- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104247042
作品紹介・あらすじ
「チクショー、やりゃがった」42年前のあの日、談志は本気で嫉妬した。三島由紀夫の派手な死に様に…。かの"全身落語家"と一門の裏も表も、虚実皮膜の間に描き尽す長篇小説。
感想・レビュー・書評
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エッセイでもなくノンフィクションでもない、適当と言えば私小説なのだろう。
それも噺家だけでなく小説家としての才も持ちあわせた、本文から借りればピカソになる前の写実主義バリバリの談志に惚れ込み師事した談四楼ならではの冷静な視線が一層のリアリティーを生み出し数ある談志本の中でも異色の仕上がりとなった。
そしてこの本の一番の読みどころと言えばやはり天才落語家の老いの隙間に降りて来た鬼とその鬼が取り巻きの弟子に打ち下ろす金棒の非情の一撃に尽きる。
巨星が堕ち行くとき「よそう、また夢になるといけねえ!」のオチが意味深な欠片となり宙に舞った…お後はどうだったんだかねぇ (敬称略)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私は「立川談志」をよく知らない。テレビでも見たことがないし、生の落語も聞いたことがなかったので。
読み進めても、まだわからなかったので、読んでいる途中、動画サイトで、談志の「饅頭こわい」を見ました。
ずしんと心に残る噺でした。
日常生活で誰かが「~こわい」というと「あーほんとは~好きなんだー」ってなってしまう。そんな日が続くくらい印象に残る噺でした。
やはりすごい人なのかもしれない。
この本は、談志と弟子、弟子同士のエピソードが悲しい話も、え?ということも、面白いことになって綴られていました。
面白い話だけではなく、もちろん感動するエピソードも。
落語の何々に例えてこういう行動した。などのエピソードだったりすると「粋」という言葉が出てきます。
もっと立川談志を、落語を、知りたくなりました。 -
天才に仕えるのは難しい。まして、その天才が老人性うつ病を患って、感情の起伏が常ならず。
師匠への愛憎半ばする想いの深さが胸を打つ。
談志のエピソード、弟子のしくじり、いずれも面白く、そこに救いを感じた。 -
エピソードがどれもよい。
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談志が亡くなって、師匠に対するアンビバレンツな愛情がすごい。もう本人がいないので何書いてもいいや的な暴露的な部分もかなりあるが、立川談四楼の人柄なのか、隠さずに書くという姿勢がキチンとしているからか嫌味なく読める。
談志は老人性鬱のきらいがありなかば精神錯乱状態にあった。天才肌の人が加齢により能力が落ちていくことに対応できないときに起きやすとか。
談春の「赤めだか」を談志楼が書評で取り上げて褒めたことで、談志はウソばかり書いているのにと怒り心頭で破門にするといい出したところが一番スゴイ。理由は「赤めだか」でレステランで爪楊枝を盗んだと書いてることがウソだというのだが、ホテルの備品などいろんなものを盗っていく。飛行機のトレイの化粧品が盗まれないように大きくなると空の小瓶をもっていき詰め換えて盗む。ケチとは聞いていたがここまでとは思わなかった。
集合をかけているのに集まらないと罰金。自分の著書を読んでない弟子がいると、全員そうだと全著作を送りつけてくる。7万円の請求書と一緒に。在庫整理が目的だ。賞味期限をずいぶん過ぎた食べ物でも捨てずに食べさせる。そのことで腹痛を起こす弟子多数。こうなるとちょっとしたヤクザの親分みたいだ。
一方で師匠の高座に慄然とするところも何度も描写される。
いろんなシーンの会話が録音したかのように細かく描写され、安定した面白さだ。客観的な視点というのがキチンと備わっているのだろう。 -
噺家の話は面白い!あ〜。久しぶりに落語聴きたくなった!あっ、また落語部復活かな?笑
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2016.11.24
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晩年の談志。驚きでした。そうだったんだ~。家元制度ってそういうことだったのかしら?なんていろいろ考えておりました笑
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晩年の談志は壊れていたのですね。老いについて考えさせられる一冊
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図書館で借りました
これから読みます。