決壊 上巻

著者 :
  • 新潮社
3.62
  • (69)
  • (114)
  • (116)
  • (29)
  • (8)
本棚登録 : 661
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104260072

作品紹介・あらすじ

2002年10月、全国で次々と犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。被害者は平凡な家庭を営む会社員沢野良介。事件当夜、良介はエリート公務員である兄・崇と大阪で会っていたはずだったが-。絶望的な事件を描いて読む者に"幸福"と"哀しみ"の意味を問う衝撃作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「空白を満たしなさい」、「ドーン」を読み分人という考え方に対して違和感が薄れてきた勢いで、本作を読んでみた。精神の崩壊が「決壊」し、家族が崩壊していく物語であると前振りで理解をしている。上巻最後で、主人公・野沢崇の弟・良介がバラバラ遺体で発見されたことがわかり、家族の崩壊へと、ここの物語が進んで行くことを暗示される。

    本作の中で、人間の心理をついているが、嫌いな言葉がある。「問題はただ一つ。殺人が、自分の身に起こるかどうか、だ。殺戮はむしろ歓迎されている。そこにいて身に危険が及ばない限り。人間は相変わらず愚かだ。しかし、だからこそ、今ここにある平和は人間的な意味で尊い。」
    家族に突きつけられた「殺人による死」を想像すると、この悲惨な事実を歓迎する人間が、自分の身には起こっていないという事で、歓迎するであろうか? この悪魔の男の考えが、殺人を実行する人間の感覚なんだろうかと思うと、作者が少し恐ろしく思える。

    はじめに登場した壬生実見が気になる。単なる通りすがりの登場なのだろうか?

    下巻の展開が気になる。

  • 哲学的で難解ではあるが面白い。下巻に続く。『空白を満たしなさい』以来、すっかり平野作品がツボだ。

  • 【要約】


    【ノート】

  • 著者の作品は、数冊読んでいます。相変わらず知的で理詰めの文章です。上巻は物語のイントロ部分なので、下巻でどのように展開していくのかが楽しみです。

  • 現実社会でも最近起きているような、無差別で猟奇的な殺人を題材にした作品。タイトルの通り、犯罪を含めた極端なアクションを取るまでに少しずつネガティブな感情が積み重なっていく場面の描写が続き、読んでいる際の気分は重いが、結果として起こる出来事の説得力は増している。。ネガティブな感情につながる背景として現代社会の抱える様々な問題を描いているが、あまりにも多くのテーマを盛り込み過ぎて物語としてのまとまりを欠いている感はある。読後に残る混沌を伝えたかったとすれば成功かもしれないが。

  • 友人に勧められていた平野啓一郎さんの作品を何か読んでみたいと思っていて、図書館で手に取った本。本の天は黒く、大きく表題の配された白と黒のインパクトあるデザイン。

    その表紙には冒頭から暫く登場している人物の死についてはっきりと書かれてあり、物語中で彼が殺害される驚きはなくなるが、逆にはじめからその結末が知らされていることにより、いつどのように彼が悲劇に巻き込まれるのかという不安感、そして実際巻き込まれた時のその内容の悲惨さにショックを受ける。

  • 同著者のエッセイ、自分とは何か、を先に読んでいたので、エッセイで語られたモチーフが出てきたときに、その背景にある著者の考え方を共有できた点は新感覚。上巻では崇の人柄、考え方が事細かに描写されているが、下巻ではその一部分を切り取った他者からの視点がキーとなりそう。どういう結末が用意されているのだろうか。下巻に期待。

    下巻読了後追記:全然思ってたのと違った。

  • 平野啓一郎作品初読み。
    ちょっといろいろと難しい内容を盛り込んでいる。。。
    事件に至るまでのストーリーが長すぎ(¯―¯٥)

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    2002年10月全国で犯行声明付きのバラバラ遺体が発見された。容疑者として疑われたのは、被害者の兄でエリート公務員の沢野崇だったが……。〈悪魔〉とは誰か?〈離脱者〉とは何か? 止まらぬ殺人の連鎖。明かされる真相。そして東京を襲ったテロの嵐!“決して赦されない罪”を通じて現代人の孤独な生を見つめる感動の大作。

    【キーワード】
    単行本・テロ・東京・ミステリー

  • 一方通行の情報でのみつながる複数犯による殺人の連鎖は想像以上に恐怖を感じた。性悪説を基調に進められる内容ながら、修辞的な語句を並べたてながら、性善説にすがらなければ生きられない人間社会の悲しさを思い知らされた。被害者と犯罪者、彼岸と此岸、その差は紙一重だ。おそらく私も。殺してはいけない、そんな単純な命題の論証を私は言語を尽くしてでも続けていかなければならない。

全120件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

平野 啓一郎(ひらの けいいちろう)
1975年、愛知県蒲郡市生まれ。生後すぐ父を亡くし、母の実家のた福岡県北九州市八幡西区で育つ。福岡県立東筑高等学校、京都大学法学部卒業。在学中の1998年、『日蝕』を『新潮』に投稿し、新人としては異例の一挙掲載のうえ「三島由紀夫の再来」と呼ばれる華々しいデビューを飾った。翌1999年、『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞。
2009年『決壊』で平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、2009年『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2017年『マチネの終わりに』で第2回渡辺淳一文学賞、2019年『ある男』で第70回読売文学賞(小説部門)をそれぞれ受賞。2014年には芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。『マチネの終わりに』は福山雅治と石田ゆり子主演で映画化が決まり、2019年秋に全国で公開予定となっている。

平野啓一郎の作品

決壊 上巻を本棚に登録しているひと

ツイートする
×