です。養老先生のほうが池田先生より10歳年上なのですね。「池田くん」という呼び名はなんかおかしい。
    とにかく復興の議論は右肩上がりの社会に、そういう世界観にしがみついているひととそこから自由な人に二分されている。何かの世界観に支配されている人は、それ以上の発想は絶対に出てこないのだけどね。
    池田先生は以前の石炭使用論を撤回して地熱、バイオマス、メタンハイドレートの3つに将来の展望を絞ったようである。もちろん、前言撤回は少しも悪い事ではない。自然科学の世界では新しい知見を得たら見解を変えるのが「常識」だからだ。内田樹さんが揶揄する「常に絶対に正しい」社会科学者ではいけないのである。
    其れにしてもお二人とも博覧強記ですね〜
    僕も(今回も)ちょこっと出てます。

  • 三葛館一般 369.31||IK

    本書は2011年6月に発行されたものです。
    震災、原発事故からの復興と、これからのエネルギーについて、養老氏、池田氏それぞれの見解とお二人の対談が収録されています。二人とも歯に衣着せぬ、ズバズバとした物言いで、読んでいて「ほんとに!?」「そうなの!?」と引き込まれてしまいます。
    東日本大震災から2年と4カ月が過ぎましたが、「ほんとうの復興」はまだ見えていないのではないでしょうか。

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=61147

  • 原発をバーチャルや政治優先で考えたから、事故が起きた。自動車の危険と原発の危険は土台が違う。現実を見ていないという点では原発も入試(携帯電話でカンニングが可能な内容ですましている)も同じだと。

  • ★ペンネーム:S,Kさんのおすすめコメント★

    2011年3月11日に起こった天災と人災。
    これらを、本当の意味で考えていく、
    またはよりい深く考えていくきっかかをくれる1冊です。
    ぜひ読んでみて下さい。

    OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=9000844474

  • 震災から1年半。これまでの復興対策について今一度考えさせられたし、今後どういう風に進められていくのか、しっかりと見つめていかなければいけない。

  • 復興するときにどうするかについては、金だけ出して口は出さないというのが見識だ リスクを分散させるこtがセキュリティになる 現代社会の前提として、エネルギーの増加と経済の成長は完全に相関している

  • 資料番号:011449295
    請求記号:369.3/イ

  • さくっと読めて勉強になった。

    ・地球の歴史を一年とすれば、人類の歴史は大晦日の除夜の鐘が鳴るころ
    ・東北、関東、中部、近畿、中国という道州制の区分は、じつは本州が複数の島に分かれていた、二千年くらい前の地質時代の反映である。これらの「州」は、四国や九州と同じように、それぞれが別の島だった。(省略)人は自然という釈迦の掌に乗っていることを思うべきであろう。
    ・目の前にあるのは「解答」である。
    ・われわれは自然を見ることによって、複雑な問いへの美しい解答を見る。じつは解答だけを見ているのであって、問題自体をしばしば考えない。
    ・人生の解答とは、自分の人生そのものであって、それはなにか複雑な、ややこしい問題への解答なのである。(省略)わからないのは問題の方であって、人生のほうではない。
    ・「参勤交代」のススメ 養老さん
    ・原発事故による放射能汚染は、戦後日本の自然破壊の総決算である。

    ・池田「若い人たちの中には、それまでの生活にもともと閉塞感を持っていて、なんとなく気持ちが行き詰っていて、そこから抜け出すために、どこかですべてをチャラにしてリセットしたいと思っていたのもいたと思うよ」
    ・池田「これだけの大震災に遭っても日本人が冷静に行動しているように見えるのは、日本の集団主義のようなこととある程度関係がありますよね」「そんな整然としたところが他国の人たちから称賛されたりもしたわけだけれど、それは何も、日本人が他国の人に比べてずっと倫理的で道徳的であるというわけではかならずしもないと思うよ」
    ・池田「リスクを分散することがセキュリティになる」

    ・養老「関東大震災から九十年になる。大きな地震は、いつ来てもおかしくないです」
    ・養老「僕は、以前から、「参勤交代」をしよう、とも言ってきた。当会の人は田舎へ、田舎の人は都会へ、です。(省略)東京から避難民が出る事態になったら、それをいっぺんに受け入れる場所なんてありませんよ」

    ・養老「日本は輸出入を活発にしなければならないという考えは、ほとんどノイローゼに近いと思う。このノイローゼの根本にあるのは、やっぱりエネルギーですよ。石油を買わなければいけないという強迫観念があるからです」
    ・池田「人間だって、タガがはずれちゃった人間と、それじゃない人間がいるでしょう。グローバリゼーションを進めているやつというのは、タガがはずれちゃっている人間ですよ。それなのに、タガがはずれちゃったほうがスタンダードになってしまったというのは、おかしな話だね。だけど、多くの人はそれがおかしいと思っていない」

    ・池田「福島の双葉町の辺りの地図を見るとわかるけど、町(自治体)が細かくわかれているでしょう。(省略)国は、市町村合併をどんどん進めて、へんてこな名前の市とかをいっぱい作っておきながら、一方で、原発がある町については合併させない。そのほうがコントロールしやすいからだよね」「原子力施設を受け入れた自治体というのはカネ浸けになっている。ちなみに、青森県で一人当たりの年間所得が最も高いのは、日本原燃の核燃料リサイクル施設がある六ヶ所村で、なんと一千三百万円を超えている」

    ・養老「文科省は最大のガンです」
    ・養老「えねんるぎーを使えばそれだけ楽になるに決まっている。当たり前のことなんだけれど、そのことを普通の現代人がどのくらい理解しているか。やっぱり、生き方そのものを考え直さないといけないんじゃないか。いかに健全に縮小するかを考えた方がいいのではないか」

    ・日本の潜在資源として期待できるのは地熱、バイオマス(藻類)、メタンハイドレートの三つであり、さしあたってはこの三つの資源開発に全力を注ぐべきと思われる。

    (感想)
    ばっさりを物を言うお二人の話は、迷いがなくて気持ちよく入ってきた。しっかりとした知見に基づいた上での意見なので、なるほどと思わされること多々。お二人の哲学にも共感できた。自分も「自然をコントロールする側」の一現代人として日々を過ごしているなと気づかされた。

  • 2011年9月に岩手県陸前高田市に、ボランティアに行きました。その時、移動中に読もうと思った本です。

    やっと読み終わるw 内容は非常に興味深いのですが、難しいです。生物学者、早稲田大学国際教養学部教授池田清彦さんと、元東大医学部教授養老孟司さんの二人が震災復興について談話を一冊の本にまとめています。

    二人とも非常に博学で、話は原発から生態系まで多岐にわたります。本文は170ページなので、行の電車(新幹線)で読み終わる予定だったのですが、、、、今までかかりましたw なぜって、僕には内容が難しくって、読んでると眠くなるのです。

    原発事故を引き起こしてしまった日本社会、そして世界を痛烈批判されています。批判ばかりなので、時々、読んでてイライラしました。でも、やっぱり、日本社会は変わらないといけない。こういう批判も受け入れなければならないと思います。

    原発問題の根本は、人類の人口が多過ぎる、そして、使えるエネルギーをもっともっと作ろうとする姿勢です。今後の地球のために持続可能なエネルギーと私たちの生活の在り方を考えなければならないと思います。

  • チャレンジャーにそんな話があったとは。

    想定外なんてないよね。
    誰かは何かを知ってるよね。

    止めても止められなくて
    問題になってから周りが騒いで
    でも、そんなのわかってたことだってなる。
    たくさんの人が、ほとんどの人がそれを経験してると思う。

    どうして権限のある人しか止められないんだろう。
    どうして権限を持ったら通してしまおうとするんだろう。

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著者プロフィール

池田清彦(いけだ・きよひこ) 1947年生まれ。生物学者。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田清彦の作品

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