移植医たち

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104256068

作品紹介・あらすじ

情熱、野心、そして愛――すべてを賭けて、命をつなげ。先端医療に挑む医師たちの闘い! 1985年、当時は「人体実験」とさえ呼ばれた臓器移植。最先端の医術を学ぶために渡米した三人の日本人医師を待ち受けていたのは、努力も夢も報われないシビアな命の現場だった。苦悩し、葛藤しながらも、やがて日本初の移植専門外来を設立する彼らを支えた想いとは……。命と向き合い、不可能に挑戦し続ける医師たちを描く感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 肝臓移植のパイオニア達がピッツバーグで培った技術を後進国の日本で苦労しながらも端緒を切り開く話。作者の母校 北大が実は道を拓く母体だったことを知り、さまざま学習の末に臓器移植の小説を通して実態を広く伝えたい思いで書いたらしい。折しも今日2018ノーベル医学.生理学賞に日本人が選ばれたニュースに接したばかり! なんか因縁があったのでしょうかね♪

  • 個人的 今年のプラチナ本。

    久しぶりに夢中になって読みました。捻くれ者なので滅多に☆5はつけないし、一言注文つけちゃうけど、この本は文句なし。大変面白かった。

    肝臓移植の技術を学びに渡米し、やがて国内での移植(生体移植ではなく、脳死ドナーからの移植が主眼)に漕ぎ着けた医師たちの話。プロジェクトXのようだが、医師たちの思いや人生が細かく描かれ、グイグイ読ませてくる。
    冒頭のオペはなぜ陵子が担当になったのか、最後まで読むことでその解が明かされる。

    必死の努力を重ねる医師たちに拍手喝采。医療モノが好きなら絶対オススメです。
    が、動物実験断固反対!なら読まない方がいいです…

  • 気持を整理してから書きたいと思います。

    と昨日書いたのですが、やはり冷静に書評できません。
    ちょうど1年前に生体間肝臓移植を受けた身としては、感情移入し過ぎてしまって...。
    入院生活や手術、リハビリ、2週間も家に帰らず付きっきりで対応してくれた移植外科のN先生、優しく献身的な看護師の方々、的確に対応してくださった移植コーディネータのN看護師、そして何と言っても私に肝臓を提供してくれた優しく尊敬できる兄と献身的に支えてくれた妻、諸々のことを思い出しながら涙なくしては読めませんでした。そしてまだ死ねないと心から強く思わせた3人の可愛い娘たちの存在。その娘たちが手術前に書いてくれた手紙、生涯で一番の宝物です。

    等々を思い出して読んでいました。

    小説の体裁をとっていますが、ほぼノンフィクションに近い内容で、有名な和田心臓移植からの移植の歴史を大河ドラマのように描いています。ここに登場する先生方の人間離れした努力や、レシピエント・ドナー(勿論人間だけでなく動物たち含めて)の存在があったからこそ、今私がこうして生きさせてもらっていると思うと本当に頭が下がる思いです。
    思い入れが強すぎるので冷静になれませんが、読んで絶対に損はしない本だと思います。是非読んでみてください。感謝。

  • 読み応えばつぐん

    移植医療にはあまりいいイメージを持っていなかったけど、ドラマ仕立てになっているのもあり、読みすすめやすいように書かれている

    アメリカ人と日本人の違いには考えさせられる
    生体移植(リビングドナー)が主流な日本
    生きている人を危険に晒さずになぜ、脳死の人からもらわないのか

    アメリカ的な考え方にも思えるけど

    迷惑かけてはいけないとか、身内が身を切るとか、なんか日本人の精神性は足かせになっている気がする

    臓器移植は何度でも可能で、相性が合うまで何度でもつなぐ(臓器移植)するよ!というのが移植医のアツい気持ちみたいで、そうか、一回じゃないんだと思った

    本を読むと移植医療は素晴らしいものに思えるし、医師も素晴らしいと思う

    一方で、行きすぎたりしないのかなーと読み終わってからチラつきはじめた
    「私を離さないで」カズオイシグロ 
    のドナーになるために生まれたクローンの話であったり、臓器売買だったり、
    遺伝子組み換えで動物に人の臓器を作らせる、とか、そういうのが

  • 4.5

    移植医療の世界なんて考えたことなかったけど、こんな壮絶な開拓の話があって、きっと日本は遅れているんだと。

    医師たちの体力と探究心と諦めない強い気持ちに胸を打たれた。

    移植でしか救えない命があるのなら、脳死ももっと考えるべきなのかなぁ。ドナーカード、持とうかなぁ。

    たくさんの人に知ってもらいたいテーマだと思うけど、映像化は難しいだろうし、受け入れるのも難しいんだろうな。。

  • 日本に外科医達が移植医療の最先端アメリカ、ピッツバークへ渡った。
    彼らはそこでの経験を携えて、日本での臓器移植を北海道の地でスタートさせる。

    素晴らしい話でした。
    モデルとなった人、出来事があり、調べながら読みましたが、先駆けとなる人達の苦労は計り知れないと思います。

    彼らが自分の命をかけるかのように、医療に向かい合う姿に頭が下がります。

    今は縁がない臓器移植ですが、我が家では家族みんなで、いざと言う時はドナーとなる心づもりでいますので、改めてその気持ちを強く持つ機会を得たと思いました。

    2021/12/17

    高い志を持った医師たちが、海を渡り、移植の先進国アメリカでその医療技術を学ぶ。
    その過程には様々な苦悩や葛藤がありながら、確実に前を向き、繋がる命を繋いでいく。
    そんな彼らの思いが、今度は母国日本で次のステージへと繋がった。....
    再読。移植医療に対する知識は少ないものの、テレビドラマ等で興味を持っていました。
    登場する医療関係者達の思いに胸を打たれます。
    毎度思うことですが、いざと言う時には、自分はドナーとなるという思いを強くさせられます。

  • 20170825リクエスト

    和田心臓移植手術
    札幌医科大学整形外科講師の地位にあった作家の渡辺淳一の書いた、小説心臓移植、にて細かな話は読んだことがあったので、スムーズに話に入り込めた。
    これをもとに、肝臓移植の技術を学びに渡米し、やがて国内での脳死ドナーからの移植を浸透させるために寝食とらず使命感に溢れ活動する医師たちの話。
    医療ものの好きな人には、絶対おすすめ。医療ものは、渡辺淳一、帚木蓬生が好きですが、谷村志穂さんの医療ものって初めてでは?
    谷村志穂さんも医療ものも好きなので、読むのを楽しみにしていた。
    裏切らない、いい本です。

  • 臓器移植がスタンダードとなったアメリカへ旅立った移植医たちの物語。

    臓器移植の難しさ、それを実現させるために積み上げられた途方もない試行の数、それでも届かない苦悩、何度も壁にぶつかりながら激務に励み小さな一歩を繰り返す医師たち。

    全てが丁寧に描かれていて、移植医のリアルを肌で感じられた。
    何が彼らを動かすのか、信念、熱、言葉にならないが、尊敬する。かっこいい。

    ☆4.3

  • 移植について知ることができる。考えてみれば当然なのだけど、医療の進歩はたくさんの動物の命、患者、医師たちの努力の上に成り立っている。

  • 移植後進国だった日本で、脳死からの移植の道を切り開いてきたお医者さんたちのお話。
    子どものころ、「脳死判定」のニュースで大人たちがいろいろ言っていたのを思い出しながら最後まで一気読み。

    コロナの初期の報道なんかを見てると、アメリカの医療がすごいというのが正直、いまいちピンとこないのですが、病気とか死とか医療に対しての根本的な考え方が違っていて、移植のようなダイナミック(と言っていいのかわからないけど)な医療の分野ではアメリカのような考え方の国のほうが向いてるのかなと思った。

    動物実験のくだりはちょっと読んでてつらかった・・臓器をとられてしまったほうのわんこが・・涙

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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